三鷹天命反転住宅訪問記
9月のはじめ、母がショートステイに行ってるタイミングで、念願の三鷹天命反転住宅に行ってきました。
10年位前に名古屋に行った際に、養老天命反転地に立ち寄ろうかと考えていたところ、どしゃぶりで行けなかった思い出が。
三鷹天命反転住宅の外観が気になり、外国人にSNSでおすすめしたこともありますが、自分ではまだ行ってませんでした。
今まではガイドツアーまたは4泊くらい宿泊しないと行くことができなかったのですが、コロナ以降、テレワークプランもできたので、やっと行けました。
カラフルな建物はもちろん、母が要介護ということもあり、年を取っても元気に暮らすヒントも見つけられるのではないかと思いました。
狛江からバスで向かい、バス停から左に曲がって東八道路沿いすぐのところにありました。
いきなり現れるので、ちょっとびっくり。
隣は工事中で、警備員の方が門を開けてくれました。
自転車に乗った学生さんも結構前を素通りしてました。
見慣れている人にとっては、違和感なく受け入れられているようです。
入ってすぐのエレベーターホールもカラフルです。
エレベーターの横には事務所があり、そこで鍵を借り、スタッフさんに同行してもらい、部屋の説明をしていただきました。
三鷹天命反転住宅は全9室で、そのうち2室がテレワークプランに使われています。
おそらく、同じ部屋が宿泊プランにも使われているのでしょう。
わたしが利用したのは3階の角部屋で、3つ部屋がついているタイプでした。
1つめは黄色い球体の部屋で、2つめはマットが敷かれた部屋、3つめはピンク色で円い畳の和室です。
円い畳の和室の窓の下には玉砂利が敷かれていて、足つぼマッサージ代わりになります。
最近サボリぎみながら、足つぼマットで鍛えていたので、ほぼ痛くなかったです。
和室の下には、大きな引き出しがありました。
収納が少ない分、天井に無数に取り付けられている輪っかにフックをひっかけ、かばんなどを吊るすようになっています。
わたしも試しに吊るしてみました。
バッグは、三鷹天命反転住宅に合わせて持参した、SOU・SOUのカラフルトートバッグです。
最初、ひっかけるの難しいな、と思ったけれど、奥から手前にひっかけると良いですよ、とコツを聞いてから、うまくできるようになりました。
上を見上げながらひっかけるので、首の運動にもなります。
はしごが1か所あるので、上った途中からひっかけたら、首がだいぶ楽にな
りました。
ちなみに、事務所でははしごを本棚として利用しているのだとか。
エアコンが南と北に設置されていましたが、30度以上ある日だったので暑
く、最後の方はダイソンの扇風機に張り付いてました。
4面ガラス張りだったので日当たりが良く、太陽の位置が移動するにつれて、涼しそうな場所へと移動するようにしていました。
南側の窓ガラスからはお寺の屋根、北側の窓ガラスからは東八道路、東側の
窓ガラスからは空に浮かぶ雲の流れがよく見えます。
窓の形は全部違っていて、開けるところと開けないところがありました。
和室とマットの部屋の窓はすりガラスになっていて、プライベートに配慮されています。
窓の外には緑も見えて、都内なのに家の中から自然が感じられるのはいいなと思いました。
ちなみに、隣で工事中&東八道路沿いなのに、あまり音は聞こえず、防音性が高いなと思いました。
床は、大人サイズと子どもサイズの土踏まずに合わせて、でこぼこしているのだそう。
スタッフのある方は、ずっとこの床を歩いているうちに偏平足が治ったのだとか。
でこぼこしているけれど、足つぼマットのような痛さでなくマイルドなので、ずっと歩いていられそうでした。
ダイソンの扇風機近くに敷かれたラグのあたりには、太鼓みたいにたたくと音が鳴るところもありました。
すべての部屋にドアがついてないため、中央の窪地にあるキッチンからは全体を見渡すことができます。
誰が何をしているか一目瞭然なので、隠し事はできないかも。
(フックをひっかければ、カーテンは取り付けられると思います)
逆に、帰宅すると必ず会話することになると思うので、家族の距離が縮まるかもしれません。
この家だったら、ひきこもりは生まれないだろうな。
カラフルだから家にパワーをもらえるし、住んでいるだけで楽しそうなので。
でも、カラフルだけど意外と調和しているので、落ち着かない感じではありませんでした。
Wi-Fiも良くつながったので、テレワークにも向いてます。
わたしは和室の四角いテーブルや台所のテーブル、床などでパソコンを使ってみました。
自宅にいるとネット検索をついしちゃうけれど、三鷹天命反転住宅では、あまりパソコンを使いたいという気分にならなかったです。
子どもも、ゲームよりも床を走り回ったり、球体の床をよじのぼったりしたいんじゃないかな。
まるで、ミニテーマパークに住んでいるような感じなので。
お手洗いはドアがないですが、シャワー室の裏なので見えにくくなってます。
ピンクのトイレットペーパーケースもカワイイ!
トイレを出た後、まさか洗面所でトラップが待ち構えているとは。
洗面所の前の床は球体の一部で、斜めになっていたんです。
床は平らという常識が覆って焦り、必死で洗面ボウルにしがみついて、事なきを得ました。
特注のハンモックから見る部屋の眺めも良かったです。
ハンモックは初めてだったのですが、リラックスできました。
ハンモックをブランコとしてちょっと使ってもみました。
他にも、窓の桟をベンチ代わりに使うなど、部屋の用途が決まってないので、自分で創意工夫できるところがとても良いなと思いました。
人間は、普段の生活が自動操縦のようになってしまうと、生きている感覚が薄くなるのかもしれません。
三鷹天命反転住宅には「死なないための住宅」という別名があります。
「三鷹天命反転住宅 ヘレン・ケラーのために」という本には、
という荒川修作氏の言葉が書かれています。
最近は、転倒した時だけ柔らかくなる床などが、導入されている介護施設や病院などもあるようです。
転倒を防ぐのでなく、転倒しても骨折したりしない環境のほうが、年を重ねても自立心をはぐくめるのではないかと思います。
骨は刺激を与えないと、どんどん退化するようなので。
そういえば、三鷹天命反転住宅の床はコンクリートのように硬くなく、ちょっと土壁のような感じだったかも。
(「三鷹天命反転住宅 ヘレン・ケラーのために」には、左官職人による現代版「土間」と書かれていました)
「死なないための住宅」は、身体的な面もありますが、ワクワク好奇心を働かすことで心も死なないための住宅なんじゃないかなと思いました。
なお、今回わたしは1人で行ったので、ヘレン・ケラーのように目を閉じたり耳をふさいだりすることはしませんでした。
目をつぶって部屋の中を歩いてみたら、きっと触覚で新しい感覚を味わうことができたんだろうな。
最後に、
「22世紀の荒川修作+マドリン・ギンズ 天命反転する経験と身体」という本に書かれている、武蔵境駅にビーチを作る構想を語ったエピソードも面白いです。
という発想がすごいと思います。
南仏のマントンに30代で行った時、海岸でビキニ姿のお年寄りをたくさん見て、人生を謳歌してるな、と感じたけれど、確かにお年寄りになるのが楽しそう!と感じる人が増えたら、お年寄りのイメージもだいぶ変わるのかもしれません。
武蔵境駅のビーチも、ちょっと見てみたかったです。