雨下雫

あやふやが基本の私 小説同人サークル C1講義室やってます。 https://c1lectureroom.booth.pm/

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最近の記事

帰ってきてヘルニアマン

無事に終わったはずのヘルニア手術。 あの忌々しい坐骨神経痛の痛みからも解放されて、世界を無尽に闊歩できる。 そう思っていたのもつかの間。 実は坐骨神経痛、治っていませんでした。。 正確には左側に走っていた痛みは完治したのだが、痛みが綺麗に右側に反転したのである。 哀しいかな、私はまた足を引きずりながらの生活である。 自分の中でそれなりの覚悟を決めてメスを入れてもらっただけに、ちょっと凹んだ。 私の心が凹んでも腰椎に張り出したヘルニアは引っ込まないのがやはり哀しい。 このしつこ

    • あなたのために、手紙のように。

      小説を書いて、世に出したとき、一般的な作者はその作品にどうなってほしいと思うもだろうか。 なんらかの賞に応募して、あらゆる作品を押しのけ受賞の栄光を勝ち取る。 わりとイメージしやすいし、やはり名のある審査員に評価してもらいたいというのは世の物書きの強い願いなのかもしれない。 あるいはそういう認められたという指標として「ベストセラー」という称号がある。これもまた一つわかりやすい栄冠である。 広く読まれるというのは、やはりわかりやすい認められ方で、ついでにベストセラーであれば商業

      • 立秋の計

        もうすぐ立秋も近いので秋の文学フリマのことを考えないといけないなあと思ったりしている。 秋と言っても12月だから冬と言った方がいいのかもしれない。 ということはもう年末のことを考えないといけないということで、ちょっとげんなりしないでもない。光陰矢の如し。 年末の計は立秋にあり。 誰もそんなことは言ってないけれど、歳月は本当に矢の如く時間が過ぎるので、とっとと手を付けないといけないと思いながらなかなか手が付かない。 書きたいものは山ほどあるのになかなか手が動かないのが悲しい。

        • これっきり、ヨコスカ ~横須賀編~

          【おことわり】 続きですが、別に前のは読まなくても大丈夫です。前後のつながりはありません。 あと、観光情報とかグルメ情報だとか地域の素敵な情報などはありません。 それといってとりとめもありません。なんとなく横須賀についておもいだしたことを書き留めるだけで。ごめんなさい。 魂なき横須賀民テレビが横須賀に取材にやってくると、よく取り上げられる食べ物があります。 「横須賀のソウルフードと言えば、そう、ポテチパンです!」 ナレーションだとか、芸能人だとかが、そんな風に紹介してくださ

          これっきり、ヨコスカ ~久里浜編~

          【おことわり】 続きですが、別に前のは読まなくても大丈夫です。前後のつながりはありません。 あと、観光情報とかグルメ情報だとか地域の素敵な情報などはありません。 それといってとりとめもありません。なんとなく久里浜についておもいだしたことを書き留めるだけで。ごめんなさい。 クリハマってどう読むの。横須賀の外からやってきた人だとわかる瞬間が地名のイントネーションです。 例えばJR横須賀線の果て。久里浜駅。 地元以外の方だと割とクリハマの発音が違うので、すぐに市外の方だなあと思い

          これっきり、ヨコスカ ~久里浜編~

          これっきり、ヨコスカ ~浦賀編~

          これっきり、これっきり、もう。長らくふるさと納税を続けてきました。 そう、それは、ふるさと納税という制度ができるはるか前から。 横須賀市に生まれ育ち三十年以上。住民税の通知が来てからもう十年以上。 生まれ育ったふるさとにせっせと税金を納めているのに、市と来たら海軍カレーのひとつもくれやしません。 かたや私のふるさとに住んでいるのに、名前も場所もよく知らない土地に「ふるさと納税」をしている人が、おいしいお肉やらお魚やらを食べています。 しかもポイントも付くらしい!私だってふるさ

          これっきり、ヨコスカ ~浦賀編~

          深淵の零票確認

          今週末は都知事選ですね。 凄まじい数の候補者が出ての大混戦という感じではなく、ただただ掲示板やら政見放送やら選挙戦に混沌が生まれているだけというありさまで、都民の皆様におかれましてはさぞご心痛のこととお見舞い申し上げます。 でも候補者がいるだけましなのかなと思わないことはありません。 我が神奈川県は、昨年の県知事選で知事を四人の中から選ばないといけませんでした。 選挙期間中にうっかり不倫と気持ち悪いメールがばれてしまった現職のおじさまと、原発と基地と党批判を許さない人民の前衛

          深淵の零票確認

          ドリームジャンボ・ヘルニアくじ

          何週か前の記事にも書いた通りついに椎間板ヘルニアの手術をした。 おかげさまで手術自体は無事に終わり、憎き坐骨神経痛ともこれでおさらばとなりそうである。 まだ切ったばかりなので座ってるのはつらいけれど。 切ると決めるまでは心配だったが、決心してしまうとわりあい穏やかであった。 前の診察で医師から色々と何パーセントの患者が云々のトラブルで、そのほか零コンマ何パーセントの患者が後遺症でどうこうと、仔細に聞かされてはいたが、決めた以上は、あまり考えても仕方ない。 せめてものすごく低

          ドリームジャンボ・ヘルニアくじ

          秘匿のグルメ

          味にうるさいと言われる。 自分では全くそんなつもりはないのに言われる。 ジャンクフードも高級なお料理(ありつくことはないけれど)も駄菓子でも、それなりにおいしく頂ける、と自分では思っている。 思っているのだが、外食に出かけたときは確かに自分のなかで品評を加えてはいる。 定食の焼き魚がしっかり脂がのっていて、それが炭火でいい感じにあぶってあっておいしかったとか、ご飯の炊き方がたいへんよろしかったとか。 あるいは中華料理屋であんかけ五目焼きそばを食べたとして、麺はイマイチだったけ

          秘匿のグルメ

          パンダの皿

          5月の文学フリマの新作のテーマがパンダだったので家にあったパンダの平皿を持って行った。 こちらである。 ときどき古物屋とかフリーマーケットとかに顔を出すのだが、たまに「これだ!」というものを見ることがある。 根津でみつけたこのパンダの皿はまさに「これだ!」というやつであった。 ちなみに「これだ!」の自分のなかでの選定基準はよくわからない。 いままでの「これだ!」という品物は、宇宙飛行士のウサギとスプートニクっぽい人工衛星が描いてある子供用の茶碗とか、「一杯で満腹多楽福麺」と

          パンダの皿

          けもの触れんず

          これを言うとおそらく反感を買いそうな気がするのだが、勇気をもって申し上げる。実は生き物全般が苦手だ。 脊椎が有るものにせよ無いものにせよ分け隔てもなく、基本的にすべて苦手だ。 何か犬に嚙まれただとか、猫にひっかかれただとか、そういうトラウマエピソードがあるわけではなく、子供のころからなんとなく苦手で、それは今もあまりかわらない。 虫が苦手というのは共感してもらいやすいので、わりと大っぴらにも言えるのだが、犬とか猫だとか哺乳類系になると人に理解してもらえないような気がしている。

          けもの触れんず

          カニかまとカミサマ

          うちには神様が住み着いている。 いつか深夜にコンビニで「すあま」を買ってから見えるようになった。 「すあまー、すあまー、すあまをたもれよー」 体長一五〇センチほどのちんまりした彼女は、ほわほわした声で歌っている。 カミサマであるところの彼女はかまぼこのようなピンク色の袴の裾をひらひらとさせながら、家主の迷惑も顧みずベッドの上で踊り回っている。 名を「すあまのまみちゃん」という。 いつか「すあまの神様」と呼んだらことがあったが、ひどく怒られた。 「いやだ!カミサマだとカクカクし

          カニかまとカミサマ

          指詰とハラキリと私

          わりと痛みに弱い。 歯医者にかかれば、ちょっと削っただけでもあっけなく悲鳴を上げるので、いつも申し訳なく思っていたりする。 子供のころから注射も嫌いで(好きな人はあんまりいないと思うけれど)、予防注射のため病院に向かう道中、親の前から脱走したという前科もある。 昔のように怯えて逃げ出したりはしないけれど、今も注射は針が刺さっているところをまっすぐ見られなかったりする。 そのくせ最近は椎間板ヘルニアの治療で背中に注射ばかり刺されている。 神経ブロックは今年に入って三度打たれた。

          指詰とハラキリと私

          【短編小説】ことほぎのない町のどこかで

          同僚が逮捕された。 第一報の電話を取った者の受け答えの声から、月曜の朝のオフィスは騒然としていた。 同僚が逮捕されたという電話の内容は、正式な発表を経ずとも、それとなく課内に伝わり、我関せずとデスクでコーヒーを飲んでいる私の耳にも、噂がいやおうなく流れてきた。 「岡本、マジで捕まったのか」 「結婚式挙げたんだって」 「えーっ。結婚式? いまどきそんなことする人っているんですか」 「まさか、岡本君がねえ」 「いや、あいつなら、やりそうだよ。岡本、ちょっと右翼っぽいとこあったじゃ

          【短編小説】ことほぎのない町のどこかで

          文学フリマとパストラル

          先日開催の第38回文学フリマ東京にC1講義室として参加した。 東京流通センターでの開催はいったん終わり、次回は東京ビッグサイトに移るそうである。 C1講義室も初参加からはや八年。 第22回からの参加なので古参というわけではもちろんない。 それでもイベントの様子が変わってきたことをひしと感じる一日だった。 もろもろ前回に始まったことではないけれど、とにかくスペースを回り切らなくなった。 私たちが最初に参加した第22回のブース数が751で、直近の第38回が2096。 入場者も35

          文学フリマとパストラル

          ぼくはさくぶんがかけない

          子供の頃から作文が苦手だった。 というよりも、自分の感情を表明することに対する恐怖みたいなものがあったのかもしれない。 もはや過去の作文は残っていないので、読み返すことは叶わないが、結びの言葉がほとんど同じだったことは覚えている。 「楽しかったです」 「よかったです」 たしか昔、母にもあんたの作文はだいたいこの二言のどっちかで終わる、というようなことを言われた記憶があるので、実際そうだったのだろうと思う。 そもそも、小学校という教室の中で「楽しかった」「よかった」以外の感想を

          ぼくはさくぶんがかけない