季節は夜にやって来る
学校の近くにある、高い木々の生い茂った林
その林の中をかまわず進んでいくと
魔法つかいがやっているというランプ屋さんがある
そのランプ屋さんは、学校が終わったころ
こっそり、お店を開ける
看板はなくって、みんな、好き勝手に
魔法つかいのランプ屋、とか
林の中のランプの店、とか
言っている
わたしは
放課後ランプのお店
と、呼んでいる
そう呼んでいるのは
きっと、わたしだけだ
そのお店は、ランプ屋さんなのだけれど
ほんとは、ランプ屋さんではない
そのお店は、世界の季節を管理している
そろそろかな、コロアイをみて
魔法つかいが、夜おそく、林の中で
真夜中万華鏡をくるくる回す
次の季節にふさわしい景色があらわれたら
その真夜中万華鏡の回転を止める
それで終わり
それで、季節は、切りかわる
この前、わたしがつくった毒りんごと引きかえに
その真夜中万華鏡を手に入れた
だから、いま、季節は
わたしの手の中にある