肉にら炒め
アパートの庭でスイセンがきれいに咲いている
葉がニラのようだなあ、今夜は、肉にら炒めにでも
そんなことをツワブキカイトゥムリが思っていたら
食べちゃあいけませんよ
と、アパートの大家さん
心を読まれているようで
ツワブキカイトゥムリは、ドキリとした
まあ、ニラだったとしても
その庭のを食べることはないけれど
よくおばあさんから言われてましたからねえ
と、アパートの大家さん
すでにおばあさんの大家さん
そのおばあさんということは、ずいぶん昔の話かあ
と、これは、ツワブキカイトゥムリの頭の中のこと
ツワブキカイトゥムリが住むこのアパートの大家さん
何かとツワブキカイトゥムリのことを気にかけてくれているよう
ツワブキカイトゥムリの方でも、助かるなあ、と感じることが多い
ときどき、おかずを持って来てくれたりする
多くつくりすぎちゃってねえ、と
申し訳ないことだよなあ
と思いながら、けれど、すごくうれしい
それを、ほくほくしながら食べるツワブキカイトゥムリ
ツワブキカイトゥムリが大学に行くとき、大家さんは
いってらっしゃい
と、言ってくれる
それに、ツワブキカイトゥムリは
あ、いってきます
と返す、照れながら
大学から帰ってくると
お帰りなさい
と、言ってくれる
ツワブキカイトゥムリは
あ、ただいま帰りました
と返す、やっぱり、照れながら
ほんのときどき、大家さんから頼まれごとをする
ごくごく簡単なこと
それを、ツワブキカイトゥムリは、笑顔で引き受ける
田舎のおばあちゃんを思い出しながら
たいがい、大家さんのねこがじゃれてくる
ツワブキカイトゥムリは、ねこをなでてやる
ちなみに、大家さんのとこのねこは
顔を洗うのが、とってもヘタクソ