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【詩】母になった日

横たわる私のもとに連れてこられた
我が子を初めて見た時
想像と違うと思った

友達の子みたいな
親戚の子みたいな
不思議な感覚

手放しでかわいいとか
新生児室に並ぶ赤ちゃんの中で
うちの子が一番かわいいとか
全く思わなかった

9か月一心同体で過ごしたのに
別々の個体になったら
突然ほかの人

外見はどこも似ていない
それでも間違いなく家族で
間違いなく私たちの子

どこか冷めた目で見ていた
盲目な愛とは無縁な感じの
冷静な母親だった

それでも愛しさは感じていた
無償の愛を捧げられると思った
客観的に見てかわいいと思った

我が子が体内から出て5日目
私は突然別人になった
ホルモンの関係かもしれない

急に涙が止まらなくなった
我が子が愛しくて
かわいくてどうしようもなくなった

多分その時私は母になった
動物的な母親になった
何が何でもこの子を守ると思った

友達の子でも親戚の子でもない
自分の子だと本能で理解し
守るべきものができたと覚悟した

子が宿った瞬間でも
出産した瞬間でもない
女性はきっと段々母親になる
時間をかけて母になっていく

©2023 alice hanasaki

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花咲ありす
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