【小説】カレイドスコープ 第2話 恭平
前回
看板が無ければ廃屋と見間違えられる事が間違いないビルの3階に入居している事務所を出ながら恭平は、先ほど貰ったばかりの使い回されてくたびれた封筒を無造作に破って開けると、中には封筒に見合ったくらいに皺くちゃの一万円札が3枚ほど入っており、予想外の報酬額に気付いて一瞬足を止めた後、足取り軽く口笛を吹いてビルを後にした。
二日間拘束の仕事ではあったが、実働時間はそれぞれ3時間程度であったので、時給に換算すると五千円と割がよく、夜勤の仕事の合間に出来たのも恭平にと