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ポエトリー・ドッグス|斉藤 倫
「代表的な詩人は、みな酩酊しています。詩的にも、じっさいにも」(略)
「たしかに、しらふじゃないかもね」
そうすると、きっと、詩をつくるときの土台になってた、詩人のうちがわの〈感覚〉や〈意識〉や〈ことば〉が、こんどは、詩にうたわれるがわの客観物になってくる。想像したことも、観察したことも、いっしょくたにおなじテーブルに、並ぶ〈物〉になる。
「詩っていうのは、そういった、ぐらぐらしたテーブルなのかもね」
「このバーでは、詩を、お出ししているのです」
いぬのマスターのおまかせで31篇の詩が酔わせてくれる。
途中から予感はしていた。
これはまずい。
涙があふれて困る。
これはよくない。
もふもふのおててで出されるお酒で私も酔いたい。
おじいちゃんになっていくきみは本当にかわいかったよって。
「いぬというのは」
マスターは、いった。
「ぜんぶで、一匹なのかもしれないですね」
あーってため息をついた女性は、まるで私。