古代日本だってビジネススキルが必要だった話。~歴史で学ぶ戦略と仮説力~
2024年、わたしは古代史に興味がわき、
いろいろと勉強をしてきた一年になりました。
日本の古代史というと、
日本書紀と古事記、万葉集が文献になります。
これらの文献を調べていくうちに面白い事実を知りました。
それはこの日本の文献に記載されてない5人の王の存在です。
しかし、この5人の王は中国の文献の中に登場し、
「倭の五王」として記されています。
この倭の五王については、
日本の文献ではわからない、
当時の日本の外交力が示されていました。
歴史の謎というものは、
多角的に検証することで、
現代に役立つビジネス思考の強化にも役に立ちます。
特に、戦略や仮説力を養うには、
非常にいい学びとなるでしょう。
そこで今回は、
「倭の五王」について紐解きながら、
現代に通じるビジネス力を解説していきたいとおもいます。
倭の五王とは?
小難しいですね・・・。
簡単にまとめますと、中国の歴史書「宋書」に出てくる、
倭の国(現在の日本)5人の王がいて、
それぞれ、
讃(さん)・珍(ちん)・済(せい)・興(こう)・武(ぶ)
と記されています。
それぞれに当てはまる天皇はこの天皇なんじゃないかと、
現代でも研究が続けられています。
讃(さん)→応神天皇、仁徳天皇、履中天皇のいずれか
珍(ちん)→仁徳天皇、反正天皇のどちらか
済(せい)→允恭天皇
興(こう)→安康天皇
武(ぶ)→雄略天皇
倭の五王から学ぶビジネス戦略
その1:国際関係の構築
倭の五王は、積極的に中国との関係を築き、
貢物を贈るなどして友好関係を深めました。
これは、現代のビジネスにおいても重要な、
「グローバル化」
に通じます。
海外との取引や進出を検討するときには、
相手側の文化や慣習を理解し、
良い関係を築くことが成功への鍵となります。
特に倭の五王は、名前を、
「讃・珍・済・興・武」
と中国風の一字としました。
ちなみに日本の文献側からみてみると、
倭の五王にあたる天皇は応神天皇から雄略天皇の時代です。
しかし、「応神」や「仁徳」という名前は、
天皇の死後に贈られる名前であったため、
「宋書」内で記されている存命中は、
これらの名前は存在していないことになります。
したがってこの中国風の名前は、
当時の日本の天皇の別名とはいえども、
存命中の天皇の名前ということになりますので、
大変興味深いものです。
その2:情報収集と分析
倭の五王は、
中国の情報を収集し、
自国の政治や経済に活かそうとしていました。
当時の中国は、
世界においても最先端の文明国家であったので、
倭の五王も積極的に、
中国最先端の国家運営方法を学ぼうとしていました。
これは、現代の企業が、
市場調査や競合分析を行うことに似ています。
正確な情報に基づいた意思決定は、
ビジネスの成功するか否かを左右します。
その3:リスク管理
倭の五王は、
中国との関係を深める一方で、
自国内の安定も同時に維持する必要がありました。
当時の日本の国内には、
政権の正当性を証明する方法というものが、
まだ確立されていませんでした。
そこで中国の王朝(この時代は宋)の権威を後ろ盾にし、
政権の正当性を示しました。
日本の統治者として、
宋の皇帝から認めてもらうこと。
そして、配下の豪族たちにも宋の官爵(官位と爵位)を与えてもらうこと。
この2つを達成することで正当性を確立させました。
国内政権の勢力を拡大させつつ、
国際性をもって、正当性を確立することで、
リスクヘッジしたのです。
これは現代の企業が、
新しいビジネスに調整する一方で、
既存の事業を安定させる必要があることにも通じます。
リスクを最小限におさえながら、
新たな価値を生み出すことが求められます。
倭の五王から学ぶ仮説力
その1:外交能力
倭の五王は、中国との交渉において、
高度な外交能力を発揮したと考えられます。
これは、
遠く離れた中国の情報をしっかり掴んでいたということです。
情報をしっかり掴んだうえで、適切な交渉を行いました。
特に朝鮮半島における日本の利権について、
歴代の王は粘り強く交渉を行っていました。
ちなみに、
五王時代以降になると、
日本は急激に中国の情勢把握が稚拙になり、
やがて朝鮮半島をめぐる政治的判断を大きく誤ることになります。
その点において倭の五王は、
情勢把握と適切な仮説から、
政治判断を行っていたと思われます。
現代のビジネスリーダーも、
顧客
従業員
ステークホルダー
これらの人たちとの関係を築くうえで、
優れたコミュニケーション能力と交渉力が求められます。
その2:決断力
複雑な国際情勢の中で、
倭の五王は迅速な決断を迫られたことでしょう。
特にその1の外交能力の部分でふれた、
朝鮮半島の利権に関しては、
朝鮮の新羅や百済との激しい競争がありました。
そしてその意思決定には、
関係国及び、中国の盟主である宋の情勢が、
その決断を下すにおいて重要となります。
倭の五王の最後の王となった、
武(雄略天皇といわれている)は、
ついに宋から、
朝鮮六国の統治者として認められました。
これも複雑な情勢の中での意思決定の決断力の賜物といえます。
現代のビジネス環境もまた、
不確実性が高く、
迅速な意思決定が求められます。
特にグローバル化の著しい現代の企業経営においては、
非常に参考になるのではないでしょうか。
その3:長期的視点
倭の五王は、
長期的な視点を持って中国との関係を築きました。
これは、現代の企業が、
短期的な利益だけではなく、
長期的な成長を見据えた戦略
これらを考えて立てるべきことを示唆していると思います。
まとめ
歴史は未来への羅針盤
倭の五王は現在も諸説あり、
その詳しい実態はよくわかっていません。
しかし、中国の文献や、
日本の「日本書紀」や「古事記」を比較し、考察することは、
ビジネスにおける戦略立案や、
立案時に必要な仮説力を養うためのヒントを得ることができます。
歴史を学ぶということ。
それは過去の成功と失敗から学ぶことです。
そして学びで得たことは、
未来を予測するための羅針盤となってくれることでしょう。
編集:青羽ひかり
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