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古代日本だってビジネススキルが必要だった話。~歴史で学ぶ戦略と仮説力~

2024年、わたしは古代史に興味がわき、
いろいろと勉強をしてきた一年になりました。

日本の古代史というと、
日本書紀と古事記、万葉集が文献になります。

日本書紀

これらの文献を調べていくうちに面白い事実を知りました。
それはこの日本の文献に記載されてない5人の王の存在です。

しかし、この5人の王は中国の文献の中に登場し、
「倭の五王」として記されています。

この倭の五王については、
日本の文献ではわからない、
当時の日本の外交力が示されていました。

日本に存在したとされる謎多き5人の王

歴史の謎というものは、
多角的に検証することで、
現代に役立つビジネス思考の強化にも役に立ちます。

特に、戦略や仮説力を養うには、
非常にいい学びとなるでしょう。

そこで今回は、
「倭の五王」について紐解きながら、
現代に通じるビジネス力を解説していきたいとおもいます。


倭の五王とは?

倭の五王(わのごおう)は、中国南朝宋(劉宋)の正史『宋書』に登場する倭国の5代の王、をいう[注 1]5世紀初頭から末葉まで、およそ1世紀近くにわたり、東晋、宋、などの南朝に遣使入貢し(遣宋使)、またからも官職を授与された。倭の五王が記紀=『古事記』(712年)と『日本書紀』(720年)における歴代天皇の誰に該当するかについては諸説ある(後述)。

Wikipediaより

小難しいですね・・・。
簡単にまとめますと、中国の歴史書「宋書」に出てくる、
倭の国(現在の日本)5人の王がいて、
それぞれ、
讃(さん)・珍(ちん)・済(せい)・興(こう)・武(ぶ)
と記されています。

それぞれに当てはまる天皇はこの天皇なんじゃないかと、
現代でも研究が続けられています。

讃(さん)→応神天皇、仁徳天皇、履中天皇のいずれか
珍(ちん)→仁徳天皇、反正天皇のどちらか
済(せい)→允恭天皇
興(こう)→安康天皇
武(ぶ)→雄略天皇

倭の五王から学ぶビジネス戦略

その1:国際関係の構築

倭の五王は、積極的に中国との関係を築き、
貢物を贈るなどして友好関係を深めました。
これは、現代のビジネスにおいても重要な、
「グローバル化」
に通じます。

海外との取引や進出を検討するときには、
相手側の文化や慣習を理解し、
良い関係を築くことが成功への鍵となります。

特に倭の五王は、名前を、
「讃・珍・済・興・武」
と中国風の一字としました。

ちなみに日本の文献側からみてみると、
倭の五王にあたる天皇は応神天皇から雄略天皇の時代です。

応神天皇

しかし、「応神」や「仁徳」という名前は、
天皇の死後に贈られる名前であったため、
「宋書」内で記されている存命中は、
これらの名前は存在していないことになります。

したがってこの中国風の名前は、
当時の日本の天皇の別名とはいえども、
存命中の天皇の名前ということになりますので、
大変興味深いものです。

その2:情報収集と分析

倭の五王は、
中国の情報を収集し、
自国の政治や経済に活かそうとしていました。

当時の中国は、
世界においても最先端の文明国家であったので、
倭の五王も積極的に、
中国最先端の国家運営方法を学ぼうとしていました。

これは、現代の企業が、
市場調査や競合分析を行うことに似ています。

正確な情報に基づいた意思決定は、
ビジネスの成功するか否かを左右
します。

その3:リスク管理

倭の五王は、
中国との関係を深める一方で、
自国内の安定も同時に維持する必要がありました。

当時の日本の国内には、
政権の正当性を証明する方法というものが、
まだ確立されていませんでした。

そこで中国の王朝(この時代は宋)の権威を後ろ盾にし、
政権の正当性を示しました。

宋王朝の様子

日本の統治者として、
宋の皇帝から認めてもらうこと。
そして、配下の豪族たちにも宋の官爵(官位と爵位)を与えてもらうこと。
この2つを達成することで正当性を確立させました。

国内政権の勢力を拡大させつつ、
国際性をもって、正当性を確立することで、
リスクヘッジしたのです。

これは現代の企業が、
新しいビジネスに調整する一方で、
既存の事業を安定させる必要があることにも通じます。

リスクを最小限におさえながら、
新たな価値を生み出すことが求められます。

倭の五王から学ぶ仮説力

その1:外交能力

倭の五王は、中国との交渉において、
高度な外交能力を発揮したと考えられます。

これは、
遠く離れた中国の情報をしっかり掴んでいたということです。
情報をしっかり掴んだうえで、適切な交渉を行いました。

特に朝鮮半島における日本の利権について、
歴代の王は粘り強く交渉を行っていました。

ちなみに、
五王時代以降になると、
日本は急激に中国の情勢把握が稚拙になり、
やがて朝鮮半島をめぐる政治的判断を大きく誤ることになります。

政治判断の誤りで勃発した白村江の戦い。
友好関係にあった百済の要請を受け朝鮮半島の南「白村江」に出征。
唐・新羅連合軍と戦いましたが惨敗に終わりました。
軍を率いたのは中大兄皇子。

その点において倭の五王は、
情勢把握と適切な仮説から、
政治判断を行っていた
と思われます。

現代のビジネスリーダーも、

  • 顧客

  • 従業員

  • ステークホルダー

これらの人たちとの関係を築くうえで、
優れたコミュニケーション能力と交渉力が求められます。

その2:決断力

複雑な国際情勢の中で、
倭の五王は迅速な決断を迫られたことでしょう。

特にその1の外交能力の部分でふれた、
朝鮮半島の利権に関しては、
朝鮮の新羅や百済との激しい競争がありました。

そしてその意思決定には、
関係国及び、中国の盟主である宋の情勢が、
その決断を下すにおいて重要となります。

倭の五王の最後の王となった、
武(雄略天皇といわれている)は、
ついに宋から、
朝鮮六国の統治者として認められました。

雄略天皇

これも複雑な情勢の中での意思決定の決断力の賜物といえます。

現代のビジネス環境もまた、
不確実性が高く、
迅速な意思決定
が求められます。

特にグローバル化の著しい現代の企業経営においては、
非常に参考になるのではないでしょうか。

その3:長期的視点

倭の五王は、
長期的な視点を持って中国との関係を築きました。
これは、現代の企業が、
短期的な利益だけではなく、
長期的な成長を見据えた戦略
これらを考えて立てるべきことを示唆していると思います。

まとめ

歴史は未来への羅針盤

倭の五王は現在も諸説あり、
その詳しい実態はよくわかっていません。

しかし、中国の文献や、
日本の「日本書紀」や「古事記」を比較し、考察することは、
ビジネスにおける戦略立案や、
立案時に必要な仮説力を養うためのヒントを得ることができます。

歴史を学ぶということ。
それは過去の成功と失敗から学ぶことです。

そして学びで得たことは、
未来を予測するための羅針盤となってくれることでしょう。

編集:青羽ひかり

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