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筧裕介さん作『認知症世界の歩き方』
この本は、認知症の方がどう周りを見ているのか、場面場面でどういった感情を抱きやすいか、通常の旅行に出かける感覚に置き換えながら考えさせてくれる本です。
今回は、小説の解説ではなく、番外編ということで、認知症になっている方の「行動の理由」を解説しているこの本について、ネタバレ含みつつ考えてみたいと思います。
認知症の方に直接インタビューした内容をもとに研究された内容が、直感的にわかりやすいイラストと文章で描かれています。
熱湯や冷水になる、入浴するたび変わるお湯「七変化温泉」や、距離も方角も不明になる「二次元商店街」など、実際にある観光地のような名前を使い、認知症になった方の知覚が説明されていきます。
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散策マップのような、かわいらしく柔らかなイラストも用いながら文章が進んでいくので、どこかに旅行しているような手軽な気持ちで読むことができる本だと思います。
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7か所目の「七変化温泉」では、認知症のある方がお風呂に入るのを嫌がることが多い理由が書かれています。認知症になると、身体感覚が鈍感になり「極度にお湯が熱く感じる、浴槽に入るとぬるっとした不快な感覚がある」という方もいますし、空間認識が難しくなるトラブルで「服の着脱が困難である」という思いを持っている可能性もあるそうです。
お風呂というシーンひとつとっても、一人ひとり異なる心身機能の障害や、その組み合わせによって困りごとが生じているため、周囲から理解されにくく、そのことも暮らしにくさにつながっているそうです。
この本には、巻末に「旅のガイド」と書かれた認知症と生きていくための「具体的な知恵・ツール・情報」が載っていまして、認知症の方やその周りの方の「心がまえ」などが一から丁寧に書かれています。
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認知症になった方の周りにも配慮がつくされた、社会課題解決のデザインを研究している著者ならではの目線が活きている本だと思いました。
認知症じたいは、知らないうちにどこかに徘徊してしまったり深刻な側面がありますが、知覚的な変化の説明と、観光地マップを模したイラストにより、認知症についての理解をより深めていける本だと感じました。
また本屋に行って本をみてみたいと思います、ありがとうございました。
#読書の秋2022 #認知症世界の歩き方
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