「黄斑円孔」。サルの動物実験で、ES細胞を使用し、視力が改善!難治性も回復するか?
こんにちは、翼祈(たすき)です。
この記事のテーマは「黄斑円孔」ですが、まず説明をしたいと思います。
「黄斑円孔」とは、加齢などが原因で、特発性(特に原因がないもの)が最も多いです。硝子体と黄斑の癒着が強い人では、加齢に合わせて後部硝子体剥離や硝子体の収縮が起こり始めると、黄斑を引っ張る様になります。
この引っ張りが強くなると、最も薄い視細胞が密集する網膜の黄斑部に穴ができ、視力が悪くなる病気です。50歳以上の中高年者に見られることがほとんど、若い人にはほぼ認められません。
発症率は50歳以上の中高年者の0.09〜0.3%程度で、女性は、男性の2〜3倍多く発症し、高齢者、また強度近視眼の方が発症率が高いとのデータもあります。
一般的に、片方の眼に発症し、少しずつ視力が悪くなりますが、時間差(数ヵ月~数年)をもってもう一方の眼にも発症する場合もあります。
見ようとする部位(視線に一致する部位)が見えなかったり、歪んで見えたりして視力が悪くなります。周りは普通に見えます。治療しないで放置すると、0.1以下の視力になるケースがほとんどです。
治療法は、内服薬や点眼薬で有効なものはありません。確定診断後早期に、硝子体手術を実施します。手術を終えた時に、眼の中の水をガスと置き換えます。多くの場合、白内障の手術も同時に実施します。
この様な症状のある「黄斑円孔」ですが、先日サルを使った動物実験で、視力を改善させる方法が成功したとのニュースを観ました!
目の網膜の中心部が欠けて視力が低下する病気「黄斑円孔」を発症したサルに、色んな細胞に変化できる人の胚性幹細胞(ES細胞)から作製した網膜シートを移植すると視力が改善したと、兵庫県にある神戸市立神戸アイセンター病院などの研究グループが明らかにしました。
iPS細胞(人工多能性幹細胞)でもできるといい、その研究成果が国際科学誌にて発表されました。
今回は、神戸市立神戸アイセンター病院が取り組んだ、「黄斑円孔」の治療のためのES細胞を使ったことについて紹介します。
「黄斑円孔」の治療でES細胞を使った結果とは?
神戸市立神戸アイセンター病院の万代道子・研究センター長などは、人のES細胞から網膜の基になる組織を作製し、厚さおよそ0.1mm、直径およそ1mmのシート状に切り出しました。
この網膜シート1枚を、特殊な注射針を使って「黄斑円孔」のサルの眼球に入れ、穴が空いた部分を埋める様に移植しました。シートは円孔の周りの網膜と結び付きました。
半年後、画面に映し出された画像をこのサルに見せると、視線が正確に画像の方を向く回数が増え、視力の改善が伺えました。
参考:「黄斑円孔」のサル、ES細胞から作った網膜シート移植で視力改善…神戸アイセンター病院など 読売新聞(2024年)
後日談
神戸市立神戸アイセンター病院の研究グループは、ES細胞と性質が似ているiPS細胞でも治療はできるとしています。
万代センター長は、
「将来的に難治性の『黄斑円孔』への治療法に結び付けたいと思っています」
と説明しました。
眼科学が専門の、関西医科大学の教授の男性は、
「サルの目にES細胞を移植しても生着が良好だったことは、臨床応用に期待が持てる結果です。移植したシートが機能しているかどうかや、安全性に関してはこれからも検討が必要でしょう」
と述べました。
ここまで、「黄斑円孔」について触れてきました。潜在数含めて、患者さんが多そうなので、この動物実験でさらに色んなことを明らかにして、治る病気になります様にー。