2/15。そして、僕らは旅に出る。
5:30起床。
天気は曇り。
*
……。
……。
……。
「どこまで、行くんだい?」
××まで、だよ。
もしかしたら、もうちょっと先まで、行くかもね。
……。
……。
……。
「どこから、来たの?」
それはね……。
それは……。
あれ?
どこだったっけ?
行き先は、いつでも思い出せるのに。
来し方は、すぐに忘れてしまうんだ。
*
今日、僕らは旅に出る。……日帰り、だけどね。
僕らは、とあるワークショップに参加するため、東京行きを決めた。地元から、ぷらっと一時間半。……うん。帰省するのと、そんなに変わんないね。交通手段が、飛行機ってだけで。
飛行機……。乗るの、ひさしぶりだな。大学の、卒業旅行以来かな。あのときも、行き先は東京だった。でも、あのときと違うのは、一人で行くんじゃないってこと。
一人気ままに行くのもいいもんだけど、二人もいいもんだね。……って、尾道まで二人旅したときに、思ったんだ。一人でいるのは楽しいけど、二人でいるのも楽しい。
……ふふ、おかしいな。ずっとひとりぼっちだった人間が――ひとりぼっちを好んでいた人間が、誰かといるのが楽しいと、思えるなんて。きっと、パートナーのおかげだな。パートナーのおかげで、二人でいる楽しさに、気付くことができた。
それに……ふふ。つい、笑ってしまうな。行きたいイベントのために――会いたい誰かのために、遠くまで行くなんて、ひとりぼっちだった僕には、なかなか無かったことだ。成長だって、思っていいのかな。自分以外の誰かに会いたいと思える、そんな成長……。
それにしても、ふしぎなもんだな。あと数時間後には、何百キロも離れたところにいるなんて。いつもの「一時間半」なら、せいぜい隣の市まで行くくらいなのに。……それも、楽しみの一つかな。がらっと変わる景色は、僕に何をもたらしてくれるんだろう。
……あはは。今日は、楽しみでいっぱいだな。今回の旅は日帰りだけど、それでも、旅は旅だ。いつもと違う場所で、いつもと違うことも、いつもと同じこともやりたい。(もちろん、ぐったりしない程度にね。)……まずは、寝ぼすけさんを起こさなきゃね。それが、僕らの旅の始まりだ。
*
「僕だけが、鳴いている」
これは、僕とドッペルさんの話。もしくは、何か(を生む/が死ぬ)話。
連載中。