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1/22。夢も現も、わからないまま、泳いでいく。

5:30起床。

天気は晴れ。





……。
……。
……。


「痛いの? 痛いの?」


痛いよ。
痛くなるように、しているんだよ。
だから、放っておいてくれないかな。


……。
……。
……。


「痛いの? 痛いの?」


しょうがないじゃないか。
痛みを感じなければ、
僕は、





時々、本当に自分はここにいるんだろうか、と思うことがある。自分で自分の手に触れてみる。感触は、ある。自分で自分の頬に触れてみる。感触は、ある。けれど、実感は伴わない。自分は、ちゃんとここにいるんだという実感は。


離人症。現実感消失症の方が、わかりやすいかもしれない。つまるところ、目の前で起こっていること――たとえ、自分にとって重大なことでも、まるで、別の世界で起こっていることのように感じること。飴を舐めたときに発揮する味覚も、腕を引っ掻いたときに発揮する痛覚も、全部。


離人症だと診断されたことは無いし、そもそも、本当に離人症なのかもわからない。だからといって、それを医師に訴えるつもりはない。薬を追加されるのは嫌だったし、それに、離人症であることに対して、僕は何も思っていないから。離人症なのかどうなのかなんて、どうでもいいんだ、そんなことは。


けれど、僕は時々思う。僕は、目を覚ましていると思っているけど、本当は、まだ夢の中にいるんじゃないか、って。僕らが見ているのは、夢と現実じゃなくて、夢と現実……だと思わされている夢なんじゃないか、って。……ちょっと、妄想がすぎるかな。でも、僕は本気だよ。正気じゃないかも、しれないけど。


夢っていうのは、いつかは覚めるものだ。じゃあ、この夢にも、終わりが来るのかな。僕が、現実だと思い込んでいる夢にも。……もしも、これが夢だとしたら。僕は、夢の中で目を覚ましていることになる。明晰夢って、いうのかな。「これは夢だ」と自覚しながら見る、夢のこと。だから僕は、現実感を持てないのかな。ここは、現実じゃなくて、夢だから……。


離人症は、病気の名前だ。でも、もしかしたら、現実は現実じゃなかったと気付いてしまった人に付ける、名前かもしれない。だって、知られてはいけないから。現実だと思っていたものが夢だったなんて、知られてはいけないから。……まあ、この辺にしておこうかな。これ以上口にすると、秘密警察が来ちゃうから。なんてね。


時々、本当に自分はここにいるんだろうか、と思うことがある。でも、それ以上に、思っていることがある。僕は、ここにいる。ここが、夢だろうと現実だろうと。僕がいるってことには、変わりない。僕は、ここにいる。夢か現かわからない世界を、生きている。





有料連載「僕だけが、鳴いている」

これは、僕とドッペルさんの話。もしくは、何か(を生む/が死ぬ)話。

連載開始まで、あと4日。


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相地
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