3/15。その情熱は、今はいずこに、
5:30起床。
天気は晴れ。
*
……。
……。
……。
「ひさしぶり」
はじめまして……じゃないんだね。
どこかで会ったことがあるんだね。
でも、
僕は、
君のことなんて、
……。
……。
……。
「いいえ、知っているはず」
僕が知っているのは、僕のことだけだよ。
ああ、
つまり、
そういうことなのか。
君は、
*
昨日は、いつのまにか寝てしまったらしい。一度目を覚ましたときは、23時を回っていた。23時……。就寝時刻じゃなくて、起床時刻だなんて。(もちろん、またすぐに眠ったけど。)昨日は、よっぽど疲れていたらしい。……ああ、そうだ。一つ、覚えていることがある。完全に眠ってしまう前に、何週間ぶりに、アルマカンのギターを聴いたんだ。
アルマカン。うちのアパートの住人。顔も部屋番号も知らない。(名前は、僕が勝手に付けた。)知っていることといえば、時々ギターを弾いているということだ。僕も、昔はギターを弾いていたので、そのぎこちない音には、なじみがあった。
……そうそう。いつもなら、じゃんじゃか弾いているアルマカンだけど、昨日は、ちょっと違っていた。耳に残っているのは、低音域に当たる5、6弦を引っ掻くような音。何かの技でも、練習していたのかな。そんな技あったのか、覚えていないけど。
ギター……。僕も持っているけど、当分弾いていないな。学生の頃は、じゃんじゃか弾いていたというのに。アルマカンのように。今じゃ、弦を押さえるから、かちこちに固くなっていた左の指先も、柔らかくなっている。たぶん、今でもある程度は弾けるだろうけど、昔のように情熱を持って弾けるのかは、自信がない。それを考えると、アルマカンが羨ましい気がした。
昔、ギターの練習をするために酷使していた指は、今は、PCのキーボードをぱちぱち打つために動いている。(酷使はしていないけどね。)ギターから、もの書きへと、情熱が移動した。ただ、それだけのことだ。
アルマカンは、ギターをいつまで弾きつづけるんだろう。僕は、学生の頃はよく弾いていたけど、卒業してからは……。(うちのアパートには学生が多いから、アルマカンも学生なんだろう、たぶん。)
アルマカン。じゃんじゃか弾ける今の内に、弾いておいた方がいいよ。その情熱が、冷めない内に。その情熱は、ギターじゃない何かをしたくなっても、燃えつづけると思うから。君の行く末が、楽しみだな。
*
「僕だけが、鳴いている」
これは、僕とドッペルさんの話。もしくは、何か(を生む/が死ぬ)話。
連載中。