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3/15。その情熱は、今はいずこに、

5:30起床。

天気は晴れ。





……。
……。
……。


「ひさしぶり」


はじめまして……じゃないんだね。
どこかで会ったことがあるんだね。


でも、
僕は、
君のことなんて、


……。
……。
……。


「いいえ、知っているはず」


僕が知っているのは、僕のことだけだよ。


ああ、
つまり、
そういうことなのか。


君は、





昨日は、いつのまにか寝てしまったらしい。一度目を覚ましたときは、23時を回っていた。23時……。就寝時刻じゃなくて、起床時刻だなんて。(もちろん、またすぐに眠ったけど。)昨日は、よっぽど疲れていたらしい。……ああ、そうだ。一つ、覚えていることがある。完全に眠ってしまう前に、何週間ぶりに、アルマカンのギターを聴いたんだ。


アルマカン。うちのアパートの住人。顔も部屋番号も知らない。(名前は、僕が勝手に付けた。)知っていることといえば、時々ギターを弾いているということだ。僕も、昔はギターを弾いていたので、そのぎこちない音には、なじみがあった。


……そうそう。いつもなら、じゃんじゃか弾いているアルマカンだけど、昨日は、ちょっと違っていた。耳に残っているのは、低音域に当たる5、6弦を引っ掻くような音。何かの技でも、練習していたのかな。そんな技あったのか、覚えていないけど。


ギター……。僕も持っているけど、当分弾いていないな。学生の頃は、じゃんじゃか弾いていたというのに。アルマカンのように。今じゃ、弦を押さえるから、かちこちに固くなっていた左の指先も、柔らかくなっている。たぶん、今でもある程度は弾けるだろうけど、昔のように情熱を持って弾けるのかは、自信がない。それを考えると、アルマカンが羨ましい気がした。


昔、ギターの練習をするために酷使していた指は、今は、PCのキーボードをぱちぱち打つために動いている。(酷使はしていないけどね。)ギターから、もの書きへと、情熱が移動した。ただ、それだけのことだ。


アルマカンは、ギターをいつまで弾きつづけるんだろう。僕は、学生の頃はよく弾いていたけど、卒業してからは……。(うちのアパートには学生が多いから、アルマカンも学生なんだろう、たぶん。)


アルマカン。じゃんじゃか弾ける今の内に、弾いておいた方がいいよ。その情熱が、冷めない内に。その情熱は、ギターじゃない何かをしたくなっても、燃えつづけると思うから。君の行く末が、楽しみだな。





「僕だけが、鳴いている」

これは、僕とドッペルさんの話。もしくは、何か(を生む/が死ぬ)話。

連載中。


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相地
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