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なりたい自分
私は写真を撮る時に、大体スマホに初めから搭載されているカメラを使って撮影する。
でも、世の女子はカメラアプリをインストールしてナチュラルに盛ったりしていることがあるらしい。
ということで、私もナチュラルに盛れるカメラアプリをインストールしてみた。
そんで、自撮りしてみた。
おお、可愛く映るじゃん。
ちょっとテンション上がり気味で夫に写真を見せるとこう言われた。
「加工されたmocoちゃんより、自然なmocoちゃんの方が断然良い。」
普通は喜んでいいはずなのに、私は胸にぽっかりと穴が空いてしまった。
ここで虚しい気持ちになるから、うつ病なのかもしれない。
だから、繊細と言われるのかもしれない。
ただ、私はその言葉の後、しばらくずっと黙ってその写真を見つめていた。
誰だ、これ…。
本当に、加工されたただの偽物の私だ。
偽物の私。
私は特別美人でもなんでもないのだが、昔から演劇を観るのもするのも好きで、大人になってから女優・モデルを目指して、とある芸能事務所に入っていたことがあった。
一応これでもちょこちょこお仕事させていただいたこともあり、CMにも出たことがあるし、プロのカメラマンに写真を撮ってもらったこともある。
アメリカの日系の雑誌のモデルのオファーが来たこともあったが、就職活動中だったので断ったこともある。
ただ、仕事をしていく中、なんとなく、私に合わないなと感じて辞めてしまった。
その時も、なんだか、私が私でないような気がして、偽物だった気がする。
加工されていない私ってなんなんだ…。
私は自分に自信がないから、素の私がいいと1ミリも感じられない。
でも、夫は素の私が良いと言う。
だけど、それに共感できない私がいる。
私は、多分私がよく分からないのだ。
自分のアイデンティティをどこかに失くしてしまったから。
本物の私も、偽物の私も、分からない。
じゃあ、視点を変えて私はどんな自分になりたいのだろうか。
女性に好かれる、かっこいい女性でありたいと思う。
私は女の子が好き。
女の子らしいものも好き。
女の子のために活躍したいという願望がある。
実際ゲーム業界は男性社会で、男性社員が8割で、ゲームを手に取ってくれるユーザー様も男性が多いから、矛盾しているところはあるのだけれど。
いつか、女性に勇気と元気を与えられるゲームが作りたいと心底思っている。
そのために、ゲーム業界に新しい風を吹かせたいと思っている。
そんな野望が密かにある。
私は、山口智子さんみたいな、サバサバしたかっこいい女性になりたい。
周りにとって青空みたいな、微風みたいな、気持ちの良い存在になりたい。
そして、50代になっても、60代になっても、おばあちゃんになってどんどん歳をとっても、夫と手を繋いで歩きたい。
夜、夫が隣で寝てくれることに、泣きそうなくらい幸せだなって感じたい。
素の私を良いと言ってくれた夫を、大事にしたい。
そして、そんな私の気持ちをまるごと全部、すごく、すごく大事にしたい。