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小説の出版には時間がかかるというお話

今回は、小説本の出版の流れを書いてみたいと思います。
まぁ、基本的なことは知ってる方も多いとは思いますが……。

まずはざっくりとしたプロットの【打ち合わせ】
次はどんな話を書きますか~?という。
シリーズ物の場合は、キャラクターや世界観が決まっているので、
新規で書くよりも、プロットは時間がかからないですね。

そして作家さんからあがってきた【プロット】
修正したりして完成!となると、【執筆】に入ってもらいます。

売れ行きに一番関係する部分は、実はこのプロットの段階です。
キャラやお話が面白いかどうかは、すでにこの最初の段階で、
ある程度決まってしまっている
、という……。
もちろん、書きあがってみないと、本当に面白いかどうかは
わからないものではありますが、ネタが一番大事、というのは
小説もドラマも映画も、変わらないかなと思います。

原稿が書きあがると、【脱稿】となり、編集者が原稿を読みます。
初めの原稿ですので、初稿と呼びます。

大体の場合、修正が入ることが多いです。
もちろん、修正なしでそのままOK!という場合も
あるかもしれませんが。

その修正をどこまでやるか、というのを作家さんと相談し、
原稿を修正してもらいます。
これを、【改稿】と言います。

改稿は、1回で済むこともありますし、
大長編であったり、あまりにもひどい初稿の場合は、
何度も改稿を行ったりします。

そして改稿が終わり、【完成稿】となると、
いよいよ印刷所に【入稿】となります。

ちなみに印刷所に入稿するのは、当たり前ですが、紙の本だけです。
電子書籍は印刷所を介さないので、
紙の本より、だいぶスピーディに仕上がります。

印刷所から出てきた原稿を【ゲラ】と言います。
ゲラは、校正者に渡します。

出版社や編集部によって違うのですが、
大体は編集者と校正者は別のことが多いです。
予算の関係で、校正もやる編集者もいますが……。

ちなみに私は、校正もやったことがあります
小さい編集部や、自由な編集部だと、
校正も含めて編集、というくくりだったりします。
大手出版社だと、校閲部という校正を専門にやる部署があるので、
編集者は校正はしません。

だからと言って、ゲラになった原稿を、
編集者が読まないか、というとそうではありません。
改稿の段階で拾いきれなかった修正を、
ここで修正したりします。

校正者が見るのは、誤字脱字を含め、
史実等、書かれていることに間違いはないか、
差別表現はないか、日本語の表現として
おかしなところはないか
……等です。

一方で、編集者が見るのは、
物語や伏線としておかしなところはないか、
キャラクターの言動で反感を買う部分はないか
……等、
間違い、というよりは読者の視点としてみた場合に、
違和感を感じる部分です。

そういった指摘を、ゲラに書き込んでいきます。
校正が終わると、その校正入り原稿を、
著者に渡し、【著者校正】をしてもらいます。

編集者や校正者は「指摘」を書きますが、
それを修正するかどうかは、作家さんに委ねられています
(誤字脱字、明らかな日本語の間違い、
差別用語等は強制的に修正となりますが)

この校正ですが、大体は1回のみのところが多いかと思いますが、
大手出版社で文芸の部署だったりすると、校正は2回入ってきたりします。

つまり、校正→著者校正→(編集者チェック)→印刷所→校正(2回目)
→著者校正(2回目)→(編集者チェック)→印刷所
という流れです。

うーん……長いですね。
校正者による校正は、2週間~1ヵ月くらいかかります。
著者校正は、早い方は1週間くらいで仕上げますが、
大体、2週間程度はかかることが多いです。

校正がすべて終わると、【校了】します。
これでもう、修正は終わりです。
あとは【刷り出し】で最後に確認したりしますが、
この段階で修正したりするのはあまりよろしくありません。

刷り出しをチェックして印刷所にOKを伝えると、
【印刷】となり、本が出来上がります。

……ふぅ~、長かったですね~!
小説の文章のほうは以上ですが、
ラノベの場合は、イラストもあります。

表紙カバーイラストと、本文モノクロイラストでは、
また作業工程も、入稿も違ってきます
カバーイラストはイラストが上がった後に、
タイトル等を入れてデザインをする必要があります。

文章とイラストは、同時進行で進めていきます。
イラストについて書くと、また長くなってしまうので、
こちらは別の機会に「ラノベにおけるイラストについて」
というようなタイトルで、書きたいと思います。

1冊の紙の本ができるまでには、けっこう手間と労力、
そして時間がかかる
んですよね~。
ここに営業部やら表紙デザイナーやら書店やら
絡んできますので、まぁ、けっこう大変な作業です。

それに比べると、電子書籍はかなり手間を省いた、
スピーディに出版できる方法
です。
やはり、「リアル」と「ネット」では、労力が雲泥の差ですね…。
それを考えると、紙から電子に移行していってるのは、
自然な流れなのかな、と思ったりします。



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