【発達支援】TEACCHって何? ASDの人を生涯にわたって支える取り組みについて解説します!
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こんにちは、療育作業療法士のかいとです!
今回は「TEACCH」について解説していきます!
見慣れない単語ですよね。TEACCHは「ティーチ」と読みます。
TEACCHは簡単に言うと、ASD(自閉症スペクトラム障害)の方が過ごしやすい環境を、生涯に渡って作っていく取り組みのことです。
またAhneでは、このTEACCHの考え方を取り入れた、お子さまが楽しみながら取り組める療育ゲームをご紹介した記事も投稿しています!
今回の記事でTEACCHについてご興味を持っていただけましたら、ぜひこちらの記事も合わせてご覧ください!
ASDの方のQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)を向上させるために有効な考え方が盛りだくさんとなっています。
ぜひ最後までご覧ください!
TEACCHって何?
「TEACCH」は、「Treatment and Education of Autistic and related Communication-handicapped CHildren」という英語の頭文字をとった単語です。
この英語は、直訳すると「自閉症及び、それに準ずるコミュニケーション課題を抱える子ども向けのケアと教育」となります。
TEACCHでは、ASDの診断や評価から、療育プログラムの実施、就労支援、さらには家族や支援者のサポートなども行います。
まさに「全部のせ!」ですね!
こうした包括的なプログラムにより、ASDの人やその家族を生涯にわたって支援できる点が、TEACCHの強みです。
TEACCHのメリット
①構造化された教育環境
TEACCHでは、学習環境を明確に構造化することを重視しています。
「構造化!」というとこれまた難しく感じますが……
ここでは、「ASDの人が学習しやすい仕組みをつくること」だと思ってもらえればOKです!
ASDのお子さまには、目の前に無いものが想像しにくい、聴覚よりは視覚的な認識の方が得意である、といった特性が見られます。
そこでTEACCHでは、視覚的なサポートを充実させ、スケジュールや活動の進行をわかりやすく示すなど、構造化されて、仕組みが整理された学習環境を作り出しています。
こうした環境を整備することによって、ASDのお子さまが安心して学習できるようになります。
②視覚的な支援
先述したように、ASDのお子さまは、視覚的な情報を理解しやすい場合が多いです。
そのため、TEACCHでは視覚的な手がかりや、カード、写真、ピクトグラムなどを多用して、日常のタスクや学習内容を明確に示すようになっています。
③個別化されたプログラム
TEACCHでは、それぞれのお子さまに合わせた最適なプログラムを設定することができます。
これは、大人数で同じ授業を受けることが基本となっている従来の学校教育では難しいことです。
ASDは、文字通りスペクトラム=連続的な特性を持った障害であり、お子さまによって、持っている特性や、その強弱はさまざまです。
そのため、一人ひとりに適した方法やアプローチを採用することが重要になります。
④家族との協力
TEACCHの大きな特徴のひとつが、専門家や家族、教員などの支援者やASDの方本人が一体となってプログラムを運用していくという点です。
つまり、プログラムの中には、ASDの方のご家族に対する支援も含まれているのです。
ASDの方のご家族は、専門家による支援のもと、お子さまのニーズを理解したり、日常生活の中でお子さまをサポートしたりするためのアドバイスを受けることができます。
誰もが置いてけぼりにならないように、工夫されているんですね!
⑤長期的支援
幼少期から成人期まで、長期的な支援を提供することもTEACCHの特徴です。
従来の支援では、主に幼少期から児童期に必要となる教育・発達などの支援を行うことに重点が置かれていました。
たとえば、特別支援学校などの学校の存在などは、読者の皆さんもイメージがしやすいかと思います。おおむね18歳までの方は、こういった支援が受けやすいよう仕組みが作られています。
ですが、18歳を超えたその後はどうでしょう?
青年期~成人期に必要になるような就労支援などが足りず、最悪の場合には支援を打ち切られた人が路頭に迷うというケースも少なくないのです。
TEACCHのプログラムには、幼少期から児童期に必要な教育・発達の支援はもちろん、青年期や成人期に必要になる就労支援なども含まれています。
ASDのお子さまが、幼少の頃から、大人になったときまで、支援を継続的に受けることができることが、TEACCHの強みとなのです。
TEACCHのデメリット
①人手とリソースの必要性
TEACCHプログラムの実施には、多くの時間と労力、人手が必要になるというデメリットがあります。
それぞれのお子さまに応じた個別プログラムや、視覚的な支援に必要な教材などの作成には、多くの人手が必要になります。
その子に応じた環境を整備するためにもリソースを割く必要があり、学校や家庭にとっての負担が大きくなる場合があります。
②一般教育への移行が難しい場合がある
TEACCHの強みとして、環境が整理され構造化されているため、ASDのお子さまが学習を進めやすい点を挙げました。
ですが一方で、TEACCHの環境に慣れたお子さまが、一般的な教育環境に移行する際に困難を感じるおそれがあるというデメリットがあります。
一般的な教育環境は、TEACCHプログラムで提供される環境ほど構造化されていません。高い柔軟性や臨機応変さも求められる場合も多いです。そのような環境に、お子さまがうまく適応できない可能性があります。
③すべての自閉症スペクトラムの子どもに有効とは限らない
TEACCHでは、確かにASDの方に適した視覚的な支援や構造化された環境が提供されています。
ですが、ASDだからといって、すべての人がこれらの支援に適合するというわけではありません。TEACCHの支援が、すべてのASDのお子さまに効果的とは限らない点に注意が必要です。
同じASDのお子さまでも、異なるアプローチや方法論の方が効果的である場合もあります。
専門家と相談して、お子さまに合った方法を選ぶことが大切です。
もちろんAhneでも、お子さまにどんな療育プログラムが合うか、ご相談やご提案を行っておりますよ!(代表のかいとは、作業療法士の国家資格を持った、療育の専門家です!)
気になることがあれば、記事の最後にある公式LINEから、いつでもご連絡くださいね。
④専門的な訓練が必要
TEACCHを実践するためには、家族や教員などの支援者が専門的な訓練を受ける必要があります。
訓練には時間と費用がかかるため、すべての教育機関が対応できるわけではないというのが現状です。
結論:TEACCHが合うかは人それぞれ
ここまで、TEACCHのメリットとデメリットをご紹介してきました。
TEACCHは、ASDの子どもたちにとって非常に有効な支援方法です。特に視覚的な支援を活用する点や、それぞれのお子さまに最適化されたプログラムを実施できる点は、TEACCHの大きな強みです。
ですが、大きなリソースや、専門的な知識を身に着けるための訓練が必要になってくる点はデメリットでした。
また、TEACCHがすべてのお子さまに合う方法ではないという点には、注意が必要であることもわかりましたね!
さいごに
ここまで記事をお読みいただきありがとうございます!
今回は、TEACCHプログラムの特徴と、メリット・デメリットをそれぞれご紹介してきました。
Ahneでは、専門知識のある療育作業療法士による個別相談や、発達障害や療育についての講義型学習、今日からできるおうち療育のご提案なども行っております。
もちろん、本日ご紹介したTEACCHプログラムについてのご相談も受け付けております!
「TEACCHについてより詳しい内容を知りたい」「うちの子にTEACCHプログラムは合っているか相談したい」など、ぜひAhneにお声がけください!(その他のご相談も大歓迎です!)
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最後までご覧いただきありがとうございました!
【この記事を監修した人】
かいと
Ahne代表。療育作業療法士。
こころの問題についての知識も豊富で、「心理×作業療法」の組み合わせで心身の両面を支援できることが強み。様々な療育現場での支援経験アリ。
【この記事を編集した人】
リル
Ahneライター。元書籍編集者。
note記事のほか、Ahneオリジナルの教科書を鋭意制作中。