シン・SaaS時代のマネタイズ戦略。否、プロダクト戦略。
こんにちは!
今回は、弊社の肝となっているプロダクト「申込受付くん」を例に、シン・SaaSのあり方について書こうと思います。
前回の復習
弊社は13ものプロダクトが存在しますが、全てのプロダクトの肝となっているのが申込受付くんだ、というお話をしました。それはリアルタイムな物件データベースという他社との圧倒的競合優位性を作り上げているからです。
SaaSとして、ただ便利を提供しているだけではなく、データを活用した新たな価値提供をしているという点が、弊社のビジネスモデルの特異性であることも述べました。
儲からない事業ドメイン
Next SaaS Media Primaryの早船さんが業界特化型×中小企業をターゲットにしたサービスに対し以下のようなコメントが書かれていました。
不動産や建設などたくさんの小規模事業者が存在するようなドメインは、一般的に儲からない領域と言われ、SaaSの展開が後回しにされてきました。ARPUが低くなりがちで、営業効率が低く見なされていたからです。
一般的にバーティカルSaaSと呼ばれるサービスは多くが長期的な成長ビジョンを見出しにくい状況にあるのではないかと思います。
しかし、SaaSが世の中にこれだけもてはやされ、数多くのSaaS企業が誕生した結果、多くの「美味しい市場」は既にポジションを取られてしまっていると思われます。なので、シン・SaaS時代においては、
ホリゾンタルSaaS(業界・業種を限定しないSaaS)でまだ勝てる市場を見つけ出す
バーティカルSaaS(業界特化型SaaS)で何とか勝ち筋を見つけ出す
のいずれかの戦略を取ることになります。
そんな中でバーティカルSaaSの道を選んだイタンジですが、どのように成長してこられたのかお話してみようと思います。
成長を続ける2つのポイント
SaaS上場企業のARRランキング(TOP30)を見ると多くがホリゾンタルSaaSであることが分かります。バーティカルと言えるのはエス・エム・エスさん、メドレーさんなど数社に留まります。
そんな中で弊社は非上場(親会社のGA technologiesは上場)ながらARRランキングの中に入れ込んで見ると27位に位置することが分かります。つまり単体でも十分に上場できるだけの売り上げ規模があるわけです。
市場が小さいバーティカルSaaSにおいて、企業成長を目指すために2つの方法があると考えています。
一気通貫のサービスラインアップ
月額以外のマネタイズ
一気通貫のサービスラインアップ
ホリゾンタルSaaSでもfreee会計やfreee人事労務など、1顧客に複数プロダクトを導入してもらう動きは取られています。しかし、バーティカルSaaSの場合はその本気度がもう5段階くらい高くないと、成長戦略を描くことができません。
収益構造上、ホリゾンタルSaaSは無限とも言える多くの企業に広く導入してもらうことで売り上げが成長していきます。一方でバーティカルSaaSの場合は、そもそも顧客数が限られているため、1顧客に多くのプロダクトを導入していただく必要があります。
よって、プロダクト数が多くなるのは必然です。実際にイタンジは2024年2月現在13プロダクト展開しており、同時に複数の新規事業が動いています。
ちなみに複数プロダクトが常に動いている中の様子をお伝えすると・・・
常にプロダクトを生み出し続けるのは本当に大変なのですが、その分やりがいを感じて働いているメンバーは多いと思います。例えばエンジニアの場合だと、必然的に小さなチームでプロダクトを開発するので、手触り感を持って仕事をしやすいですし、自分の仕事が爪痕として残る感覚は得やすいはずです。
話がそれたので元に戻します。
レイヤーXさんが代表的ですが、少し前から、狭い部分だけを行うのではなく、複数のポイントに同時に取り組み、企業にとってより大きな問題を解決しようとする、いわゆるコンパウンドスタートアップについてよく聞くようになりました。しかし、バーティカルSaaSの中の人としては、かなり前から、コンパウンドスタートアップを意識したプロダクト戦略を意識しないと生き残れなかったよな・・・というほどに一気通貫のサービスラインアップが浸透していると言えます。
月額以外のマネタイズ
一気通貫のサービスラインアップを抱えたから急角度での成長が見込めるのか?というとそうではありません。シン・SaaSの時代においてはマネタイズにもうひと工夫が必要です。
今回のメイントピックであり、ようやく前々回の記事で告知した申込受付くんの解説になるのですが、申込受付くんはSaaSのようでSaaSではありません。売り上げのうちの何割かが月額費用以外から生まれてきているためです。
入居申込フォームのサービス
申込受付くんは、お部屋探しをするエンドユーザーが管理会社へ入居の申し込みをするためのフォームサービスです。
さて、この入居を申し込むフォームがイタンジの生命線であるリアルタイムな物件データベースと、月額以外のマネタイズポイントを作り上げているのですが、今回はマネタイズ部分のお話をしようと思います。
マネタイズのポイントは、入居申込をするタイミングです。
当たり前ですが、入居の申込をするのは、引っ越しをする直前(2週間〜1ヶ月前)です。入居希望者は次の引っ越すステップでよくある面倒ごとがあるのですが何でしょうか?
それは電気やガス、通信などのインフラの切り替えです。
電力会社やガス会社、通信会社に連絡をして切り替えてもらわなければなりません。
一方で電力自由化などにより、引っ越すタイミングで入居希望者にマーケティングを行いたい事業者も存在します。
イタンジは、申込受付くんの入居申込をトリガーに、入居希望者とインフラ事業者のマッチングを行っています(※インフラサービスのご案内を希望された入居希望者様が対象)。この時にインフラ事業者様側から料金を受け取るマネタイズ戦略を取っているわけです。そのため、多くの不動産会社様に無料で申込受付くんを提供することが可能になっています。
入居希望者:ライフラインの契約手続きが楽
インフラ事業者:CPAが劇的に下がる
不動産会社:無料でイタンジサービスを使える
という三方良しなマネタイズになっているます。
革命的なビジネスモデル
イタンジは一般的なSaaSでは考えられなかった、新たなマネタイズ方法で成長してきました。マッチング型のビジネスモデルを構築することで、中で働くメンバーとしては、toCのように世間一般に広く影響を与えられていることにワクワクを感じています。
今後はマッチングできる商品ラインアップを拡充していきたいと考えており、推進してくださるBizDev、アライアンスセールスの方を強く求めています。
世の中を変革するダイナミズム
また、一気通貫のサービスラインアップにより業界全体のバリューチェーンを網羅する連続的なプロダクト展開を目指していることから、1つの世界を大きく変える可能性を秘めています。
不動産業界での働き方のデファクトスタンダードを自分たちがシステムを通して創っている感覚は、中で働いていてとってもワクワクします。大きな世界観を描いたバーティカルSaaSで働くからこそ得られる特権なのではないかなあと思います。
また、イタンジはプロダクトの性質上、引っ越しを検討しているエンドユーザーさんにもアプローチしています。つまり部屋探しや暮らし方にも大きな影響を与えられるわけです。
toB企業でありながら、世の中一般の多くの方に使っていただけるプロダクト。ビジネス目線でも、エンジニア目線でも面白い会社だと思います!
カジュアルに話してみませんか?
長々と記事を読んでいただきありがとうございました。
少しでもイタンジが描く世界観にワクワクしていただければ幸いです。
もう少し話を聞いてみたいという方は、ぜひカジュアルにお話しましょう!今は転職を考えていなくても、ただの情報交換でも構いません。私もあなたのワクワクを聞かせてください!