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【写真】1930⇄2016,赤坂 [CURATION ⇄ FAIR Tokyo] 02

  クラシカルと、

 ラグジュアリーモダン。

 CURATION⇄FAIR Tokyo。

 九段下の洋館、kudanhouseから移動した先では、そんな究極の2会場での展示が待っていた。




九段下→赤坂までの道

 もちろん、九段下から赤坂まではそれなりの距離があると知っていた。でもグーグルマップを見て「徒歩45分か……」となぜか納得して歩き出した。道に迷ったりする分はもちろんカウントせずに。

 空を仰ぎつつ、

 靖国神社の横を通り過ぎ、

 お堀を左手に見ながら(さすがに間違えない)、

 若干、遠回りにはなったものの、

 名和晃平の「ホワイトディア」が待つ、赤プリ跡地へ。


赤坂プリンス クラシックハウス

 作品展示は2階。

赤坂プリンス クラシックハウス
赤坂・紀尾井町でひときわ美しい存在感を放つ洋館。1930年に旧李王家の邸宅として建設され、その後「赤坂プリンスホテル旧館」として長年多くの人に親しまれ、2011年に東京都指定有形文化財に指定されました。大規模な保存改修工事を経て、2016年に「赤坂プリンス クラシックハウス」として新たな歴史を歩みはじめました。

通常時は見ることができない2階の寝室や書斎・談話室などプライベートな暮らしの空間を軸に設計された同館で特別なひとときをお楽しみください。

同上

共振、または1930

赤坂プリンス クラシックハウスは、1930年に李王家東京邸として建てられました。1955年に赤坂プリンスホテルへと姿を変え、現在に至りますが、外観・内装から家具調度品に至るまで、当時の面影をそのまま現代へと伝えています。
本展は、音楽家・蓮沼執太と美術家・五月女哲平の二人による4日間限定の特殊な展覧会です。クラシックハウスの細部にまでわたる優美な空間の中に、二人は大胆な抽象性を導入します。蓮沼は音=空気の波を、五月女は色=光の波を会場内に構成します。それらは波長によって共振し、館内に新しい知覚の層が出現します。
優美な歴史的建造物とアーティストによる感性的な造形が響き合う、特別な「出来事」をぜひご体験ください。

同上

 説明にある「特別な『出来事』」は言いえて妙だ。このふしぎな感じは、なかなか言葉では書き尽くせない。

 まず、会場には、いたるところに電球(照明)が配されている。

 その存在同士は響き合う。そう、「光の波」。

 そして耳は常に、「音」に占領される。音はかすかなこともあれば、耐え難いくらいの波になって襲い掛かってくることもあった。

 音のインスタレーションは、kudanhauseでもあった。同じく蓮沼執太氏によるものであるが、こちらの音は、はるかに大きい。まさに聴覚がハックされたような感覚に陥る。その状態で光を見る。

 単に音量セットの設定になにかの手違いがあったのか、それとも本当に意図して来訪者の聴覚に訴えることが目的なのか? と自分に問うたりしながら、たしかにこれは「音の波」の中にいるのだと実感した。

 4日間だけの、とても貴重でふしぎな、視聴覚体験。

 童心に還ったように、館内をランダムに何度も歩いた。

 数多くの鑑賞者がいたが、皆が皆、同じことをしていたのが愉しい。それだけの魅力にあふれた空間であり、展示だった。


ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町,ラグジュアリーコレクションホテル

 赤坂プリンス クラシックハウスの外に出る。

 名和氏の鹿と、一緒に空を眺める。

 そのすぐ隣の超高層ビルが、次の会場である「ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町,ラグジュアリーコレクションホテル」。

 エレベーターホールですでに、アート作品が出迎えるそのフロアは、

 ホテルレセプションにつながっており、展示はそちらに。

積層された街の歴史と豊かな自然、アートが融合された「ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町,ラグジュアリーコレクションホテル」。その最上階で開催される本展「Timeless」は「時代を越えて愛される美術品の選定と創造、そして、その美意識を次の世代に繋げること」をコンセプトに、古美術 柳とKANEGAE<KOGEI Next>による古美術や工芸作品のプレゼンテーションを通して、ギャラリーの名を冠するに相応しいこの場の魅力を際立たせます。

同上

ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町,ラグジュアリーコレクションホテル
地上約180mから、都心の眺望とともに豊かな自然とアートを感じさせるデザインと、ラグジュアリーな空間が広がるプリンスホテルの最上級ホテルです。マリオット・インターナショナルの最上級ブランド「ラグジュアリーコレクション」に東京で唯一加盟。「フォーブス・トラベルガイド 2024」のホテル部門において、4年連続最高ランクの5つ星を獲得。自然光が降り注ぐ地上約180m36階に足を踏み入れた瞬間から、絶景とアートが融合した特別な空間が広がります。

 展示作品は空間に合っていて、どこからどこまでが今回の展覧会の展示なのか、わかりかねるほどだ。

 ここは2016年に完成。

 建物として隣り合いながら、行き来することで、時を軽やかに超える。

 本展のタイトル「CURATION ⇄ FAIR Tokyo」になぞらえるなら、今回の経験は、1930⇄2016@赤坂、というところか。

 kudanhouseから始まった、時間を交錯する器でのアートの旅。

 なんという贅沢な時間だったのだろう。

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