言葉以前に惹かれて離れられない -ルイーズ・ブルジョワ展(森美術館 -1/19)
某日、六本木ヒルズ。
ルイーズ・ブルジョワ展へ。
心待ちにしていた。
「お蔵入り」にする前に
ルイーズ・ブルジョワの作品はどこか強く惹かれていて(というか、好き嫌い以前に目を離せないなにかがあって)、六本木ヒルズの蜘蛛の作品タイトルがお腹に卵を抱えた蜘蛛「ママン」であることを知ったときに「やっぱり」と思った。
展覧会がはじまってすぐ鑑賞し、9/29のキュレーターズトークも観覧した。そこで「好き」の理由がいろいろ腑に落ちたわけだけど、その「好き」という感情はとても複雑で、言葉になる以前でとまってしまっていて、うまいコメントができない。
書きかけのnoteを放置してはや10日。このままお蔵入りになる前に、せめて写真だけでもアップしておこうかなと思い、編集を再開した。
ルイーズ・ブルジョワとは
ルイーズ・ブルジョワとは? 展覧会概要から、一部抜粋する。
既述のとおり、キュレーターによるトークイベントにも参加した。
第1章 私を見捨てないで
会場に入り、目にする第一作が本作だ。
結婚してニューヨークに移り住んだのちに、ブルジョワは芸術活動を開始する。
ライト・プロジェクション
ライトプロジェクション(本展だけでなく、ほかの国のブルジョワ展でも用いられる手法だという)のメッセージとともに展示されるさまざまな作品には、どこかふしぎな、否、不穏な雰囲気が漂う。
良い母、出産、母性
フェミニストたちから熱烈に支持されたものの、ルイーズ・ブルジョワ自身はフェミニズムアーティストは名乗らなかった。
しかしその作品は、女性性、セクシャリティに切り込んだものが多い。だから目が離せなくなる。
下は、第三子の出産をテーマにした作品。
カップル、セクシャリティ
性愛というものに、肯定的なのか否定的なのか。展示中盤の作品にはその両方が複雑に交じり合い、あたかも観る者自身が試されているようだ。
「胸と刃」
第2章 地獄から帰ってきたところ
ここからが、精神面での暗部への旅となる。
「罪人2番」
絶望的に高いくらいに聳え立つ扉。
「カップル」ⅣとⅢ
「シュレッダー」
「地獄から帰ってきたところ」
この章の終わりは、亡き夫のハンカチに施した刺繍。展覧会のタイトルでもある。
第3章 青空の修復
さいごの章では、観ていて美しく、ほっとするような作品も増えてくる。
解説にもあるように、作品に頻出する「5」は、ブルジョワ自身の家族(夫婦、子ども3人)をあらわす。
蜘蛛も、「守る」姿に。
作品と辿る、昇華のプロセス
森美術館には、唯一、窓のある展示室がある。タワーの52階から、青空と東京の景色が望める部屋だ。
その展示室の前には、
展示室には、
キュレーターズトークでも、その意図が話題になっていたのだけど、これは、男性アシスタントをモデルとしており、(かつて女性のものとされていた)ヒステリーという固定観念に、疑問を投げかけるもの。
そうした背景を知らずとも、作品は美しく、青空に映えていた。
作家は自らの人生を、アートを以て言語化している。
その中で迷いながら、観る者はおのずと自分の内面をも探索する。そして、作家とともに、心の奥底の傷からの、昇華のプロセスを辿るのだ。
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