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BAR HOPE

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小さなBARに訪れる風変わりな客達の、お酒にまつわるショートストーリーを書いていきます。
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「BAR HOPE」

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⑥ ライターズ・ティアーズ〜

 あまりお客さんのいない日曜の夜に、龍治さんは時々ノートパソコンを抱えてやって来る。
 たとえ客が龍治さん一人だとしても、「パソコン開いてもいいですか?」と律儀に了承を得てからいつも作業を始める。
 初めの二杯ほどは珈琲だけど、そこからはスコッチやバーボンをロックで飲みつつ、キーボードの小気味いいタッチ音を店内に響かせている。
 もちろん僕からはパソコンの画面が見え

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⑤マティーニ〜

 ビル・エヴァンスのピアノをかき消すような彼女たちの笑い声が扉の外から聞こえてくる。
 莉子さんと亜美さんは一件目でワインをしこたま飲んだその帰りに、いつだって大笑いしながら二人で店にやって来る。
 彼女達におしぼりを渡しながら「今日も楽しそうですね」と声をかけると、二人はまた大笑いしながらそれを受け取り、いつも揃ってマティーニを注文する。

 マティーニは「カクテルの王様」と呼

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 ④コスモポリタン〜

 ゆっくりと半分ほど開いたドアの隙間から、ユキさんがいつもの完璧な笑顔を見せる。ユキさんに微笑みかけられると、僕だって上手に笑い返せている気がして得意な気持ちになる。空いていれば必ずカウンターの真ん中に座り、おしぼりを渡すとやっぱりユキさんは完璧な笑顔でそれを受け取る。
 僕はあまり興味が無いので知らなかったが、ユキさんは有名なファッション雑誌で表紙を飾るほどの人気モデルで

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③アイリッシュコーヒー〜

 マイルス・デイヴィスのトランペットに呼応するように、雨粒が優しく窓を叩いている。今日は朝からずっと雨で、いつもは艶があって軽やかなマダムの銀髪も曇天の空みたいにしっとりと大人しい。カウンターの中に入れた小さなパイプ椅子に座り子供のように体を揺らしながら、ライムをカットする僕と目が合うとフーッと煙草の煙を吹きかけてみせた。

「別に無理して店にいなくても、退屈なら帰って

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②ジャックダニエル〜

 カウンターの中に置いた木製のスツールに腰掛けて夜空を眺めていると、店の古い電話が鳴った。僕は慌てずに、約束の5コール目までたっぷりと待ってから受話器を取る。

「今日は席空いてるかい?」

 受話器からはいつも通り本間さんの声がして、空いてますよと僕が返事をしたら、今から二人で向かうとだけ言って、本間さんはさっさと電話を切ってしまう。この店の電話は本間さんの為にあるような

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①ブラッディーサム〜

 この店にはあまり客が来ない。マダムが騒がしいのはごめんだと言って、駅から三十分も離れた雑居ビルの三階に店を構えているせいだ。
 古びた雑居ビルの、錆びくさい螺旋階段を登った先にこの「HOPE」という名のBARはある。地獄の門みたいに重く大きな扉を開けると、店内には豪奢な一枚板のカウンターと、ゆったりとした椅子が五脚だけ並べられている。
 三段に配列されたバックバーには、ウ

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