滑り込みで食べた白味噌あんもち雑煮で旅に出たくなった
年末年始、心身が絶不調で引きこもっており、雑煮もおせちも食べていない。おせちには思い入れがないので食べなくても平気だが、雑煮が好きだ。
年始に仕事が始まり、徐々に元気が出て来てギアが入ったのか「雑煮が食べたい。しかも白味噌仕立てだ」という沸々とした欲望が沸いてきた。食いしん坊だから、いったんその思いに取り憑かれると、なかなか頭から離れない。
東京出身だが、祖母が京都なので、子供の頃にたまに白味噌の雑煮を食べていた。澄んだだしも好きだが、白味噌には白味噌にしかない、替えが効かない魅力がある。
外食で雑煮を出す店、しかも白味噌仕立てと来たら、なかなか思い当たらない。
作ることも考えたが、1人暮らしで自分の分だけ作るのは面倒くさい。普段、白味噌は使わないし持て余すに決まっている。そもそも私よりプロが作った方が美味しい。
ちょいと検索したら、新橋の香川県&愛媛県のアンテナショップのレストラン「郷土・せとうち料理かおりひめ」で、白味噌の雑煮を期間限定で提供していることを知った。思ったより近場で見つかった、ラッキー。インターネットよ、ありがとう。
アンテナショップが好きなので、この店で買い物をしたことはあったが、食事をしたことはなかった。
しかも提供がなんと明日まで。これは何が何でも仕事を定時で終えて新橋へ向かえ、と言う(食いしん坊の)神様の指令に違いない。
香川県も白味噌の雑煮が主流とは知らなんだ。
しかも、餅はあんこ入りの餡餅とな。
なんだそれ、最高じゃん。食べことないけど合うに決まってる。
予定通り仕事を定時で終え、寒空の下、会社から新橋までワクワクしながら20分ほど歩いてレストランに到着。
店員さんに「1人なんですけど…!」と鼻息荒く告げると、「あと15分ぐらいしかないのですが…お雑煮ならすぐお出しできます!」と言うレスポンス。
なるほど。予約で込み合うのだな。新橋だし、リーマンの新年会も多いのだろうな。
そして、私のように駆け込みで雑煮目当てに来る客も、とても多いのだろう、と瞬時にして理解した。
「15分で食べます!(余裕)」と元気よく返事をして、カウンター席へ通してもらう。隣の女性客も黙々と1人で雑煮を食べていた。おお、同志よ。
席に着くと同時に、店員さんに「どちらかお決まりですか?」と聞かれたので、「白味噌でお願いします!」と即答。もう1つの愛媛雑煮も魅力的だが、心は白味噌一択だ。
暖かい店内。急激な温度差に鼻水をすすりつつ、間に合ってほっとする。
おしぼりで手を拭き、ティッシュで鼻をかんでいたら、お雑煮が着弾。
会いたかったぜ白味噌ちゃん!
中には、あんこ入りの丸餅が2つ。
まず白味噌が甘くなかった。私が食べたことのある白味噌の雑煮は、白味噌の甘さが前面に出ていた。
しかし、この雑煮はだしの味が濃く、白味噌の甘さが中和されている。なぜなら、餅に甘いあんこが入っているからだ。なるほど。
餅が甘い上に白味噌まで甘かったら、アマアマのお口になってしまって、白目になりそうだ。
うまい。これはバランスがよく取れている。あんこ入りもちに、だし濃い目の上品な白味噌が合う。香川の人、これずっと食べてるの?羨ましい。
井之頭五郎のように優雅に味わう間もなく、秒で吸い込み会計。店員さん、間に合わせてくれてありがとう。「とても美味しかったです」とお礼を告げて店を出た。
会社を定時で上がり、ギリギリ間に合った私、グッジョブだ。今年初の雑煮欲が満たされ、パワーがみなぎった。
明日もきっと、今日みたいにうまく行くことがたくさんあるはずだ。明日も明後日もずっと、と単細胞の私は信じ込む。まあ時にうまく行かないことがあっても良いけどね、どうにか世界は続いてくのよ。
帰り際、「お雑煮、まだ間に合いますか?」と女性が駆け込んでいった。間に合って良かったね。みんな雑煮、食べたいよね。
来年も来れたらまた来よう。愛媛のも美味しいに違いないよね。
そしてまた、香川県や愛媛県に旅行へ行きたい、とアンテナショップを訪れる度にワクワクした気持ちをもらえるから、アンテナショップ好きなんだよなぁ。
僕が旅に出る理由はだいたい百個ぐらいあるけど、そのうちの1つは美味しいもので満たされるからだよ。