マガジンのカバー画像

暁に薮を睨む

213
刀篤(かたなあつし)の厳選した詩集です。
運営しているクリエイター

2024年6月の記事一覧

【詩】オールニードイズ

【詩】オールニードイズ

あなたがあのlive-houseで
その言葉を口にしたとき
あなたがそれを疑ってないこと
知っているからわたしは
とても嬉しくて誇らしくて
ジャンプして叫んだんだうおーっ!て
だからわたしはそれが何か知っているし
嬉しくて誇らしくてそのとき生まれた
喜びや責任や幸せや運命や涙や世界を
永遠に肯定できる

【詩】イメージする世界

【詩】イメージする世界

わたしには未来を聴く力がある
わたしはこの場所が好きだ

イメージは良い
曇り空、涼やかな初夏
トラックのコンディションも良い

微風のスタートライン
腕と脚をプラプラさせる
トントンと少し跳ねる

履きなれたスパイクは
少し湿っているみたい

グー、パー、グー、パー
はぁーーー、、すぅーーー、、
静止

わたしには未来が聴こえる
詩人だから

耳を澄ます
世界を研ぎ澄ます
心が渇いている

未来

もっとみる
【詩】晒 (※R-15推奨)

【詩】晒 (※R-15推奨)

周囲の全ての人間が非
と言っている真理に対し
是という誤謬を見出す

他人の高潔さを測っている
何時もの癖に気づいた女は
未だ羞恥と縁の無い筈だった

スマホを見せろと恋人に
問われた時に女は素直に
乳房と内腿を晒け出した

必然性を見出すことが
可能なら女は全裸で
街中に闊歩も出来た

開拓者が最も美しく
二番煎じが醜いことを
女の躰が直感していたのだ

【詩】流れ星

【詩】流れ星

わたしたちは過去に
喪失を経験した流星群
楽しい体験をシェアします
わたしたちは全てを失った流星群
新しい未来を創出する流星群です

世界はわたしのものだ!
わたしはそう叫んだことがある
実際にその通りだったからだ
全てが可能で全てを愛していて
未来なんて如何様にもなったものだ

我が子への愛をキャッシュでしか
表現出来なかった父親の葬式で
子らは父親の為に泣き空を仰ぎ
その涙が流星群になって天を

もっとみる
【詩】肢体

【詩】肢体

存在の関係性の本質が
システムだからこそ
何処までもわたしたちは
絶対的に孤独では無い
役割を演じる必要も無い

それは(0.1+0.1)
わたしの美しい肢体の嵐
それは(×0.2)
アーキテクトニクに在る唇
それは(×0.04)
狂った歯車を修正する乳房
それは(×0.0016)
手術台の上に拘束する下腹
それは(×0.00000256)
わたしの愛しい夏の夜の太股
それは(×6.5536e-1

もっとみる
【論詩】美≒芸術

【論詩】美≒芸術

芸術がほぼ美だった頃
わたしはシンプルだった
自然観は次第に複雑化し
古生物は多様性を獲得し
芸術は必ずしも美である
必然性が次第に失われ
承認欲求は饒舌になり
論理で裏付ける技術が
芸術ということに成り
奇行の言い訳が最高の
芸術と成り得ることに
孤独な詩人も気づいた
頭の切れるペテン師が
わたしに媚びた筆で
芸術家として大成し
信者がペテンを補強し
社会的精神の形成に関わる
芸術の本来の宿命に

もっとみる
【詩】フェチ

【詩】フェチ

血の魔人が君のこめかみに
口付けをして祝福したのだ
行為の最中の雌のこめかみに

【詩】大聖堂

【詩】大聖堂

その男は女を陵辱することでしか
女を愛せなくなってしまったらしい
わたしは建築家になり大工になり
その男と女の為に大聖堂を建てる
神を信じなくてもわたしは自身の
理に反した仕事に引け目を感じない

娯楽やエンターテインメントを
下に見ていたことを後悔している
わたしは建築家になり大工になり
庶民の娯楽の為に大聖堂を建てる
わたしは偶像崇拝の過程に起こり得る
凡ゆる精神現象を哲学的に論証しない

もっとみる
【詩】わたしはガザに行く

【詩】わたしはガザに行く

子供たちが
死んでるんですよ
みんなは
よく平気で居られますよね

その感覚は
圧倒的に
正しかった
その子は泣いていた

自分が
当事者になった時
そう為ってから
考えればいいんじゃない

ぼくの言い訳は
何かのアニメの
受け売りだった
ぼくは狼狽えていた

その子は
パスポートを手配して

ぼくは
バタフライエフェクトを説いて

その子を地獄から救えるか
リアルに今も子供たちが
死んでゆくガザ

もっとみる