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風の七変化

風の吹く朝に
わたくしは母になった

粉雪が降る
寒い朝だった

風は冷たく絡みつき
容赦なく
わたしく達を叩きつけた

震えながら
子を抱きしめた

風が和らいだ
暖かい風に包まれた

気がつくと
たくさんの暖かい手が
そこにあった

暖かい防風壁の中で
子は育った

「自立」の風が吹き出した
巣立ちが迫っていた

子達の背中に羽が生えた
「自信」を背負い
翼を広げて
追い風にのり
大地を蹴って
『自分の空』へと旅立った

見送るわたくしのまわりに
誇らしく
ちょっぴり寂しい風が
吹き始めた

笑いながら
頬からきらりと
涙が溢れた

旅立つ日の朝
母もこんな想いをしたのだろうか

ふと
後ろを振り返った

花吹雪舞う中
あの日の母が
泣き笑いの笑顔で
手を振っていた

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今週末の
『前橋ポエトリー』の朗読会で
読む詩の、改訂前の詩

なんだか、捨ててしまうのは
勿体無くて残そうと

本番は
ちょっと違いますが、その違いも
また、面白いかなと。

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