Rin Ishikawa

オックスフォードMBA←ポケットマルシェ+坂ノ途中←米留学CSA研究←京大農業経済|連載"考える食卓" https://www.on-the-slope.com/articles/our-idea/future/

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最近の記事

Oxford MBAの1年間を振り返って

私が常々大事にしていることのなかに、意識的に新しい環境に身を置いたり異なる価値観に出会うこと、そうやって「自分を変え続けていく」ということがあります。そんな私にとっても、この1年はこれまでの人生の中で一番大きなジャンプだったように思います。 2022年の春に留学を考え始めた時点では、自分の人生に対してこれだけ高額な投資をすることも、英語で経営の勉強をすることも、世界中の興味関心も全く違う人々と友達になることも、日本人が1人もいない環境で仕事をすることも、全く予期していません

    • Oxford MBA 夏学期(Long Vacation)と帰国前の振り返り

      1年間にわたるMBA留学が終了し、先日無事日本に帰国しました。 このnoteでは、MBAを締めくくる7月〜8月の夏学期(Long Vacation Term)と、9月の卒業式から帰国までの出来事を振り返ります。 EIT Foodでのインターン この7〜8月は、EIT Foodという組織でインターンをさせていただきました。EIT Foodとは、ヨーロッパのフードシステムの変革を目指すEU傘下の非営利組織(European Institute of Innovation a

      • Oxford MBA 3学期(Trinity)の振り返り

        渡英から9ヶ月以上が経過し、あっという間にMBA生活も終わりが近づいてきました。4~6月も振り返ってみると盛りだくさんで、かなりの長文になってしまいました。ご興味のある部分だけ読んでいただけたらと思います。 授業3学期の授業は2学期から継続のEntrepreneurship Project以外はすべて選択科目でした。 今回は特に印象的だった4つについて詳しく振り返ります。 Doing Business in Africa アフリカのことをもっと知りたい、くらいの軽い気

        • Oxford MBA 2学期(Hilary)の振り返り

          留学生活も半年が経ち、折り返し地点を迎えました。備忘録を兼ねて、この2学期(Hilary Term)の活動を振り返っていきます。 Impact LabImpact Labとは、Saïd Business Schoolの中にあるSkoll Centre for Social Entrepreneurshipが運営するインパクトリーダー育成のためのオックスフォードの学生向けプログラムです。 Impact Labは1学期(Michaelmas)と2学期(Hilary)にそれぞれ

          Oxford MBA 1学期(Michaelmas)の振り返り

          あっという間にオックスフォードでのMBAプログラムが始まってから4ヶ月が経ちました。このたび奨学金をいただいている財団向けに振り返りレポートを作成する機会があったため、少し修正を加えてこちらにも掲載します。 1. 生活について 4ヶ月オックスフォードで生活してみて、自分次第でいつでも刺激を得られる環境にあると感じています。63カ国から来た多様なバックグラウンドを持った338人のMBAクラスメイトとともに濃密なプログラムをビジネススクールで過ごすことはもちろんですが、やはり

          Oxford MBA 1学期(Michaelmas)の振り返り

          オックスフォード大学のMBAに進学します🇬🇧

          このたび、2023年9月からイギリスのオックスフォード大学経営大学院(University of Oxford, Saïd Business School)のMBAに進学します。本noteではそのご報告と、経緯について書いてみようと思います。 なぜ、今MBA留学に行くのか新卒からの4年間は、スタートアップ複数社の現場で多岐にわたる経験をさせていただき、本当に充実した時間でした。 ただ、自分の限りある人生のなかで、どうしたら最も大きなインパクトを社会に残すことができるのか。そ

          オックスフォード大学のMBAに進学します🇬🇧

          肉を食べることと、正しさについて

          「肉を食べるを考える|正しさとは何か」というコラムを、坂ノ途中Webの連載企画「考える食卓・おいしい未来」にて書きました。 いつかちゃんと言葉にしなければと思いながら、ずっと心の中に眠らせていた、牛を殺して食べた記憶。3年の年月を経て、ようやく世に出すことができました。 このnoteでは、コラムの中で書ききれなかった、肉を食べることをめぐる「正しさ」について倫理学的観点から考えていければと思います。 なお、資料は「食と農のもやもやゼミ」という、私が友人と主催しているオン

          肉を食べることと、正しさについて

          日本の有機農業年表

          日本の有機農業年表

          日米CSAの課題から見えた、これからの自律分散型フードシステム

          ※これは、2020年1月15日に開催された第166回霞ヶ関ばたけで筆者がお話した資料をテキストにてまとめたものです。 CSAとは ▼農家側のメリット - 安定した販路 - 前払いにより投資がしやすくなる - 作付けの計画が立てやすくなる ▼消費者側のメリット - 摂取する野菜の多様さ・量の増加→健康な食習慣 - オーガニックスーパーより安い有機農産物 - コミュニティ帰属意識の醸成/精神的充実 - 子供の食育/イベントへの参加機会 CSAの事例 〜アメリカ・ケンタッキ

          日米CSAの課題から見えた、これからの自律分散型フードシステム

          日本のCSA(Community Supported Agriculture)まとめ

          日本では数が少ないと言われるCSAですが、実はみなさんが知らないものもあるかもしれません。そこで今回は、私が研究をする中で出会った日本のCSAをまとめてみました。(最終更新:2020年2月15日) 野菜のCSA◇:2017年12月現在として『分かち合う農業CSA 日欧米の取り組みから』(2019, 波夛野, 唐崎)に記載があるもの ◆:上記への記載有無に関わらず、2019年3月時点で筆者自身が主催者とのコンタクトやウェブサイト等で継続を確認したもの ◆なないろ畑(神奈川

          日本のCSA(Community Supported Agriculture)まとめ

          Workplace CSA(職場CSA)とは②

          Workplace CSAとは①からのシリーズ第2弾になります。JUST FOODのWorkplace CSA Tipsheetを引き続き訳していきます。 シェアのサイズと品目シェアのサイズや野菜の品目は、会員の興味のほか、農家の専門性、器具や土壌によって決められるべきである。CSAの最初のシーズンの始めには、JUST FOODは農家とコアグループの会員の導入ミーティングをファシリテートする。 オーガナイザーはサイズや品目に対する特定のリクエストを受けることもあるかもしれ

          Workplace CSA(職場CSA)とは②

          Workplace CSA(職場CSA)とは①

          ここではJUST FOODのWorkplace CSA Tipsheetを訳していきます。 前提として、これはJUST FOODがニューヨーク市で職場CSAを運営するためのガイドラインとして作成したものです。 職場CSAを始めるにあたって決めるべきこと▷ロケーション 畑からアクセスがよく農家がドロップオフしやすいこと。 ▷分配の日時 農家のスケジュールと職場の分配場所の状況によって決める。農家が街に来る日があるならその日に合わせる。 ▷シェアの内容と価格 シェアの価格

          Workplace CSA(職場CSA)とは①

          食料問題を解決するために、私は自律分散型のフードシステムをつくる

          生産性の向上を目指してきた農学という学問世界の食料問題をどうにかしたいと思って農学部に入学した私は、授業を受ける中で漠然とした違和感を覚えていました。 遺伝子工学の分野では、栄養価を高めたり、収量を高めたりと様々な技術を使って作物の改良に取り組んでいて、農業経済の分野では、どうやったら農家が経営を効率化できるのかを考えています。 農学の使命は「増加する人間への持続的食料供給」であるとされ、そのために生産性の向上(農業の集約化・Agricultural Intensifica

          食料問題を解決するために、私は自律分散型のフードシステムをつくる

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          Big Question: Feast or famine?(ごちそうか飢餓か?)

          ▼2:12までの日本語訳です。 ----------------------------- 世界の人口は増え続けています。 今は毎年8300万人が増えています。 それはドイツの人口と同じくらいです。 2012年には世界の人口は70億人を突破しました。 2040年には優に90億人を超えるといわれています。 そしてその誰しもが食べ物を必要とします。 でもどのようにしたらいいのでしょう? どうしたら私たちはこの増え続ける人口を環境を破壊することなく養っていくことができるのでしょうか? 気候変動は大きな問題であるということは皆すでに知っています。 でも問題はそれだけではありません。 私たちはもう一つの不都合な真実に向き合わなければなりません。 それは、世界的な農業の危機です。 人口増加、肉や乳製品の消費量の増加、エネルギーコストの増加、バイオエネルギー生産、これらが掛け合わさって、自然環境へのストレスは増大しています。 地球上の40%以上の土地は農業のために開拓されました。 世界の畑の面積は全部で1600万平方キロメートルあります。 これは南アメリカの面積に匹敵します。 さらに、世界の牧草地は3000万平方キロメートルあります。 これはアフリカと同じ面積です。 農業は都市面積と都市近郊面積を合わせた面積の60倍ものを使用しています。 地球上の水利用の第一位は農業への灌漑です。 私たちは作物を育てるために毎年2800立方キロメートルの水を使っています。 これで一日に7,305棟のエンパイヤ・ステートビルを満たすことができます。 今日、多くの主要な河川の水が減少しています。 中には完全に干上がってしまった例もあります。 これはアラル海ですが、今や砂漠に変わってしまいました。 コロラド川は、もはや海に流れ込んでいません。 化学肥料によって、環境中にあるリンと窒素は二倍にまで増えました。 その結果、水質汚染の拡大、湖や川の甚大な水質悪化が起きています。   また、みなさん驚くかもしれませんが農業は地球温暖化の最大の原因でもあります。 農業は全体の温室効果ガス排出量の30%を生み出しています。 家庭用電気や工業を合わせた排出量よりも多いのです。 また、これは世界の飛行機、電車、そして車からの排出よりも多い量です。 農業による温室効果ガス排出の主な理由は、熱帯雨林の破壊、そして動物や水田からのメタンの排出、そして化学肥料の撒きすぎによる窒素酸化物の排出です。 農業ほど地球環境を変えてしまう人間活動はありません。 また、農業ほど私たちの生存に関わる活動はありません。 ここに大きなジレンマが存在しています。 世界の人口が数十億人増えるごとに、私たちは世界の食料生産を二倍、さらには3倍にする必要があるかもしれません。 では私たちはここからどうしたらいいのでしょう。

          Big Question: Feast or famine?(ごちそうか飢餓か?)

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          CSA農家の矛盾とジレンマ:日米のCSA比較【卒論まとめ③】

          まとめ①では導入部を、まとめ②では調査方法と考察の一部をお届けしました。最終回は総括と参考文献を記載しています。調査結果の詳細や参考文献の入手方法については個別にお尋ねください。 4. 総括4-1. CSA原則と運営実態の乖離日本・ケンタッキー州のどちらにおいても、CSA農家はオペレーションの各段階において会員側に譲歩をすることで自らの負担を増やし、自己搾取の構造を生み出す傾向にあった。 この傾向は特に日本のCSAの受け渡し方法、梱包作業、支払いといった場面に顕著に現れてい

          CSA農家の矛盾とジレンマ:日米のCSA比較【卒論まとめ③】

          CSA農家の矛盾とジレンマ:日米のCSA比較【卒論まとめ②】

          まとめ①では導入部の要約をお届けしました。 今回は以下の内容をお送りします。省略した部分も多いため、ご不明点などは個別にお尋ねください。 2. 調査方法アメリカ・ケンタッキー州の4つの農場と日本の9つの農場を対象に2017年9月〜2018年10月にかけて聞き取り調査を実施した。 質問項目は以下の22項目。 ・農地面積 ・有機認証の有無 ・他の生産者との協働 ・CSA開始年月 ・CSAの年間スケジュール ・CSA会員数 ・CSAシェアの内容 ・ピックアップポイントの数と形

          CSA農家の矛盾とジレンマ:日米のCSA比較【卒論まとめ②】