Workplace CSA(職場CSA)とは①
ここではJUST FOODのWorkplace CSA Tipsheetを訳していきます。
前提として、これはJUST FOODがニューヨーク市で職場CSAを運営するためのガイドラインとして作成したものです。
職場CSAを始めるにあたって決めるべきこと
▷ロケーション
畑からアクセスがよく農家がドロップオフしやすいこと。
▷分配の日時
農家のスケジュールと職場の分配場所の状況によって決める。農家が街に来る日があるならその日に合わせる。
▷シェアの内容と価格
シェアの価格帯やサイズ、野菜以外に入る物の内容なども考慮する。
▷農家やコミュニティの文化的ニーズ
CSAによっては特定の野菜の要望があったりするので、そうした野菜を育てている農家や新たに栽培してくれる農家をマッチングする。
(筆者補足:中国人が多いコミュニティには白菜のニーズがある、など)
職場CSAの他のCSAとの違い
▷会員の関与
職場CSAのオーガナイザーはその会社の職員でもある。オーガナイザーは他の職員の関心を高め、CSAを始める会社の承認を得るために、職場CSAのコンセプトを提示する責任がある。
CSAのオーガナイザーは仕事以外の時間でCSA運営のための事務作業をしなければならない。(分配を取り仕切ったり、CSA会員からの問い合わせに答えたり、余った食材を寄付するためのコネクションを作ったりする。)それに加え、CSAオーガナイザーは会員やボランティアの募集をするために広報活動を行わなければならない。
また、CSAの状況によってはCSA会員の情報や資金を管理したりしなければならないこともある。さらに、会員の料理コンテストなどの家庭でのイベントや他の宣伝のためのイベントも行うこともある。
▷荷下ろし(ドロップオフ)
職場CSAの多くは大きなオフィスビルの中で行われるので、荷下ろしはサービスエントランスの車寄せで行ったり、搬出口を通ったり貨物用エレベーターを使ったりする。
職場CSAのセッティングはコミュニティCSAほどフレキシブルではないので、配分日における配送と付随するコミュニケーションの一貫性やタイミングがキーになる。農家は到着の際にCSAオーガナイザーに電話をし、オーガナイザーは農家と落ち合って野菜を決まった分配場所に運んでいく役割を担う。
▷分配
分配場所は会社の建物の中に設定される。
規制やルールを守るべくCSAオーガナイザーは建物の管理者や搬出スタッフなどと協力しなければならない。
▷分配と備品を保管するスペース
分配は社員食堂や休憩場所、ラウンジ、会議室、郵便物受け取り部屋、共有ホールなどで行う。会社ではより場所や保管物の規制があることが多い。シェアボックスの収納や再利用可能な袋やその他分配に必要な備品を保管することが難しい場合もあるということを農家は認識しておくべきである。
▷シェアのサイズ
複数のシェアの選択肢があると農家やCSAオーガナイザーの手間が増えるため、多くの職場CSAでは一つのサイズのシェアしか提供しない。職場CSAではコミュニティCSAよりも小さなシェアのサイズに対するリクエストを多く受け取るが、これは職員が受け取ったシェアを家まで運ばなんければならないという場所的な制限によるものである。
▷パッキング
職場CSAでは農家がたいていあらかじめ箱やエコバックにシェアを個別包装している。CSA会員は皆同じ量と品目を受け取る。それに対してコミュニティCSAでは同じものがたくさん入った状態で運ばれ、会員が自分たちの分を自分のバッグに取っていく。
▷コミュニケーションの大切さ
通常の畑でも会員のコミュニケーションは大事だが、職場CSAではコミュニケーションは一層大事だ。CSAオーガナイザーは仕事の時間の中で分配を円滑に進めるために時間を使うため、配送が遅れたり早く着いたり何かシェアについて大きな変更がある場合はコミュニケーションを行うことが大事である。
職場CSAが農家側のマーケティング戦略と能力にフィットしているか?
会社と一緒にCSAに取り組むかどうかを決めるにあたって、真っ先に考慮に入れるべき点は、職場CSAプログラムによってシェアの数を増やすことがあなたの農場運営にとって有益であるかどうかだ。その際、下記のことを考えるとよいだろう。
・提供できるシェアの最大数を見積もる。
・(特に農場から距離がある場合)既存のデリバリー計画に新しいドロップポイントを追加するコストをペイオフするにはいくつシェア数を増やすことが必要か?
・職場CSAの環境を整備する組織のキャパシティがあるか?
・農家はCSA会員だけではなく、CSAをホストする企業とも良い関係性を維持しなければならない。長続きする友好なパートナーシップを築くには時間と柔軟性、歩み寄る姿勢を要する。
なぜ職場CSAに取り組むべきか?
職場CSAは、自宅近くのコミュニティCSAに所属するにはスケジュールの柔軟性を確保しにくいような人々に、信頼できる適正な価格設定の多様で新鮮かつ高品質な地域の有機農産物を提供する。
職場CSAによって、職場に便利な分配拠点ができ、より多くの人々がCSA運動に参加し、農家にとっては新しいマーケットを開拓できる。
▼農場にとってのメリット
・新たな直接販売のマーケットを作り出し、正当な価格で農産物を販売する販路を保証する。
・全シーズンの支払いを事前に保証できる:農場の金銭的なサポートになり、銀行でローンを組む必要がなくなる
・CSA会員と直接的な関係性をはぐくみ、年々増える既存顧客基盤をつくることができるようになる
・同じ建物の中や近隣にある複数の会社を対象に含むことで、小さなエリアでも多数の会員を獲得する可能性がある
・消費者意識を向上し、農業の力をつよめ、農地を守り、地域経済を支え、エネルギー消費を削減する助けとなる
・卸売りやファーマーズマーケットで販売するよりも、時間や労力、食べ物の廃棄を減らすことができる
▼会社とその従業員にとっての利益
・仕事のスケジュールが詰まっている多くのニューヨーカーにとって、コミュニティCSAに参加することは難しい。農家が地域の新鮮な有機野菜を職場に持ってきてくれることで、時間を節約できるし、より利用しやすくなる。
・小規模で多様な家族経営の地域の持続可能な方法で食料を生産している農家を支える方法となる。
・従業員の健康と働きがい、意欲をサポートする。
・従業員に、より健康的な食の選択肢を見つけ、通常店では購入しないような幅広い野菜の品種を楽しむことができる機会を与える。
・多くの野菜を食べることは従業員の健康と幸福に寄与する。
・多くの企業が職場内にCSRや健康、環境プログラムや人事部などを通じて健康への取り組みを始めている。
・職場CSAは同僚の間でのコミュニティ意識や連帯感を醸成する。
・よりCSAを身近なものにするために、シェアのコストを下げるべく助成金を出す会社もある。
・農家や、食料が生産される農場と直接的な関係性が生まれる。
続きの第2弾はこちら。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?