この静かな瞬間よ 止まって
ああ大丈夫だ、と思える時間が、そういう夜があるだけで、随分と回復する。
祖母の家で、昔飼っていた犬は常に祖母を追いかけていた。姿が見えないときも、離れているときも、耳を立てて祖母の声を拾いながら安心したようにうたた寝する。祖父母が新聞を広げると、自分をかまってもらえなくなることがわかるのか、新聞の上に陣取る。祖母が近くにいるときは、少しだけくっついて座る。その距離感は、なんだか見ていても心地良かった。
膝の上に座るわけじゃないけど、体のどこかが触れている、ほんの少しだけ。