とけたアイス、 とけない怒り
ある夏の日。
私は小学六年生で、自分の部屋で一人、棒アイスを食べようとしていたところだった。夕方、もうすぐ日が暮れようという時間になっても、まだ部屋の中は暑く、椅子の上に立てた膝の内側にじっとりと汗がにじむ。
階下にいる祖母に名前を呼ばれ、私は「なあに」と声を上げた。普段、祖母は台所とトイレのついた自分の部屋で過ごし、私たち(両親、私、弟)とは別々に生活していた。けれども、何かがあるとこの時のように部屋から出てきて私たちに声をかけた。たとえば、背中がうまく掻けなかったり、