kadoc0608

【国家資格】公認心理師/キャリアコンサルタント【学位】博士(商学)/修士(経営学)【職業】①大学で産業・組織心理学系とキャリア系授業を担当/②大学内キャリアカウンセラー/③企業の人事顧問・コンサル/人材育成・講演。 ※No+eでは経営、心理、キャリアに関するコラムを投稿します。

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【国家資格】公認心理師/キャリアコンサルタント【学位】博士(商学)/修士(経営学)【職業】①大学で産業・組織心理学系とキャリア系授業を担当/②大学内キャリアカウンセラー/③企業の人事顧問・コンサル/人材育成・講演。 ※No+eでは経営、心理、キャリアに関するコラムを投稿します。

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当たり前のキャリア観?

現在、多くの日本人は初等中等教育で「好きなこと得意なことを仕事にしよう」というキャリア教育を受けています。当然のことながら、そこでは「私の好きなこと・得意なことは何だろう?」という命題について問われます。 キャリアにおけるこのような考え方は、自分の得意に合った職業をマッチさせることからマッチング理論といいます。もっと難しくいうなら特性因子理論です。個人の特性と職務の特性それぞれの因子を分析して合致されるという理論です。 さて、好きなことがそのまま仕事に直結する人はいます。

    • 「一往復半」のホスピタリティを

      大学では7月に定期試験が始ります。この時期には、学生から授業やレジュメに関する問い合わせが増えます。中には、「留年がかかっているので単位を下さい」など、応じられない要望も届きます。 メールでの問い合わせに関しては、他の学生との公平性を考えて教えられる範囲で教えるし、無理な要望に関しては応じられないことは応じられないと率直な内容を返信するようにしています。 さてそれからですが、私からの返信に対して「ありがとうございます」という返信を再度返してくれるのは概ね4人に1人程度。思

      • アリバイ工作の大学生活で

        大学で授業をしていると、やはり講義も聴かずに寝ている学生はいます。今も昔も変わらずいます。大教室で数百人を相手に講義する場合、これはもう仕方ないことだと思ってそっと放置しています。 おしゃべりをする学生には注意しますが、眠っている学生については、イビキでもかかないかぎりは周りの学生に迷惑を掛けることはないので、あとのことは自己責任で対処して下さいというのが私のスタンスです。 さて、現在の大学生の親世代の多くは昭和生まれで80年代の終わり頃から90年代の初め頃に社会人になっ

        • 「就職活動の軸」の誤謬

          大学でキャリアカウンセラーをして今年で18年目を迎えました。 その中でよく「就職したい企業がみつからない」という相談を受けます。 これは「福利厚生」「分からないことを教えて貰える環境」「働きやすさ(居心地の良い空間)」を就職活動の軸にしている学生に多い相談です。 就職とは、これから船に乗って長い旅をすることです。そこでは、船のクルーとして役割を全うしなければなりません。船には船長という役割もあれば、コンシェルジュの役割もあれば、料理を作る役割もあれば、客室の清掃をする役割

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        当たり前のキャリア観?

          航海するための海図

          ある青年が初めてひとりで航海に出ることになりました。 そこで、心配した父親は自分が作った海図を彼に渡しました。 父親「これは私が長い間の航海で作った海図だ、お前はこの海図どおりに間違いなく進むんだよ。そうすれば間違いなく目的地にたどり着くから」 青年「ありがとう、お父さんのいうとおりにするよ。間違いなくこの海図どおりに進むから心配しないで」 しかし、その時に親から譲り受けた海図は、何十年も前に彼の父親が作った古い海図でした。父親はこれまでの航海で作り上げてきた古い海図に自

          航海するための海図

          面接担当者は何を知りたいの?

          新卒学生の就職活動や社会人の転職活動の際には履歴書を書きます。またそれにくわえ、新卒ならエントリーシート(ES)、社会人なら職務経歴書も提出します。面接ではそれらの書類を参照しながら、応募者と面接担当者との対話が行われます。 さて、キャリアの概念には外的キャリアと内的キャリアというものがあります。外的キャリアとはその人の客観的側面であり、履歴書では主に外的キャリアが記載されます。また、基本的に履歴書は入社後にも保管される文書であり、学歴や資格などで虚偽の内容を記載すれば法的

          面接担当者は何を知りたいの?

          阿呆の心理

          阿呆はいつも彼以外の人人を悉(ことごと)く阿呆と考えている。 芥川龍之介「侏儒の言葉」より SNS社会には、自分が阿呆だということを見失ってしまう何らかの仕組みがあるのかもしれないと感じる今日この頃。 最初は単なる不平不満をSNSに書き込んでいた人や、自分とは違う意見に反論していた人が、いつのまにやら世直しネットパトロールに時間を割くようになり、やがて、届くはずもない相手や力が及ぶはずもないネット上の見知らぬ相手にも自身で天誅を加えられるような気持になる。 しかし、ネッ

          阿呆の心理

          「厳しくすれば成長する」の誤謬

          人は厳しく指導すれば成長するわけではありません。厳しい言葉や体罰を与えることは「外発的動機づけ」といわれ、そのような指導をされた人は「心や身体の痛みを避けるため」に頑張っているに過ぎません。 一方、人は理解され承認され応援されることで、人は本質的なヤル気が湧いて出てきます。このような指導は「内発的動機づけ」といわれます。組織において、人を内発的に動機づけるためには、先ずはその人を理解することが大切です。今回は、人の成長パターンを理解することについて話をしましょう。 ===

          「厳しくすれば成長する」の誤謬

          「協調性」を強調すべきではない学生

          私は大学キャリアセンターにカウンセラーとして従事して、今年で18年目になります。また、この数年は学生の就職活動が本格的になる1~3月に、キャリアセンターで学生のES添削や模擬面接の面接官としてのお手伝いもしています。今回はそこで感じることを書いてみます。 ================= 現代の大学生は就職活動の際、応募先の企業が求めるES(エントリーシート)を提出します。そのESには、企業によってユニークな問いが儲けられているのですが、分類すると概ね「志望動機」「自己P

          「協調性」を強調すべきではない学生

          「利他的な人」は割を食ってばかりなのか

          アメリカのAdam Grant博士によれば、組織には利己的な人と利他的な人、そして中庸な人がいて。彼は利己的な人をTaker、利他的な人をGiver、上手くバランスをとる人をMactherと呼んでいます。 組織においては、Matcherが一番多いというのは当然考えられることです。Matcherタイプの人は、いつも全体のバランスや全体最適を考えながら組織を支えます。 興味深いところでは、TakerとGiverが組織においてどのようなプロセスを経るのかというGrant博士の研

          「利他的な人」は割を食ってばかりなのか

          「先取り行動」でいこう!

          組織において人がとるべき行動は、大きく2つに分けることができます。 ひとつ目が「リアクティブ(reactive)行動」です。これはその組織のしきたりや文化に順応したり、規則を守ったり、やるべきことをきちんと継続したり、上司の指示や要請に従うような「反応的・対応的行動」です。 もうひとつは「プロアクティブ(proactive)行動」です。これは、これから先に起こりうる新たな状況や課題の解決に向けて、自発的・積極的に先を推測しながら行動する「先取り行動」です。 組織の基盤を

          「先取り行動」でいこう!

          「与えられた役割」で人格は変わる

          人は、ある条件を与えられると、その条件に即した言動をとるようになるのです。今日はスタンフォード監獄実験のお話です。 1971年8月、米国のスタンフォード大学でフィリップ・ジンバルドーという心理学者を中心に不思議な実験が行われました。実際にスタンフォード大学の地下室に監獄に模した実験場を作り、そこで看守役と受刑者役に別れてそれぞれの役割を演じながら2週間を過ごすという実験です。 どのような実験かというと、大学や新聞で募集した心身共に健康な男性21人を二つのグループに分けまし

          「与えられた役割」で人格は変わる

          若者との「1on1コミュニケーション」

          「世代」を分類する言葉は昔からありますね。 日本の行動経済成長期以降に生まれ、新しい価値観を持って自己中心的であまり物怖じしない私の世代は「新人類」なんて揶揄されました。 現在、一般的に1997年から2012年頃までの間に生まれた世代は「Z世代」と呼ばれています(※2024年時点で14~27歳くらいの若者)。 その特徴として最も顕著なのは、デジタルネイティブであること。物心ついた時、あるいはつく前からスマートフォンが存在し、当たり前に使いこなす世代。最新のデジタル技術に関

          若者との「1on1コミュニケーション」

          ちょっと待って!その「共感」でいい?

          昨今、人間的な側面として「共感力」の重要性が語られることがあります。今回は、その「共感」について考えてみました。 さて、相手の話を聴いているとき、こんな気持ちになることありませんか? 「わかるわかる!私も同じ経験したから、その苦しさわかる~!」 一方で、相手の話を聴く時にこんな気持ちになることもあります。 「あなたと同じ経験はしてないけど、今のあなたからは苦しさを感じるよ」 どちらも「共感」という言葉でまとめてもいいのかもしれません。しかし前者の共感の主役は自分です。つ

          ちょっと待って!その「共感」でいい?

          「反実仮想」は人生を変える

          「事実はAだが、もしもBだったら…」という思考法を「反実仮想」といいます。確か、高校時代の古典で習ったような気がします(笑)。これ、英語ではCounterfactual Thinkingといいます。 この思考法をネガティブに使うなら、「あの時、もし失敗しなかったら私はもっと幸せになっていた(後悔)」「私は本気を出したらすごいけど、出さなかっただけ(言い訳)」と後悔や言い訳に使えますね。事実ではないことは何とでも理由づけできますから。しかし、それでは人生は好転しません。 そ

          「反実仮想」は人生を変える

          4つの大切なこと

          太平洋戦争の後半、戦況が悪化し日本軍全体が「特攻やむなし、通常攻撃は意味がない」という空気に支配されている時、この方針を拒否し、合理的根拠を提示しつつ上層部を説得し続けたひとりの現場指揮官がいました。 彼は、自ら夜戦航空部隊を編成し、その隊員達にも合理に基づいた訓練を施し、最終的には夜間通常攻撃を上層部に認めさせました。 私は、太平洋戦争中の軍隊は完全な上意下達の組織だと考えていました。しかし、例外的なやりとりによって組織変革を起こしたケースがあったことを知りました。

          4つの大切なこと