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飛鳥・岡寺(龍蓋寺)義淵僧正と空海の祈り
奈良県・飛鳥の岡山中腹にある岡寺は、少し離れたところに近鉄・岡寺駅という駅名にもなっているのですが、もともとは龍蓋寺(りゅうがいじ)という名前のお寺だったそうです。
暴れる龍を龍蓋池に封じた、という興味深い説話に由来しています。
その伝承から日本最初の厄除け霊場、またお花のお寺としても人気。
また真言宗なので空海さんのゆかりのお寺とは思っていたのですが、想像以上に空海さんのお寺でした。
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真夏の暑い日、前記事で訪れた『奈良県立万葉文化館』から歩きました。
前方の山から吹く、涼しい風を感じながら坂道を登ります。
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◇弘法大師・空海
岡寺は、日本三大仏の一つという、如意輪観音(重要文化財)が御本尊。
空海さんが日本・インド・中国、三国の土を使って制作したと伝わる、高さ4.85m、日本最大の塑像に圧倒されます。
空海さんが彫ったと伝わる観音さまは他にもありますが、土で作ったものが現存しているのは驚きです。
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最近如意輪観音に出会うことが多かったのですが、大抵は立膝で如意宝珠を持つ、慈愛に満ちた観音さま。
こちらの観音さまはどちらかというと、男性っぽい力強さがあります。
空海さん作なら、もしかしたらお顔は空海さん自身に似ているのかも?(勝手な想像!)
写真撮影は禁止のため、詳細はこちらから ↓
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◇開祖・義淵僧正
空海さんゆかりのお寺は役行者開祖が多いイメージでしたが、こちらは初めて知る、義淵僧正という方が開祖。
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農地を荒らしていた悪龍を、義淵僧正が法力によってねじ伏せ、この池に封じ込め石で蓋(ふた)をした、ということです。
この要石を触ると雨が降る、という言い伝えも残っているそう。
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天武天皇時代の703年、日本で初めて僧正(僧と尼を統括する官職)の位を得て仏教を牽引し、弟子には東大寺を作った行基など、有名な僧侶がたくさん。
若くして亡くなった草壁皇子(662~689年)の岡宮をもらい受け、寺を創建したと伝えられています。
草壁皇子と一緒に岡宮で育てられということなので、もしかしたら天皇の血縁だったのかもしれません。
◇見逃せない奥の院
社務所でお守りを買ってそのまま帰ってしまいそうになるのですが、さらに5分ほど登ると奥の院があります。
ぐるっと境内をまわることができ、境内や飛鳥の街並みを眺められる場所もありました。
気持ちの良い風が吹き降りる山に守られた、不思議な場所。
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暗く狭い石窟にかがんで入っていくと、奥に弥勒菩薩がいらっしゃいます。
この祈りの空間は、古代にタイムスリップできそうな感じ・・。
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古い石窟に守られた弥勒菩薩が、とても気になりました。
調べても説明が出てこないのですのが、いつからここに?
(義淵僧正や持統天皇が、ここで草壁皇子のために祈った・・?)
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飛鳥時代は天皇家内の戦い(壬申の乱)や陰謀も渦巻く時代で、女性も天皇を継承して天皇家を守り、興味深い人物がたくさん登場します。
天武天皇が亡くなって1ヵ月もたたないうちに、皇后(のちの持統天皇)は人望が厚かった大津皇子(既にに亡くなっていた姉の息子)を、謀反の疑いをかけて自害に追いやった、と推測されているようです。
そこまでしても天皇にしたかった息子の草壁皇子は、その3年後に死去。
晩年には血縁同士で争ってはならない、という教訓を伝えたとか。
(怨霊を恐れたためか、大津皇子を吉備春日神社に祀っています。)
波乱の飛鳥時代を、いつか大河ドラマで見てみたいものです。
(天海祐希さんが演じる持統天皇を見てみたい、と思ってしまいました。 非道なことをしても、国政に尽くした魅力的な女性天皇を見せてくれそう! ・・勝手な妄想です。)
岡寺に来る前に、飛鳥の歴史について学んだ記事はこちら ↓