高校生から選ばれるための学校ブランディング 〜 誰のための学校か? 前編 〜
あなたの学校はどんな人のために存在しているのでしょうか?
この問いに学校全体で向き合っているところはどのくらいあるでしょうか?
多くのニーズや多くの課題で疲弊している学校現場。こんな時代だからこそ、自分たちの学校の存在意義を組織全体で共有することが必要ではないでしょうか?
それは経営陣や管理部門だけで決定したことを組織内に伝達する方法ではなく、皆が納得する努力を続ける共有の方法。
とても大変なことではありますが、その先にはきっと次世代の高校生たちの心に響くメッセージが届けられる組織になると思っています。
それを実現するために僕はブランディングという手法でご支援したいと考えています。
ルーツを振り返る
学校の教職員であれば、自校の創立理念は研修で聞いたり、自校本で学んだりして、当然理解していることと存じます。
では、創立時の時代背景や創立者の想いを想像し、組織内で議論したことはあるでしょうか?毎年入ってくる新入教職員へ一方的に伝えることはやっていても、お互いに想像したことを共有し、議論したことはあるでしょうか?
例えば、創立起源が女性のための裁縫技術を提供する学校だった場合はどうでしょう?
設立趣旨を再認識する
古くから在籍している人はある程度、自分の言葉で話せるかと思います。でも中途入職の人たちは、古株の方にまじって議論することは大変なことと思います。
自校の歴史を詳しく話せることは大切ですが、歴史を暗記するより、その背景にある創立者の想いを想像し、自校本などには書かれていない部分まで皆で議論すること、そして今の時代や未来に向けて大切にしなければいけないことを固めていくことが重要だと思っています。
自分の言葉として、その想いを引き継いだ言葉が言えるようになるために。
では、裁縫技術を提供する学校が例の場合、なぜ、女性に裁縫技術を提供したのか?提供する必要があったのか?
そこを再認識することから始めることが必要です。
困っていた人は誰かを想像する
どの学校も当然、社会に必要だから設立されたものです。その社会にとって必要であったこととは何か?それを見つめ直すことが重要であるとともに、見つめ直す際の視点が特に重要です。
では、女性に裁縫技術を提供した学校が例の場合、当時の女性たちの多くは
どんなことに困っていたのでしょうか?どんなことを言葉にできず、心の奥で悩んでいたのでしょうか?
「どうして女性は結婚して家庭を守ることしか選べないの?」
今ではこうした価値観は標準ではありませんが、当時の社会的価値観では、女性がこうした希望を持つことすらあまりないくらいの固定観念で縛られていたことが想像できます。
固定観念を破った想いを想像する
社会の常識は時代と共に変化します。常識に縛られず、社会のために、自分たちのために、未来の人のために、そんな想いから学校は設立されたのでないでしょうか?
多様性が叫ばれる現代社会、そのニーズも多岐にわたります。だからこそ、自分たちの学校がどんなニーズを満たす学校なのか?明確にすることが重要です。
では、女性のための裁縫学校が当時の固定観念を破った想いを想像してみてください。
「女性も社会で働きたい!そして、それを誰もが言える社会になってほしい!」
そんなことが想像できます。
新たな価値の提供は何かを想像する
人々の困っていること、すなわちニーズ。それも表面的に言われている顕在的なニーズだけでなく、心の奥底にあるニーズ、本人も固定観念に縛られて認識していないかもしれないニーズ。それを満たす新たな価値は何のか?
自校が持っているリソースで何が提供できるのか?皆の力で探すことが重要です。
女性のための裁縫学校の場合、この段階で裁縫技術を提供しようという新たな提供価値が生まれてきたことと推察できます。
続きは後編で。