703studio note/辻下直美

映画監督 辻下直美のエッセイや創作童話noteを投稿しています。 世界中の不思議なお話が好きで、自分なりに物語に綴っています🦉 ー賞歴:第50回ENEOS童話賞 佳作・第28回アンデルセンのメルヘン大賞 入選 感想・仕事相談:nao@samuraicontents.com

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映画監督 辻下直美のエッセイや創作童話noteを投稿しています。 世界中の不思議なお話が好きで、自分なりに物語に綴っています🦉 ー賞歴:第50回ENEOS童話賞 佳作・第28回アンデルセンのメルヘン大賞 入選 感想・仕事相談:nao@samuraicontents.com

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  • 辻下直美創作童話

    辻下直美の創作童話を連載予定です。 更新はマイペースですが、気になったら♡やサポートいただけると大変励みになります。皆様からの感想などもお気軽にいただけましたら幸いです。

  • 辻下直美エッセイ

    映画監督辻下直美のエッセイを綴っています。 ほぼ実録の仕事や幼少期や日常のお話たちです。 ♡やサポート大変励みになります。 また登場人物の匿名希望、お名前掲載希望があればいつでもご遠慮なくお申し出下さい。

最近の記事

 「空豆くん」 辻下直美創作童話

薄紅色の花たちが今日という日をお祝いしています。 そう、今日は松が谷小学校の入学式です。色とりどりの新しいランドセルに、そわそわした小さな子供たち、お母さんたちはおしゃべりに夢中です。 はじめての教室、はじめての机、はじめての連絡帳。 はじめてづくしの今日、小学校に入ってはじめて背の順での列を決めることになりました。 空くんは内心ドキドキしています。 一番前になったらどうしよう、ぼくより小さな背の子はいないかな。 空くんは、教室をぐるっと見渡しましたが、なんだか皆自分よりは

    • 「クリスマスイブの夜に」 辻下直美創作童話

      真っ白な雪がしんしんと、世界を白く塗っています。 子供たちはもうすっかり夢の中。 暖炉のあるリビングには着飾ったもみの木や、おもちゃの汽車のレール、積み木が散らかっています。 おや、なにやらカタカタという音が聞こえませんか。 リビングの隅のほうから聞こえるようです。 音は突然がた!としてキーという音に変わりました。 こんな静かな夜に一体誰の仕業でしょうか。 まさかサンタクロースでしょうか。  「ふう。ようやく抜け出せたぞ」  いいえ、違います。 音の正体は小さなハムス

      • 「オレンジ色のこいのぼり」 辻下直美創作童話

        うんと晴れた四月の日曜日。 南ちゃんと弟の陽平はお父さんの手伝いをして、庭に街一番の大きなこいのぼりをかかげました。 南ちゃんはこのこいのぼりが大好きでした。おじいさんが陽平の5月の節句のために買ってくれたこいのぼりには、黒いお父さんの鯉、赤いお母さんの鯉、子供の水色の鯉のほかにオレンジ色の鯉がいたからです。おじいさんはなにも言いませんでしたが、きっと南ちゃんが子供の日に一人だけ入れてもらえなくて寂しくないように考えて買ってくれたにちがいありません。 友達のどんなこいのぼりを

        ¥100
        • 「カエルの天気予報」 辻下直美創作童話

           おそろいの春風色のワンピースを着込んだうさぎの親子は大変に急いでいました。今日は大切な小学校への入学式だというのに、目覚ましを頼んでいたにわとりが寝坊をしてしまったのです。今日のために新しく仕立てたワンピースも、遅刻してしまったら台無しです。  野原をこえると、大きな蓮の葉で埋め尽くされている池があります。その真ん中に架かった橋を渡れば、学校がある森まであと一息です。  ところが、池の橋を渡ろうとしたとき、うさぎの親子はカエルに呼び止められました。  「ステキなワンピ

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        • 辻下直美創作童話
          7本
        • 辻下直美エッセイ
          1本

        記事

          「空飛ぶ魚と日本刀」 辻下直美エッセイ

          小さい頃海遊館に連れて行ってもらった。 世界最大級の水族館で、当時ジンベイザメが有名だった。 そこで1番気になったのは「エイ」だった。 水の中をふよふよ飛んでいるみたいに泳いで、 他の魚たちが仲間と集まってぐるぐる回って泳いでいるのも我感せず。 「水の中は楽しいだろう」と余裕の面持ちだ。 誰とも群れない、けれど存在感があって ユニークなのに、気取らない。 お土産物屋で気に入った魚のぬいぐるみをひとつ買ってあげると言われて、エイのぬいぐるみを買ってもらった。 そのエイのぬいぐ

          「空飛ぶ魚と日本刀」 辻下直美エッセイ

          「虹を作った小人たち」 辻下直美創作童話

          このお話の主人公はハワイのカウアイ島に住んでいたと伝わるメネフネという小人族です。ハワイを訪れるとペットボトルにこの小人族が描かれているので知っている人もいるかもしれません。身長は普通の人間の半分ほどで、森に住み、昼間眠り夜に働く習慣を持っていたようです。ハワイにはこのメネフネが一晩で作った道や建物があちこちに残っています。メネフネは土木工事に関して高い技術を持っていたのです。そのメネフネ達がハワイで虹を作った伝説もあります。さて、ではどうやって虹を作ったのでしょうか。  メ

          「虹を作った小人たち」 辻下直美創作童話

          「黒猫ラベルのワイン」 辻下直美創作童話

           太陽と月が入れ替わる時間。西の空はバラ色に染まり、東の空はスミレ色に染まっていました。けれどだれも空の色など気にせず、急ぎ足でうつむきながら歩いています。その様子をワインショップの店内から眺めていた岡野良樹は試飲ワインの樽を店内に取り込みはじめました。 「今日も一本も売れなかったな」 ワイン樽の中身は良樹が作ったオリジナルのワインです。ボトルは深い海の様な真っ青な色で、ラベルは黒猫がちょこんと樽に座っているかわいらしいデザインです。なぜ黒猫が描かれているかと言うと、良樹が

          「黒猫ラベルのワイン」 辻下直美創作童話

          魔女の新年のお茶会

          大晦日の魔女集会が終わったら、次は魔女の新年のお茶会が開かれます。 仲良しの魔女たちが、小さな魔女オミの自慢のハーブガーデンに集まります。オミの肩には今日も真っ白いフクロウのシュヴァンクがちょこんと乗っています。  「さぁ、皆さんじっと座ってないで!準備を手伝ってください。ミウ、お茶のお湯を見てきて。ステラおばさんは、その隠し持っているサーフケーキをさっさと出してくださいね」  ステラおばさんは大きなリボンのついた箱を渋々取り出しながら、  「あら、どうして私がサーフケーキを

          魔女の新年のお茶会

          「ハロウィン魔女の大晦日」辻下直美創作童話

           冬へ向かうこの時期に闇の世界を切り裂くお祭りがあります。それは遠い昔にケルト民族の大事な行事だったのですが、いつの間にかとても賑やかなお祭り騒ぎへと形を変えて今日に受け継がれています。いえ、そうでもしないと消えてなくなったかも知れません。なんでも長く続けるコツは時代に合わせて変えていける柔軟性だからです。 さて、今では誰もが知るハロウィンですが、元はサーオインの祭りという魔女の大晦日でした。魔女の大晦日は時の外にあって、世界の営みが一時的に止まり、時間の裂け目から異界の者た

          「ハロウィン魔女の大晦日」辻下直美創作童話