Hirai@職場のお医者さん

医師/精神科医/産業医/労働衛生コンサルタント 現場とはあまり関係の無さそうな、普段の現場にできるだけ役立たないnoteになる予定です @5lcvqHv5pEZEE3f https://www.yodosha.co.jp/yodobook/book/9784758123686/

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医師/精神科医/産業医/労働衛生コンサルタント 現場とはあまり関係の無さそうな、普段の現場にできるだけ役立たないnoteになる予定です @5lcvqHv5pEZEE3f https://www.yodosha.co.jp/yodobook/book/9784758123686/

最近の記事

118回 医師国家試験 公衆衛生関連

今年も医師国家試験を受けた皆様、お疲れ様でした。 さて、今年も医師国家試験の公衆衛生の問題を振り返ってみたいと思います(118回) ちなみに今年は昨年と比べると薄味な印象でした。 一方で、厚生労働省の方々の意思を感じ取ることができたのは例年通りといった印象です。 今回も印象に残った問題をピックアップしてみました。 A問題 A2,A7 ヒートショックとたばこ いずれも是非おさえておいて頂きたい知識。ウォーミングアップ。 B問題 B14 飲酒 たばこの次は飲酒です。飲

    • 「小説みたいに楽しく読める解剖学講義」(著:村上 徹)を読みました

      滅多に本を頂くことはないのですが、この度、村上先生から本を頂戴いたしました。ありがとうございました。 早速ありがたく拝読いたしました。 今回は久々投稿でその感想文になります。 さて、この本の紹介をする前に、解剖学について前段となる知識が必要になるかと思います。 解剖学は多くの医学部では2年生前後で行われることが多いです。 1年生のうちは教養の授業がメインの大学が多いと思われますので、医学部らしい授業になってすぐと言っても良いぐらいのタイミングで行われるのがこの解剖学です。

      • 2023/3/24  出版から2周年です

        気づけば「忙しい人のための公衆衛生」出版から2年も経つようです。 本当に皆様、ありがとうございます。 この2年間の間に、少しずつ変化も出てきており、 教科書や参考図書として採用されたり、 初学者おすすめの本として紹介されたり。 2年目は自分にとって嬉しい変化が多かったです。 手にとって頂いた皆様に感謝申し上げます。 また、ご紹介いただいた方々も本当にありがとうございました。 (ご迷惑がかかるといけないので、リンクは貼りませんでした) 次の本について さて、今回のことを

        • 117回 医師国家試験 公衆衛生関連

          さて、117回医師国家試験の公衆衛生の問題を振り返ってみたいと思います 面白くない問題は見てもしょうがないので、そうではない問題を見ていきましょう (面白くない問題とは、知っているか知らないかを単に問われているだけの問題です) A問題 A48 呼吸困難を主訴に来院した症例 「建築現場で解体作業のアルバイト」ときたら産業医は全員「!?」となるはずです。 というのも、今まさに世の中では、建築物解体工事数がピークを迎えようとしており、しかもその解体する建物にアスベストが使われて

          Factorioから学ぶ世の中のこと(鉄)

          Factorioというゲームをご存じでしょうか 不時着した惑星で、資源を開発して、ロケットを開発して打ち上げることを目的としたシミュレーションゲームです 一時期かなり話題になったゲームで、私も少しだけ触って非常に面白かったので、今の世の中に落とし込む作業をすることにしました 最先端で専門的な話はせずに、面白さ重視で書こうと思っています ただ、不足などあれば是非コメント頂けると嬉しいです 不定期に更新していこうと思います 今回は「鉄」についてです 「鉄は国家なり」という言葉も

          Factorioから学ぶ世の中のこと(鉄)

          2022/3/24  高等教育に思うことと拙著の理念

          さて、拙著「忙しい人のための公衆衛生」を出版してから約1年が経とうとしております。 これまでにも少なくない数の方から御感想を頂いており、嬉しい限りです。あらためまして、ここに深く感謝申し上げます。 この期間の間に、この本に込めた想い、この本の役割、私がどういう思いでこの本を執筆・出版するに至ったかなどをお話する機会を頂きました。 この機会に、そのような機会でお話したことについて、記し残しておきたいと思います。 まず、本の話をする前にお二人の素晴らしい方の話をしたいと思いま

          2022/3/24  高等教育に思うことと拙著の理念

          116回 医師国家試験 公衆衛生関連

          年末〜年始の毎年恒例の強制イベントもほぼ落ち着いてきたので、 こちらにも少しずつ復帰していきます。 さて、先日2日間に渡って医師国家試験が行われました。 受験された皆様お疲れ様でした。 私も過去を懐かしみつつ、今年の問題を見ていたのですが、 よく芸術家の方々が「この絵にはこういう意図があるのではないか」ということを仰っていますが、私も「この問題にはこういう意図があるのではないか」と考えながら問題文を読んでいます。(その解釈が絶対正しいというわけではありませんが)。 という

          116回 医師国家試験 公衆衛生関連

          2021/9/6 「人類は感染症とともに生きていく」を読む

          すっかりこちらの方の更新をサボっておりましたが、そろそろ復帰します。 今回ご紹介するのは、こちら、「人類は感染症とともに生きていく」です。 公衆衛生の話題や感染症の話題が出ない日はない、という今日ですから、 まさにうってつけの本ではないでしょうか。 内容は20世紀〜21世紀にいかに感染症対策を世界的に組織的に行ってきたかという総論から、感染症各論まで、幅広くおさえられています。 全体通して読まないと理解できない本ではない気がしますので、 読みたいところだけ読む、というの

          2021/9/6 「人類は感染症とともに生きていく」を読む

          "実務に役立たない"で100記事達成しました

          ハッシュタグを毎回せっせとつけているわけですが、 前回の記事で"実務に役立たない"が100個目の記事だったようです。 感慨深いものがあります。 (途中全然書いていない期間もありましたが、、、) せっかくですから、どうして実務に役立たないことばかり書いてきたか今回残しておこうと思います。 身も蓋もないことを書いてしまえば、 実務に役立つことは他所で書くので、ここは違うことに使いたいからです。 それに実務に役立つことはそもそも大体誰かが書いてくれていますし、 別に私が書かなく

          "実務に役立たない"で100記事達成しました

          2021/05/24 「あらためて教養とは」を読む

          村上陽一郎 先生の本です。 日本でもリベラルアーツが重要なんだ、と言われて久しいですが、 よくよく考えてみれば日本には昔から「教養」という美しい言葉がありました。 あらためて、その「教養」について考えることができる本です。 本書の前半では、海外におけるリベラルアーツの歴史を学ぶことができ、 後半で日本における教養について学ぶことが出来ます。 海外におけるリベラルアーツは今回は触れないことにして、 日本における「教養」について触れていこうと思います。 本書は、日本における振

          2021/05/24 「あらためて教養とは」を読む

          2021/05/17 公衆衛生か社会正義か

          今回のワクチン接種問題(いわゆる"優先接種")について思うところを。 (絵に意味はありません、なんだか良さそうなものを選びました) まず、医療者を中心に「とりあえず打てる人に打ちましょう」という考え方が広まっています。 極めて合理的で、非の打ち所がない主張です。 「3000人分打てる量があるから、とにかく絶対に3000人分打とう」という専門家としての矜持を感じます。 打った人が誰、とかは関係ないんですね、別に首長であろうが、私企業の職員であろうが、医療従事者であろうが、それ

          2021/05/17 公衆衛生か社会正義か

          FAR2021(5)を読む

          ちょっとこちらの方の紹介が遅れ気味になっていますが、 最新号のForeign Affairs Reportのご紹介を。 今回やはり強調すべきは、 ・ COVID-19 ・ PCR ・ オリンピック 上記のどの論文もなかったことです。 唯一あったのが、グローバルヘルスについての論文で、 それもCOVID-19ではなく、より広いグローバルヘルス対策の未来についての 論文です。 COVID-19については、ある程度やるべきことは出尽くしたので、 あとはワクチンを打つだけ、とい

          「芸術的創造は脳のどこから産まれるか?」(著:大黒達也)を読む

          最近の音楽を聞いていると、「何か、ボカロっぽい」そんな感覚を受けることがあります。 そんな芸術的な感性は、一体どのようにしてうまれるのか、ずっと疑問でしたが、本書を読んで、全部理解したとはいいませんが、その一端を垣間見た気がします。 まず本書は科学的で非常に読みやすいです。(この感想はすごく属人的な気もします) 「芸術」を「科学的」に語っているので、私のような"科学脳"の持ち主にも非常にわかりやすいのです。 まず言葉の定義をしてくださるところから、嬉しい。 例えば、皆で共有

          「芸術的創造は脳のどこから産まれるか?」(著:大黒達也)を読む

          『現代社会はどこに向かうかー高原の見晴らしを切り開くこと』(著:見田宗介)を読む

          『FACTFULNESS』で有名なハンス・ロスリングは、世界人口についての驚くべき事実を「ダンボール」「IKEAの箱」を使って面白く解説しましたが、 本書でも同様に世界人口についての驚くべき事実を明らかにすることから、解説は始まります。 まず私達が世界人口に対して抱いているイメージは「爆発的に増加」しており、「取り返しがつかない」状況に近づいているのではないか、というイメージです。 事実として、1960年までは人口増加率は増加の一途をたどっており、最大で2%という増加率とい

          『現代社会はどこに向かうかー高原の見晴らしを切り開くこと』(著:見田宗介)を読む

          これから医学部に入りたいと思った方へ 〜 医学部で大変なこと 〜

          書こうと思った内容を急遽変えたので、今回は少し昔話を。 もう大分昔の話なので、多少史実(?)と異なる部分もあるかもしれませんが、お許しください。 医学部に入ると大変なこととといえば、もちろん勉強が大変、と思うかもしれません。 実際勉強はものすごく大変です。 (部活動が盛んな大学であれば、部活動に入ることがほぼ必須になるような状況もあると思いますが、これは部活さえ選んでしまえばいい問題なので、それほど影響はないでしょう。) 問題はそう、試験勉強です。 400とか500ペー

          これから医学部に入りたいと思った方へ 〜 医学部で大変なこと 〜

          「忙しい人のための公衆衛生〜「なぜ?」から学ぶ保健・福祉・健康・感染対策」(著:平井康仁)を勧める

          いよいよ明後日出版です。 そこで、導入となるような話を少しさせて下さい。 今回のnoteで取り上げたい話題は大きく2つです。 (今回私が本書を出版しようと思った経緯でもあります。) 公衆衛生という学問・教科を好きになって下さい 公衆衛生の知識を、(卒後も)自分のものにして下さい この2つです。 公衆衛生という学問・教科を好きになって下さいまずそもそも大事なことですが、公衆衛生は好きですか? 好きな方は、ここは必要ないので、読み飛ばして次に進んで下さい。 問題は、好きで

          「忙しい人のための公衆衛生〜「なぜ?」から学ぶ保健・福祉・健康・感染対策」(著:平井康仁)を勧める