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商談における「サービス紹介」と「提案」は、結局のところ何が違うのか
「40’s Biz talk」は法人営業やBtoBマーケティングが専門の40代男性2人、杉本浩一と柳澤大介がお届けするポッドキャスト番組。
音声番組の内容を読みやすく要約してnoteでお届けしています。第61回は「サービス紹介と提案の違いについて語ろう」です。
サマリー
営業も意識できていない、商談時のサービス紹介と提案の違い
提案とは顧客の悩み事を想定し、解決策を提示すること
スタートアップの営業はソリューション提案ができないと売れない
それでは、本編の内容をお届けします。
あなたの商談はサービス紹介か、提案か
柳澤:今回の40's Biz talkのテーマは「サービス紹介と提案の違い」について。
杉本:私はオンラインやオフライン問わず、商談をするわけなんですけれども。先日、同席してもらった人に、「杉本さんはサービス紹介が多くないですか?」って言われて。それで自分の商談を振り返ってみたと同時に、あらためて基本を洗い直したんです。
営業の人でも、サービス紹介と提案の違いを知らないというか、意識していない人が実は多いんじゃないかと思って、Twitterに自分の反省も込めてメモを投稿したんですよ。
営業における「サービス紹介」と「ソリューション提案」の違いについてメモ。
— Koichi Sugimoto / 豊かな世界を創るザ法人営業 (@koichi2905) October 16, 2024
シチュエーションによってどちらの場合もあるけど明確に違いを意識しなければならない。…
正直、シチュエーションによってどっちが良い悪いじゃないと思うんです。サービスを紹介する必要もあるし、提案をする場合もあるし、さらに言うと、両方ないといけないと思うんですけど。
まず違いを説明をすると、サービス紹介は自社商品の内容や特徴をそのまま伝えて説明すること。
例えば機械だったらこれは何をするための機械で、こういう機能がついていますよとか、メリットの説明もありますね。
例えばこのレコーダーは実は音がクリアですとか、再生速度が早くできたり、みたいなところだったり。営業がカタログを持っていって、その説明をする感じ。
あとは会社紹介なら、商品とかモノがなくても、自分たちはこんなことをやっている会社ですみたいな、そういう説明も含むので、基本的には相手に認識してもらうためのものなんですよね。
一方、提案っていうのはサービス紹介をした上で、相手が抱えているお困り事とか、課題・ニーズを聞いた上でこんな解決方法ができますよだったり、あるいはニーズとか悩み事を聞いてなくても、あなたこれお困りでしょ?それってこういう解決ができますよって。どう活用できるかどう悩み事を解決するかっていうのを提示することが、「提案」なんですよね。
紹介で終わる営業は実に多いんです。このSaaS、こういう機能がありまして、こういう管理画面があって、ダッシュボードでこんな風に見ることができます、さあいかがでしょう?
という機能説明で終わっているみたいな。こう動きますとかで終わってしまっているやつで、相手にこの機能を使って何をしますか?っていうのを全部渡しちゃってる状態。
提案は悩み事の解決とセット
杉本:本来それではダメで。結局、この商品ってあなたの悩み事を解決できます、がセットなんですよ。例えば、家電量販店のできる販売員が何をするかっていう話あるじゃないですか?
この冷蔵庫ですけれども、製氷機がすごくて一気に氷を作れます。実は大容量なので、野菜とか何でもたくさん入れられます、みたいなことを話すのが冷蔵庫の商品説明だけれども。
この大きな冷蔵庫があると買い置きができるのでコストが安く済みますよとか、子供がたくさんいるなら、ミルクを冷やす氷がすぐできてないと困りますよね?この冷蔵庫は瞬時に氷ができるから「あなたの時間を作るんです」みたいな訴求とか。
いまのは無理やりつなげた感はありましたけれども、提案とは悩み事を解決することをセットで伝えることなんですよね。
だからさっきの家電量販店のできる人は、商品の説明じゃなくて、お客さんが家庭でこの商品を買うとどんな未来が待っているかを提案ができる。
だからサービス紹介と提案が大事だっていう話なんですけど、私も提案のつもりでいたものが、実は紹介だったみたいなことがあるような気がしていて。
あと、サービス紹介って案外ベテランの人でもやっちゃうことがあるような気がするんです。僕がよくハマる罠は、自分が好きな商品とか、愛着のあるサービスほど、サービス紹介で終わってしまうこと。
逆にそんなに愛着がない人の方が、顧客目線に立てるというか。
何が言いたいかというと、けっこうよくありがちな失敗なんじゃないかなと思ってて。まず紹介と提案の違いっていうのがあるよっていうことを知らない人が多いっていうことと、知っている人でも、ともすると熱をこめればこめるほど紹介になってしまうことがあると思うので、めっちゃ注意した方がいいなっていうふうに最近思ったわけです。
営業の7割以上がサービス紹介をしている
柳澤:これはわかります。僕は毎月営業研修をやってるんですけど、一番最初にここを見ます。営業スタイルがサービス紹介のスタイルなのか、ソリューション提案型のスタイルなのかを見極める。
杉本:見極めててどっちが多いとかあります?できる人はこっちだとか。
柳澤:7割以上がサービス紹介ですね。
杉本:あぁー、みんなサービス紹介で終わっている感じですか。できる人っていうか筋のいい営業っていうのはソリューション提案がしっかりできている?
柳澤:そうです。サービス紹介をメインで話す方は全ての機能を説明するんです。ただ10ある機能のうち、お客さんの課題に対して必要な機能って2つか3つだったりするじゃないですか。
でも、その2つ3つも、他の機能と同じように説明されるのでお客さんが自分で、あ、これだったら使えるなって気付いていただくしかないんですよね。ところがソリューション提案だと、10ある機能のうち営業が3つだけにフォーカスして、「◯◯さんだったらこの機能を使うことで、こういうふうに働き方が変わりますよ」って話ができるので、提案の刺さり方が全然違う。
僕はこの話をするときに、よく例えるのがウォーターサーバー。デパートやスーパーの入り口にいるじゃないですか。お子さんに風船あげるからウォーターサーバーどうですか?って。
今なら1ヶ月無料ですよとか、美味しい水がすぐ飲めますよとか、お湯がすぐ出ますよ、みたいな。これがいわゆるサービス紹介ですよね。
このケースでソリューション提案はどういうのかっていうと、例えば夫婦が通りかかったとするじゃないですか。お子さんもいないので、おそらく2人とも働いているだろうと。その時、仮に立ち止まっていただけて話すとしたら。
今回ウォーターサーバーのキャンペーンをやってます。ちなみにお二人は新婚ですか? これは見た目からしておそらくそうなんで、新婚ですと。じゃあお二人とも平日は仕事で土日がお休みですか?みたいな。
イエスって言いますよね。「じゃあきっと朝って忙しくないですか?」「忙しくていつもバタバタです」「朝はコーヒーとか飲めてますか?」って話をすると、「いやー、朝はバナナとかヨーグルトぐらいは食べるけど、コーヒー飲むほどの余裕はないんですよね」。
「このウォーターサーバー使うと10秒で温かいコーヒーが飲めるので、朝の貴重な3分を優雅に過ごせますよ」みたいなね。
これは提案が入っているじゃないですか。こんなコモディティ化した商品でも、サービス紹介とソリューション提案だと、これぐらい刺さり方が違う。
キラリと光る不動産営業に会った話
杉本:僕はもう1つ、明確に違いを感じた時があるんです。家を買うときの不動産営業で、不動産営業の95%はサービス紹介だけなんですよね。間取りが3LDKで、駅から徒歩5分で、築何年です、さあどうですか?っていうパターンなんですよ。
正直それでもニーズがあるから内見しているので、売れるんだと思うんです。だってマンションは不動産屋さんから買わなければいけないし。だからこそサービス紹介で終わってるんですけど。
でも、たまにピリリと光る不動産営業がいらっしゃるわけですよ。で、その人たちは住んだ後の生活をイメージさせるんですよね。物件の周りをよく把握していて、これから何年ぐらい住まれる予定ですか?お子様小さいですよね。
でも大事なのって今のこの瞬間は駅から近いこととか、スーパーに近いこととかですけど、間違いなくお子さんの教育に目を向ける時がきます。そういった時にこの地域の教育環境はすごく良くて、さらにこの区はこういう助成金とかもあって。
◯◯さんには箱としてはさっき見た物件がいいと思うんですけど、今後の未来を考えるとこっちの方が合うような気がします、みたいな提案をしてくれるとオー!ってなりますよね。
柳澤:なりますね。
杉本:ほとんどの人が商品紹介で終わってる状態だからこそ、さらに光るわけですよ。正直、別にそれをやらなくても売れるかもしれないし、買わないかもしれないから、あまり不動産営業の方の努力が実らないケースの方が多いと思う中で、それをやってくる人が中にはいるわけです。
そういう人は営業力が云々というよりも、たぶん不動産の家を売る仕事自体が好きだからやってるように僕は感じる。仮にその時は縁がなかったとしても、また検討する時にはこの人に頼もうってなるんですよね。
これはアパレル販売員でも、車の営業でも、家を売る人でも関係ないと思うんですよ。相手の悩み事とか未来を描けるかどうかって。
でも難しいなと思うのは、その悩みとか未来がけっこういろんなシチュエーションがある場合は、自分が人生経験を積むか、あとそこまでいかなくてもちゃんとその相手のことについて悩みの解像度が高いか。あと勉強でも限りがあるところは、自分がアンテナを張り巡らせておかないと、その悩み事とか些細なことがつかめない気がするんですよね。
だから、僕はソリューション提案って難しいと思うんですよ。
柳澤:難しいと思いますよ。
法人営業は「提案」ができないと売れない
杉本:だって、さっきのウォーターサーバーの話も、お客さんのシチュエーションとか状況って千差万別じゃないですか?これを全部思い描ける人たちってすごく限られているというか、けっこう少ない。
柳澤:ウォーターサーバーは一般消費者向けで、休みの日のデパートに大量に人が来るんでイレギュラーですけど。こと法人営業だったら大量に商談するわけではないじゃないですか?多くても1日5件程度だし、商談相手もわかっているので、ある程度は事前準備でカバーできちゃう。
杉本:そうですね、事前にわかっていればね。
柳澤:SaaSのプロダクトだと、ソリューション提案できないと売るのはけっこう難しいと思いますよ。
杉本:そうですね。あと法人って悩み事が実は近い場合が多いしね。類型化できるケースはたしかに多い。一般消費者より複雑だと言われている法人の方が、けっこう悩みが同じだったりする。
柳澤:規模とか業界が近いほど似ていますよね。
杉本:どっちかというと複雑なのはその後の購買行動で、悩みとかは実は一緒なのかもしれない。
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Koichi Sugimoto / 世界を豊かにするザ法人営業
柳澤大介|新しい売れる仕組みを作る
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