新型コロナウイルスは、その扱い方について、5月に「2類」から「5類」に移行するだけではなくて、その名称も変わるらしい。
「コロナ2019」という名前にすると、今は2023年だから、まだ感染が収束していないのに、かなり過去のものという印象にはなる。
「ノーマスク」への誘導
今、「コロナ」に関して、もっとも多く議論されているのは、「マスク」のことのように思える。それも、「個人の判断」と表現しながら、暗に、はずすことへの誘導がされているような気がする。
これは、2023年1月の記事だけど、もし、この政治ジャーナリストの推測が本当だとすれば、G7でマスクをするかどうかという「見栄え」のような理由で、人の命に関わることを決断したことになる。
そこに、社会の中で、重症化のリスクが少ない人の、マスクをはずしたい主張が後押ししてきたのが、この2か月のような気がする。
感染しても、軽症で済むような、健康で老いていない人にとっては、コロナ禍の丸3年が経って、いい加減、マスクをはずしたい、という気持ちは、わかる気もする。
そんな「空気」が、「ノーマスク」への誘導として感じられるのかもしれない。
マスクをめぐる議論
こうしたマスクは無効とする後ろだてに、「コクラン」に掲載された論文のことが頻繁に登場する。
その一方で、「マスクには感染予防効果がある」という論文も存在する。
さらには、医師のこうした言葉もある。
2023年3月現在、「マスクの感染予防の根拠」について話をしても、「マスクを外す/外さない」に関しては、信じることを信じる、という争いになってしまっている印象すらあるし、「無症状でも感染する」という新型コロナウイルスの特徴については、大事なことなのに、すでにあまり語られていないようでもある。
だけど、新型コロナウイルスの感染が収束していない以上、もし、マスクを外す人が増えて、再び、感染者が増大し、その結果として、感染死者数が急増したら、どうするのだろうか。誰かが責任を取るか、もしくは、謝罪をするのだろうか。
ただ、「個人の判断」という言葉が出た以上、この後、どうなっても、それは「自己責任」という話になりそうな気がする。
それも含めて、やっぱり怖さがある。
海外を基準にすること
特定の誰が、というのではなく、「マスクを外す」という主張を以前からしている人たちは、その職業や立場や違っても、「海外では、もうマスクをしていない」という言葉を発する場合が多いように思う。
その具体例として、よく目にした印象があるのは、イギリスの「コロナ対策の緩和」についてだと思う。
これは、2022年1月のことだが、その1月の初頭には、イギリスでは、「新型コロナウイルスによる死者が15万人」を超えている状況だった。
イギリスは、こうして、追悼の意を、国のリーダーとして発した後の、コロナ対策の緩和という選択だった。
イギリスの例を出すのであれば、少なくとも、コロナ対策緩和政策を打ち出した2023年1月に、日本の国のリーダーも、こうした追悼の意も含めて、意志を感じさせるメッセージを、公に伝えるべきだったと思う。
イギリスの検討と対策
さらに、イギリスが感染対策の緩和に至るまでには、コロナ禍当初の対策の遅れへの反省から始めているようだ。
この、コロナ禍初期の2020年6月の記事では、イギリスのコロナ対策の遅れについて、検討が始まっている様子を伝えている。
そうした検討と、反省があったようで、当初は対策が遅れたイギリスの医療体制は、2021年には、かなり急速に整えてきた、という話もあった。
この記事は、2021年4月のものだが、2020年の3月のロックダウン以降のイギリスの医療体制について、こうした話が出ている。
イギリスは、これだけの医療体制を整えた上で、コロナ対策を緩和しているのだから、海外を基準にするのであれば、少なくとも、このレベルの医療体制を、日本でも整備させるべきだと思うのだけど、現状は、どうなっているのだろうか。
イギリスの緩和対策のあと
この記事は、2023年1月だが、こうしたイギリスの状況を知った上でも、とにかく緩和に向かうとすれば、イギリスの感染死者数が、15万人を超えているけれど、現在、死者数が、7万人をこえた日本でも、そのレベルまでの死者数を許容するということなのだろうか。
高齢者施設の現状
マスクを外すことを「誘導」するのであれば、もし、感染しても、いつ誰でも適切な治療を素早く行われる、という医療体制の整備が前提だと思う。
この記事は、何度も引用させてもらっているのだけど、感染症の専門医が、この記事の中で、「With コロナ」社会を、こう述べている。
現在まで、高齢者の死亡者が圧倒的に多いし、その際、問題になっているのが、高齢者施設でのクラスターだった。それは、コロナ禍と言われ始めた2020年から、ずっと課題のままのはずだ。
このままでは「withコロナ」社会は、難しいと思う。
こういった点は、もう3年、現場からの訴えとしてはずっと続いているはずで、こうした問題点に対して、政策レベルでの対策が必要だと思えるのに、今も、何か具体的な対策がとられている、と聞いた記憶がないのは、私が無知なせいなのだろうか。
この記事は、2022年の12月のものだけど、2023年3月の今も「重症化しやすい高齢者と関わる福祉事業者にとって、警戒を緩めることはあり得ない」状況は変わっていないはずなのに、こうした高齢者施設への対策をもっと本格的に行なうよりも、マスクを外すような、対策緩和ムードを高めることを、政府筋からすすめているように思える。
これからの医療体制
こうした医療体制の方針が発表されたのが、マスクについて「個人の判断」などと言われてからあとの、2023年3月のことだった。しかも、この記事によると、「目指す」だけで、まだ実現したわけではない。
しかも、6万4000人を受け入れられる体制が整ったとしても、たとえば、「第8波」のレベルの感染拡大が起こった場合は、とても十分とは思えない。一週間で、69万人の感染者数だったことがあったのだ。
さらに、前出の医師は、こうした懸念を示している。
現場の医師から、こうした声が出ているのだから、そうしたことにきちんと応えるような方針を、政府は出さないのだろうか。
2023年3月13日
その一方で、国会と比べて、同じ日に、通勤する人たちのマスク着用率はかなり高かったようだ。
(厚労省の内部のマスク着用率が、駅での通勤客に比べて、著しく低い姿に、忖度という言葉を思い出してしまったのだけど、考えすぎだろうか)。
「マスク」のことよりも「丁寧に説明」してほしいこと
3月になってからも、首相などの発言で、マスクについて語られることは多いのだけど、個人的には、マスク以外のことで「丁寧に説明」してほしいし、「しっかり発信」してもらいたいことの方が多い。
医療体制は、どうなっているのだろうか。そして、現状が、コロナに感染にした場合、いつでも誰でも素早く適切な治療を受けられるようになっていないとすれば、いつになったら、それが実現する予定なのか?そのために、今、具体的にどのような対策を、どの程度、進めているのか。
死亡率が高い高齢者に対して、どのような対策が取られているのか?さらには、クラスター発生率が高く、死亡率も高い高齢者施設の感染予防対策を、具体的に、どのように強化していく予定なのか?
感染死亡者をなるべく減らすために、どのような具体的な対策をとっているのか?もしも、現在、そうなっていなければ、今後はどのように進めるのか?そして、その対策が整うのは、いつ頃なのか?
コロナ禍になって3年がたち、感染死亡者数が7万人を超えた。これまでのコロナ感染対策について、具体的に科学的に検討し、その反省点も含めて明らかにし、必要ならばお悔やみだけではなく、謝罪と賠償も行い、そして、今後の対策に、どう生かすのか?も説明してほしい。
こうしたことを「丁寧に説明」した方が、おそらくは、今後の社会/経済活動にも弾みがつくのは間違いないと思うし、これからでも、こうした説明は可能なので、なんとか「しっかり発信」してくれないだろうか。
同調圧力
マスクに関して、“同調圧力のせいで、外すことができない”といった批判は、特定の誰が言ったというよりは、国民性とからめて、現状への非難として語られることが多い印象がある。
ここ何ヶ月かで、「同調圧力」ということを、もっとも感じたのは、個人的には、この場面↑だった。
そういえば、岸田首相は、いわゆる「アベノマスク」を、安倍首相以外では、ずっと着用していた印象があったことを思い出すと、マスクと縁が深い首相なのかもしれない。
同じ記事内で、こんな表現↑があったのだけど、混雑した電車内では、マスクの着用を推奨される、といった方針があったはずだから、マスク着用を求めるアナウンスをやめるのは、矛盾して感じるし、こうした声↓に対しては、どのように返答するのだろうか
「丁寧に説明」し、「しっかり発信」すべきことは、マスク以外のことの方が、おそらくはるかに多いと思う。
(他にも、いろいろと書いています↓。よろしかったら、読んでもらえたら、うれしいです)。
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