【読書メモ #18】最高の結果を出すKPIマネジメント
KPIと聞くと、「あれね、目標ね」という人や、「SEO対策のでしょ」、「事業管理の指標でしょ」、「売上の製品別内訳じゃないの」みたいに、KPIというワード一つだけとると、様々な回答が返ってくる。
それだけKPIはメジャーなもので、ある種一般名詞になっており、目標設定=KPIといった使われ方をされるようになってきた。
正論を説くつもりもないので、それで関係者が同じ認識を持って活動が良い方向に機能しているのであれば成功だと思う。
けれど、KPIマネジメントを周囲が理解してくれない、職場でずっと使ってるから引き継いで使ってるといった方は、活動をより良くするために下記の書籍が参考になると思う。
「最高の結果を出すKPIマネジメント」
(中尾隆一郎 フォレスト出版)
感想
本書ではまずKPIマネジメントを明確に定義している。冒頭に述べた通り、私はこの中で最も大切なのは「関係者全員で共有」という部分だ。
様々な会社・職場で、KPI管理者、設定者、実行者の間で定義・目的意識がズレており、それぞれでフラストレーションが溜まっていることをよく見かけた。
なんでKPI管理者(経営企画など)は、「KPIといっているのに何で売上の内訳が出てくるんだ」といい、
設定者(事業責任者)は「経営判断に使う数字だから事業別・製品別売上が大切だろう」といい、
実行者(担当者)は、「売上は一人当たりで割れば達成してるし、他の項目(売上単価の向上など)はやったら売れなくなるからやらない方がいいだろう」という。こんな職場は意外と多いのではないだろうか。
本書では、KPIの設定方法について、第5章で具体的にステップに分けて説明している。(KGI:売上〇〇億円を達成する、などの具体的なケース)
これはとても参考になる一方で、現実問題トップダウンでKGIを決めてくれる(もしくは現場から上げて承認してもらえる)会社は少ないのではないだろうか。全社で重要視したい経営課題はあるし、事業ごとに重要視したい課題もあるからだ。これは相反することもあり、中途半端になりどちらも曖昧な指標となって終わってしまうことがある。
例えばかなり簡略化した例だが、全社として残業規制(平均20時間/月)を指標としてレポーティングする一方、事業側では利益目標達成のため売上を前年比10%増が求められるなどがある。
ではどうするか。
1番事業にとって都合良いのは、特別扱いしてもらい、この事業のみ期限付きで残業規制の対象外としてもらうことだ。しかし、よっぽどの理由がない限り難しいだろう。
次善の策としてできることは、売上10%増を行動レベルまで分解し、その内容をもって現実的か経営側と話し合うことだ。
例えば、売上10%あげるために
・契約数の10件増が必要
・契約を増やすために商談数の30件増が必要
・メール、テレアポ数の100 件増が必要
といったイメージだ。
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(比較前)
メール・テレアポ: 1000
商談: 300
契約数: 100
( 比較後)
メール・テレアポ: 1100
商談: 330
契約数: 110
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ここまで具体化されて、残業時間の規制をそのまま押し付けることはあるだろうか。残業規制の代わりに、人員の採用を認めてくれる、新しい企画のために外注費を工面してくれるなど、両者の指標を達成するためのすり合わせが行えるのではないだろうか。
こういったことを繰り返して、KPIの認識をすり合わせ、両者で一つの目標に進むことが望まれることだろう。
(現実的には、その実務を担う経営企画が人員不足、事業部のパワーが強く経営企画が口出しできない、トップダウンが強く事業部の要望が通らないなど、うまくいかない要因があることも理解している。)
KPIマネジメントには、コンサルタントとしても事業会社で働いていく上でも、うまくいかないことが多く、今回は理想論を語ってみた。(いつもより本書の引用が少なくすみません。。。)
かなり、とりとめのない記事になってしまったので、いつか続編を別の視点から書きたいと思う。
また、業務を通じて感じる課題感は、書籍の紹介や経営理論を交えて紹介したいと思う。
今回は、「最高の結果を出すKPIマネジメント」でした。
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