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3色団子

17
詩+ショート🍡
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#詩

ぜんぶよれよれ

はきのないズボン

はきのないカレンダー

はきのない予定

はきのないペン

はきのない机

ぜんぶよれよれだから
アイロンでもかけるか

はきのない壁

はきのない床

はきのない窓

はきのないふすま

はきのない兄

はきのない妹

はきのないぼく

はきのない後頭部

はきのない今1秒1分

ぜんぶよれよれだから

洗濯でもするか
アイロンする前に

七夕みかん

みかんの種を窓に並べる

「ビタミンの風がふくように」

「肌が笑いますように」

「朝起きたら目が柔らかい感じで
ありますように」

「眉が可愛く伸びますように」

「そんなこと
どうでもよくなりますように」

「ジャガイモを食べている時
 唐揚げ並みの幸福感に包まれますように」

「あなたのおでこのツノが
 キリンみたいになりますように」

「あなたの耳が桜で
 覆われませんように」

「どう

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こなごなのカーテン

こなごなにしたカーテンを

ミキサーにかけたら

「ハサミの気持ちにもなれ」



シップを貼ったハサミに

一杯の水をもらった

ミルク看板の下の店

ミルク看板の下の店

5日前 さむらい2人が
おでんと牛乳を

1円と5円玉だけで
あわてることなくゆっくりとゆったりと
会計を済ませ 店を出た 

勇ましい体貌ではあるが
彼らの裾から目尻から
従属的な削りかすのまじった湯気が
風呂上がりのように
もふもふ とでていた

ときおり海の匂いがした
(趣味は海釣りかサーフィンもしくは
海の仕事をしている
だけども削りかすてことは大工さんか

でもさむらいだけは取ることがで

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一寸先は蓮畑

一寸先は蓮畑

一寸先は蓮畑
公共のトマト畑

みじん切りにされた歯ブラシを
水にさらすと
ネギの根が生える

辣油を10滴
ゴーヤの溝にかけて
ライン引きの仕事に就けます
就けます ああ
盛大な祝福
ウインナー10本と
生クリームとパイン
ミゾレワンタン

盛大に祝福したあと
まだかまだかと
カラスがトチの実を
車にひかす

近距離から計算された
ミドリとアカ
13の意図

君は何を投げるだろう
私は何を捨てる

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ミレンダ

ミレンダ

「ミレンダは元気かい」

「馬の口は
 押入れにしまってから
  花がよく咲くようになったのよ」

「赤いジニアと赤いサルビアと
 赤いケイトウとローズマリーの白と
 季節はずれのオルレア」

「季節なんてないよ」

「ミレンダは11月に帰ったわ」

「そうか あの花たちはミレンダ
          だったんだな」

「気のせいよ」

目と目がくっつきそうな印刷屋

目と目がくっつきそうな印刷屋

あごが疲れはてた
30日目の昼

もうすぐ目と目がくっつきそうな
印刷屋が
頭から離れなくなった

その男に夢の中で
会うために

いつになく
筋肉強化をひたすらした

疲れはてて
眠るためだ

あごが私を横目で
笑っていた

私は皮肉を買うように
めしを眠りにつくまで
食わなかった

スティックブロッコリーの夢🥦

スティックブロッコリーの夢🥦

アリクイに恋をした
彼はぼくの肩を
友情的に抱いた

ぼくは手のひらが
少し温かくなり
ぼくがスティックブロッコリーだということを
ばれないように
ばれないように

にんじんが終わった
太陽の力で
彼にスローな感覚で

応援していることを

新芽から
肩のほねにおくる

スティックブロッコリーだと
いうことに気づいたときは
君がしょせん
たぬきだったということに
きづいただけの

あきらめの強い

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ホットケーキ

ホットケーキ

ホットケーキを
夜中の3時に焼いている

 じ

んわりのびて
ぷつぷつとふくれる

ぷつぷつ

を見ているときの

多幸感のためだけに今
茶色い液体を鉄板に流す

いつかのコンビニの
青い制服のおっさんが
眠そうに
ふくれおわったぷつぷつを
袋につめていた

その袋は30分後
冷たい空気の中で
ぷつっ

とはじけた

はじけた1分後

沖縄料理店の無愛想な店主が
海ぶどうを
ぷちっとならして

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環状線季節

環状線季節

羊がお腹にごぼうを巻いている
暑そうだ

今朝の夢

-たんぽぽの信号
 3色団子の香り-

上空へ続く階段
 笛の音と整列

威勢のいいアナグマが指揮をとる

( はぐれないように
 はぐれないように )

-説明会を始めます-

高速落下の際
無線申請をお願い致します-

ごぼうは外して下さい-

高速落下試験を待っている間に
3色団子はきれいに踏まれ

たんぽぽはすっかり枯れ

白い矢印が斜

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あごの頬杖

あごは肩をまわした

その時左あごが

「こつきっ」
と聞いたことのない音を立てた

あごは肩を外した

あわてて私は
人差し指と中指で
左まわしに
電流を送った

あごは言った

「飛ばないあごは
  あごじゃない」

私の座布団がなくなっていた