- 運営しているクリエイター
記事一覧
中間試験は後ろ男の靴の中
私の後ろ
自動ドア
片栗粉まみれの
若者
土と側溝のまじった
香ばしい香りが
ドアの前に列を作る
ぶつかり合う肉体の音と
じゃぶじゃぶと掻き分けるような音
ドアが揺れだす
次第に熱帯びて
わたしの背中が
まぶたが
手のひらが
もくもくと煙を出し始める
(かかとまでいかないように かかとまでいかないように )
力強く軽い
馬に似た
リズムのある足音
振り向く
2m近い男
190ぐら
あたらしい筋トレ
「ほっぺたの筋肉を
嬉しいうふへ♪に設定して
気合でぼふっっと燃やしたら
空に投げてね
そのあと
目のまわりを集中的に
しあわせうふへ♪に設定して
ころりん燃やして
お花に投げてね アゲハがよく食べるよ
アゲハに挨拶したら
いってらっしゃい 」 かめより
目と目がくっつきそうな印刷屋
あごが疲れはてた
30日目の昼
もうすぐ目と目がくっつきそうな
印刷屋が
頭から離れなくなった
その男に夢の中で
会うために
いつになく
筋肉強化をひたすらした
疲れはてて
眠るためだ
あごが私を横目で
笑っていた
私は皮肉を買うように
めしを眠りにつくまで
食わなかった