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2ミリ
2023年8月31日 17:59
わたしが送った夕暮れのなみだと-15℃のリボンあなたがわたしに送った葉脈のため息月だけ知ってて「8月の朝 踊るシジミ蝶 季節はずれの春がきらきら 輪を囲んで ああ まぶしいです」緑の香り碧に染まる二つの石-山中電車-がらんがらんの空席がしばらく目を瞑り気配を消す吊り革に体を半分預けて景色を眺めるあなたとドアにもたれながら
2023年9月19日 03:29
20分前の私の首もとにはるか遠い河川敷で石になったわたし午後4:47分 流れる水の音と寝そべりたいとがったくちばしを天井にはりつけてあなたを階段から突き落とす夢のあと午後5:13分 あなたの横顔が太陽に染まりだす赤い輪郭 行き場をもてあます逆光の感触水中の中ゆらゆらきらめく私の髪が空の吐息に溶けて石になって
2022年10月18日 00:08
ねっこは少女だった土からでたくきに恋をしては人の手によってそのくきをむしりとられるたび少女は悲しんだ1週間ぶりのお茶を飲んだときの腸のさけびアゲハの信号腸内新聞今朝のニュース「黒アゲハの幼虫山椒7日目にして死す」春の新芽までに少女の腸と首の骨を強化し心折れない女になってやろうというオダマキ14才の決意であった
2023年8月31日 13:28
地球の嘘は毎朝窓辺を飛んでるすずめがよく知ってる「不器用なほど角がでててね器用な嘘ほど爪でひっかくんだよ」「そうなの?」「悲しいときはしばらく悲しんでいいんだというか悲しめムカつけ」「うん」「嘘ついてもいいじゃないの」「うん‥」「だってさ こんな角だって隠したい時あるよ」「うん‥ 」「攻撃しないための嘘はついてもいいじゃない 」「んん
2023年11月5日 23:20
右横にたばこを吸う君ぼくはたばこをやめたから君がたばこを吸ってる時はにんじんを食べてる馬だっていうことにしてる右横ななめから見た馬はなんとも凛々しくてむしゃむしゃと音を立てるすきまから香ばしい香りが眉間の距離を縮めては広げるスローで見る電車のドア夢の中のデジャヴ秒を数えるごとに目の下がオレンジに染まりぼくの右手にもうっすらオレンジがかった気がし
2024年4月13日 18:04
まだ少し冷たい風 伸びた雲の下影なくて視線の先カラスの足あとコンビニでコーヒー買った氷とガムシロップ一周ゆらりまわるあいだ黒のパーカーが一瞬笑ったのは桜の音ぼくの左肩が一回くしゃみした車の窓から見えるダムきみの手からすぐ投げた大きな音とスローハイ桜散らなかったうす紫のちいさな実を隠し持ったきみの背は頑丈カラスが通りすぎるたびなんのへんてつ
2023年8月4日 08:39
水面に映る雨上がりの雲の隙間差し込む光砂利とくっつき虫クリーム色のため息をつく睡魔が皮からはみでるはみでた月はシュークリームまどろみの裾に揺れてよれよれの叫びの中もう聞こえてはこない彼らの声月のなかの小さなウサギっxa)u ))聞こえましたか小さなくしゃみ愛をもって出発の合図 うちゅうより
2022年11月5日 16:44
線と線が水と風を作ったなら私とあなたは葉と土で出来たひとつの種かそれとも毛と毛のあいだを何万年もの間流れ 飛び落ち くだばり土から石から木の根から同じ道を通っては別々の土地で芽吹いた白い糸が光る窓の向こうで目が覚めた瞬間にぼくたちの心臓を風と水にさらしたのか
2023年3月29日 12:43
ロマンチックな花束を抱いてほら足元にオレンジのリボンが君の小指にまかれてね透明な鈴の音色いつ気づくこの線の始まりの切れ目でこのざわめきが地平線に溶けて弧を描く薄紫色の雲が虹に連絡をするなくてはならないあなたの親指は金色の鳥が雛の餌にして7716番目の羽根に生まれ変わる
2023年12月14日 22:57
タルトの生地をむしり取られて残された艶やかな苺ザラザラとタルトの残りかすがむなしく皿に残るタルトでなくなるまえに伝えることはあるか「あなたのおかげで木になった」「あたらしい水をさがすよ」
2023年8月16日 22:54
まっすぐな速度でそれは手と手の間をすり抜ける口という口を閉ざしてあっという間にすり抜けていくああ″さようなら″ちくわの中もあなたの襟の間も笑わない頬の上もすんなりすり抜けてぼくの袖を引っ張りここがバス停だという一通の神聖な手紙が来る頃にはすでに過去の出来事に記録されぼくの指先は1分後に皿回しの神経を整えていく
2023年4月28日 01:43
それは愛になるまえの皮と身の境界線破るといたいからそっとしておくの嵐がくるまで
2023年8月10日 18:29
とうふを月にあげた月の手首にピンクの布とうふをつつむためのふろしき月はとうふをきゅっとしぼり私の恋人の畑からほうれん草とにんじんをそっと抜き白和えにしてしろうさぎの口に入れたしろうさぎはそれから家と家をつなぐチャイムになった