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掌編小説・ショートショート・短編小説

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ジャンルは特に決めていませんが、気ままに投稿していきます。
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#ショートショート

うらがえし|ショートショート

数日前からTwitterの裏垢が勝手に想いをつぶやくようになった。 まるで私の代わりに涙を流すか…

諸星颯太
2年前
15

イン・ア・センチメンタル・ムード|ショートショート

「おじいちゃんが心臓発作で倒れた。救急車で藤山総合病院に運ばれた」  僕は朝一から大学で…

諸星颯太
2年前
6

始まってもいなければ終わってもいない|ショートショート

「ただいま」とは言わず、静かに彼の部屋へと戻った。まだ彼は仕事から帰ってきていないようだ…

諸星颯太
2年前
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His Secret|ショートショート英訳

I had a partner, we've been together for three years.  We had lived  together in a hi…

諸星颯太
2年前
6

ダカールの朝|ショートショート

 外はまだ薄暗かったが、辺りには無数の音が響き渡っていた。どこからか風のように流れてきて…

諸星颯太
2年前
12

君の部屋で|ショートショート

 僕たちは口裏を合わせ、体調不良だと嘘をついた。  午前中の授業を終えると、二人とも頼れ…

諸星颯太
2年前
14

最後に何が見えた?|ショートショート

 私は友人の車を急いで降りて、道端で横たわっていた猫のもとに駆け寄った。暗闇の中で、猫はすでに死んでいた。首が折れ曲がり、辺りには血が流れていた。  夜のドライブ。温泉まで行った帰りだった。私の家の近く、よく知った裏道を走っている時だった。助手席にいた私は運転をしていた友人よりも先に、猫の存在を確認した。  知らないふりをしようと思ったが、さらに轢かれたりすることを想像すると、夢に出そうで嫌だった。  友人は面倒なことが嫌いだった。「誰かが何とかしてくれるって」「風呂に

新生活|ショートショート

 フリマアプリでダブルベッドのフレームを掲載したところ、買い手が見つかった。  どうやら…

諸星颯太
2年前
8

栄光をもとめて|ショートショート

 朝の5時、10㎞のランニングが彼の日課だった。静かにアパートの玄関を出ると、黒々とした彼…

諸星颯太
2年前
27

階段から聞こえてくる音|ショートショート

ついに私は睡眠薬を服用しても眠れなくなった。 最寄り駅のすぐ近くにある8階建ての雑居ビル…

諸星颯太
2年前
3

グッドモーニング|ショートショート

 目覚まし時計の音が、部屋中に鳴り響いている。もしかしたら隣の部屋にも聞こえているかもし…

諸星颯太
2年前
7

寝言|ショートショート

 息が出来なくなるくらい暑い夏だった。  ただでさえ、無意味な訪問をする必要がない時代に…

諸星颯太
2年前
4

衝動|ショートショート

 私にはかれこれ3年以上付き合っている彼氏がいた。  彼がもともと1人で住んでいた高層マン…

諸星颯太
2年前
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匂い|ショートショート

 私は奇妙な体験をした。    そうでなければこうして昔のことを思い返す必要はなかったはずだ。  私が小学生だった頃。学校までは徒歩で通っていた。  片道で1キロ程度と、それほど遠い距離ではなかった。大した理由もなく友達同士で喧嘩をしたり、知らない人の家からイチジクの実を頂戴したり、石を蹴って車にぶつけてしまったり、道中では様々なことが起こったが、全てを鮮明に思い出せるわけではない。  映像や音として記憶を辿る人間も多いのかもしれないが、私の場合、どちらかといえば印象に