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小さい皿だと料理が多く見える
小さい皿に料理を盛り付けると食事量が減るという趣旨の論文を読んだのでメモ(1)。
これまでの摂食行動に関する研究を見てみると,食事をしている状況によって食べる量が変化することが分かっており,以下のような結果が報告されています。
・一人で食べるより誰かと食べると食事量が増える(2)
・お菓子のCMを見ると,お菓子を食べる量が増える(3)
・利き手ではない方で食べると食事量が減る(4)
このように食事量は身を置く環境や周りの人間との関係によって変化します。今回紹介する論文は皿の大きさで摂食量を変化することを教えてくれます。
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/75784934/picture_pc_c81cd3a8fc61039cffbae32a37597bdc.jpg?width=1200)
2019年にジョージア工科大学のクールト・イターサムらが皿の大きさを変えることで食事量が変わるのかについて調べるために実験を行いました。
実験の対象となったのは大学生225名でした。
実験参加者をランダムに2つのグループに分け,見本となるスープが入った皿と同じ量のスープを割り当てられた皿に注いでもらいました。その2つのグループ間には以下のような皿の大きさに違いがありました。
<グループ1>
大きい皿
<グループ2>
小さい皿
そして,グループごとにスープの注いだ量を比較し,皿の大きさで注ぐスープの量に違いが出るのかを調べました。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/75785594/picture_pc_52c30b943e476caecffdd1b181a3eed7.jpg?width=1200)
実験の結果,小さい皿にスープを注いだ場合には大きい皿にスープを注いだ場合と比較して少ない量のスープを注いだ。その差は約8%だった。
つまり大きい皿と小さい皿で同じ量を注いだとしても,大きい皿では少なく,小さい皿では多く感じるということです。以下に3つの大きさの異なるさらに同じ大きさのトーストが載った図を載せておきます。
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/75786252/picture_pc_8fd5a9ad0dea088f353b4c37312b2012.jpg)
Credit: Daniel Cortes、Martinez-Conde、Macknik Laboratories
このような現象が起きる理由として皿の大きさとの対比によって物理的な大きさが同じであっても,感じられる大きさ・多さが変わっているからだと説明されています。
しかし小さい皿に盛りつけられた料理が大きい皿の場合よりも大きく・多く見える現象は空腹のときには生じないのではないと主張する研究もあります(5)。次の記事では,小さい皿に盛り付ける際に量や大きさの過大視が起こることを踏まえて,食事をしたときに本当に食べる量が減るのか増えるのかについて書いていきたいと思います。
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/75785652/picture_pc_3b3bed1b114ff685b04ce8223ffa6e85.jpg?width=1200)
(1)Van Ittersum, K., & Wansink, B. (2012). Plate size and color suggestibility: The Delboeuf illusion’s bias on serving and eating behavior. Journal of Consumer Research, 39(2), 215-228.
(2)Ruddock, H. K., Brunstrom, J. M., Vartanian, L. R., & Higgs, S. (2019). A systematic review and meta-analysis of the social facilitation of eating. The American journal of clinical nutrition, 110(4), 842–861.
(3)Harris, J. L., Bargh, J. A., & Brownell, K. D. (2009). Priming effects of television food advertising on eating behavior. Health psychology : official journal of the Division of Health Psychology, American Psychological Association, 28(4), 404–413.
(4)Neal, D. T., Wood, W., Wu, M., & Kurlander, D. (2011). The pull of the past: when do habits persist despite conflict with motives?. Personality & social psychology bulletin, 37(11), 1428–1437.
(5)ZitronEmanuel, N., & Ganel, T. (2018). Food deprivation reduces the susceptibility to size-contrast illusions. Appetite, 128, 138–144.
■「おいしさ」の錯覚 最新科学でわかった、美味の真実/チャールズ・スペンス (著), 長谷川 圭 (翻訳)
■フードトラップ 食品に仕掛けられた至福の罠/マイケル モス (著), 本間 徳子 (翻訳)
■「おいしさ」の科学 素材の秘密・味わいを生み出す技術/佐藤成美 (著)
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