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渋谷区の小中学校は午後、探究をやるんだってさ!


 渋谷区の小中学校は午後、探究をやるんだってさ!

 このニュースは今後にも大きな影響を与えるかもしれないので、思ったことを整理しておきたいと思います。これは書かずにはいられなかったので、教育ニュースの臨時版ということで気が向いたら読んでみてください〜◎

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■教育ニュース
12/27 教育新聞
全国初、午後の授業は「探究」に 来年度から渋谷区の全小中学校

※noteトップ画は記事より一部、引用しました。
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 探究は、教科の壁を超えて「学び」とはどういうものなのかを考える上で、とても有効な手段だと感じています。今回の渋谷区の取り組みは大きな変革となる素晴らしい取り組みだと思います。学校裁量の上乗せ分を活用して探究に振り切っている点もとても意義があるでしょう。思い切った勇気のある決断をした渋谷区には拍手を送りたいと思います

 教育のニュースなどを定期的に見ていますが、学校や自治体が独自の判断で動くケースが元々あったと思いますが、SNSなどによってそれが顕在化し、各自治体に飛び火するケースが増えていますね。

 この探究の動きがどのような展開を見せるのかとても気になるところです。特に高校ではどのように探究を行うのかは、かなり大事なポイントになってきています。小中学校でこのような外部連携・チーム探究・My探究を進めた子どもたちに高校はどういった教育を進めていくのかというのは、高校教員の私にとっても突きつけられた課題だと感じます。

 最近、小学校に見学に行きましたが、ICTツールの活用は小学校が特に進んでいます。Googleのツールをベースにして、canvaをはじめ、Flips・padlet・kafoot ! など小学校では取り入れられているところが増えていると感じます。(四大ツールと言われているらしいですが、正直私もあんまりわかんない。canvaは使ってますが。)

 その点、高校では、教員個人の裁量で使われているくらいで、大規模な導入はそこまで多くないと感じます。中学高校は教科中心の採用になるので、教育技術関係にはやや小学校よりも疎い傾向にあります。

 小学校の先生たちは既存の授業で既に探究的な取り組みをしているケースも多いので、小学校での探究の広まりはこれから中学校や高校に大きな影響がある可能性があります。探究を経験してきた子どもたちに対して、何をするのかをきちんと考えることが必要でしょう。

 また探究が大規模にカリキュラムとして導入されることについては当然懸念も多くあります。今回のカリキュラムでは、外部連携・チーム探究・My探究の3つになるようですね。

 例えば、外部連携と言っても、外部企業の質はピンキリです。教員が外部といかに有機的に協力できるかというと、ここにはかなりの熟練度が必要です。外部連携は外にお任せというスタンスで進めると、お互いに疲弊して終わることが多いです。。既に外部と連携していても、外部企業は学校の普段の関わり方を問題にし、学校は外部企業の自己主導的な関わり方を批判することも多いです。結局のところ、誰かのせいにして終わるという話は多く聞きます。

 外部連携を主導で進めるとなると、いかに他業種と関わるのかというスキルみたいなものが必要になってきます。これを持っている人たちは一定数いますが、そこまで多くないと思います。(私もできているわけではないですが。)

 チーム探究もチームでの学習が増えれば、チームが苦手な生徒たちをいかに巻き込むのかなどのテーマと不可分です。チームで探究をする際にはかなり負荷が上がるので、子どもたちにとっては嫌がることも多いでしょう。テーマ設定・議論や対話の進め方・合意形成・発表・フィードバックなどフックにもネックにもなるポイントが山積しているので、総合的なスキルが必要になってきます。

 ちなみに私はそういった総合的なスキルは、センスではなくスキルだと思っています。スキルなので練習などを通じて、習得可能なものだと思います。(もちろん私ができているわけではない。)

 また、My探究にも大きな壁があります。My探究が始まると、それを進めた際に、どんなフィードバックを周りからもらうかで、自己肯定感も大きく変わる可能性があると思います。せっかく自分が好きで進めた探究なのに、それを否定されたりなどがあったりすると、本当に傷つく可能性もあります。また教員主導で進めてしまうなどのケースもあるでしょう・・。

 さらに探究が進めば、教員の関係性も変わります。よくなることを望みますが、探究推進派が力を増していくので、その中で置いて行かれてしまう教員や、探究が苦手な同僚の批判をしてしまう人もいるかもしれません。

 総合的にいかに進めていくのかというのは最終的には現場の雰囲気次第なので、良い現場を作っていくことがとても大事だと思います。人と人とがリスペクトし合って、お互いにカバーできるかどうかが改革を進めるポイントになるでしょう。

 渋谷区の取り組みは自治体の力(外側の力)として、現場を大きく変える可能性がありますが、かなり大きな痛みも伴います。リスクも多いだろうなと感じます。やはり最終的には学校の中(内側の力)による部分が多いと思うので、そこがより良く進むのが良いと感じます。もちろんこういった大きな動きは、働き方改革や、人不足など総合的な問題と地続きです。

 できる人だけで進むのではなく、苦手な人たちも含めて、良い雰囲気で進むことを祈っています。私はこの動きはとても歓迎しているので、今後に期待しています。

 探究を通じて、良い学校現場になることを祈って、終わりにします。長くなりましたが、ありがとうございました。

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