もしも「るろうに剣心」の「緋村剣心」をマネジメントするなら
こんにちは!今日は昨年映画もシリーズが終了した人気漫画「るろうに剣心」の主人公である緋村剣心を取り上げたいと思います。
かつては人斬り抜刀斎とも呼ばれた凄腕の暗殺者でしたが、明治の時代が落ち着いてからは、流浪人として、弱き人々のためにその剣を振るった心優しき剣客です。
そんな剣心がもしもビジネスパーソンだったとしたら、どのように強みや弱みを捉えて、マネジメントするのか、考えてみたいと思います。
ちなみにnoteの自己紹介でも書きましたが、僕は剣心が大好きです。彼のような人の弱さが分かる強さをもちたいと常々思っています。その記念に今回はマガジン登録いただいていない方にも無料で読めるようにしています。
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では、中身に入っていきましょう。
剣心の強み
物語前半では仲間に対する仕打ちで、許せない出来事に出くわすと、プッツンとキレてしまい、昔の人斬り時代がよみがえってしまうことがありました。この時は周りの声は聞こえず、相手を倒すこと・殺すことしか見えなくなってしまっています。そんな一場面もありましたが、基本的には心優しき剣客です。
そんな剣心の強みとは・・・
人を理解し導く力ではないかと思います。
どういうことなのか、解説していきたいと思います。
剣心は決して相手を動かすような豪快さがあるわけではありません。相手を深く理解し、優しく包み込むような人間性をもっているがゆえに相手の心に響くメッセージを発信することができます。
これまでの人生のあれこれが、さまざまな”人”という生き物を理解する器を形成したのではないかと思います。人生経験は豊富であればあるほど、人を理解する機会は増えますからね。心優しき少年→厳しい修行→人斬り抜刀斎→流浪人、という紆余曲折した人生が彼の深みを生み出しているのではないかと思います。
それを象徴している1つのシーンがあります。上記のような人間性の剣心は嘘などつきません。ですが、唯一?とも言える嘘をついたシーンがあります。
それは高荷恵という登場人物が阿片の密売に関わっていたことが分かったシーンです。剣心が仲介し彼女を救い、問題を解決するのですが、阿片の密売に関わった罪で出頭しようとする彼女のことを警察に対して「この女性は優秀な医者の卵でござってな。それでこいつに阿片作りのために、つけ狙われていただけでござるよ」と伝え、高荷恵に更生のチャンスを与え、過去ではなく、未来のため生きるように促します。
冷静に見れば、確かに犯罪をもみ消したとも言えますが、当時は阿片の密売は死刑になりますので、死して償うことより、未来を期待し、何より本人の心を動かした人間力はすさまじく高いと思います。
剣心の弱み
こちらも結論からお伝えすると周囲に要望する力が弱いことです。どういうことかご説明します。
過去に闇を抱える剣心は「自分が犠牲になれば良い」「自分は死んでも構わない」という想いを抱えながら、戦っています。過去の過ち(人斬り時代)に縛られており、自分自身を軽んじているところがあります。
自分自身の命を軽んじること。そして心優しき性格特性であること。これらの特徴から、仲間を危険にさらすことを極端に恐れ、大事な戦いの場にも自分一人で行こうとして、仲間を遠ざけてしまうことがあります。
決して、仲間を信じていないわけではないものの、周りを傷つけたり、自分の行動が周りに迷惑をかけるのではないかということを非常に気にしすぎるところがあり、周りを自ら巻き込み、要望することができないことが克服すべき課題のように思います。
物語の中では師匠との修行を経て、成長は見えています。少なくとも「自己犠牲の気持ちが強い」「生きたいと思う意思が欠如している」という自分自身で気づいていなかった特徴を理解することはできました。自己理解は進んでいます。
それ以降には仲間を信頼し、要望とまでは言えないとしても、同じ仲間として、信じて任せることはできるようになっています。
あと、ちなみに課題ではありませんが、剣心は28歳です。人間だれしも隙があるくらいの方が良いとは思いますし、別に年齢を問題にするつもりはありませんが、28歳で「おろ?」と天然ボケを炸裂しているところはちょっと心配にはなりますね。
剣心をどうマネジメントするか
これまであった通り、剣心は心優しく誰に対しても、気さくに接することができます。分け隔てなく、相手が敵だとしても、その心に目を向け、相手を理解しようとするほどのお人よしです。
では、そんな剣心くんの上司なら、どうするでしょうか。
おそらく剣心くんは対人とのコミュニケーションにおいては困ることはないでしょう。顧客や協働者ともうまくやっていくと思いますし、社内には剣心くんの味方がたくさんいると思います。人望もあり、頭もキレるでしょうから、組織のリーダーを任せていくことを期待される存在になると思います。
ですが、その際にどうしても弱みになるのはその優しさゆえの要望力です。組織のリーダーには時にはメンバーに修羅場を与え、成長を促すような場面が必要になることもあります。もちろん修羅場を与えればそれだけで良いということではないため、必ずしもそうした機会を作れることがマストなわけではありませんが、「機会が人を育てる」ということも事実です。
人への優しさだけではなく、メンバーや協働者に対して、時には厳しく要望する力を高めることが求められるということに彼の課題を設定するのが良いと思います。
今回の彼のマネジメントをする上でのポイントは2つあります。
①先々をみた課題を設定すること
メンバーでいるうちにはスタンスは抜群ですし、頭もキレるでしょうから、仕事のスキルもそれなりに高いと考えられます。つまり、現時点での仕事を進める上での致命的になるような課題はない状態だと思います。
ですが、だからといって、成長のためのテーマを設定しなくてよいわけではありません。今は問題ないなら、将来に向けた準備を促し、成長するための課題を設定するべきです。
今の延長線上でいった時に将来に求められることと、どんなGAPが生じうるのか想像し、これをメンバーと課題合意する必要があります。
②弱みの克服ではなく、強みを伸ばすという位置づけ
弱みの克服と言う位置づけではなく、あくまで彼の人を理解し、導いていく力。つまり強みを伸ばすための成長テーマであることを伝えることです。
メンバーの成長を促すにあたり、強みを伸ばすのか、弱みを克服するのか、という話がありますが、強みの邪魔をする弱みについては強みを伸ばすためのテーマとして課題設定して、成長を促すのが良いと思います。
剣心くんとの1on1のイメージ
今回のポイントである未来に向けた課題設定をする上で1つ壁になりそうなことがあります。それは剣心くんは上昇志向が強くないことです。自分はまだまだです。となって成長スピードを止めないために課題設定し、成長を促すことが求められます。
未来に向けた課題設定をするにはどんな会話をすると良いのか、イメージをお伝えさせていただきます。(※言葉遣いが部下の言い方ではないことは気にしないでください)
上司:今後、組織のリーダーになっていくことを期待したいけど、剣心くんはどんな風に考えているの?
剣心くん:拙者にリーダーなんてまだまだでござるよ。
上司:いやいや、そんなことはないでしょ。
剣心くん:拙者なんかより、もっとリーダーに向いている人材がいるでござるよ。例えば・・・。
上司:うん、そういうメンバーを深く理解しているところやメンバーとの信頼を構築する力があるところが剣心くんの強みだよね。まさにそこがリーダーになっていくことを期待したいポイントなんだよね。これからのうちの組織には剣心くんみたいにメンバーと心を通わせて、マネジメントできるような人が必要だと思ってるよ。
剣心くん:ありがとうございます。でも、拙者なんかに務まるでござるか?
上司:うん、確かにそのための課題はあるかなと思っている。その1つが要望する力だね。
剣心くん:要望する力。。。あまり得意ではないでござるな。
上司:剣心くんは心が優しいから、言い切れないということがあるかもしれないけど、本当の意味での優しさは相手の中長期を見据えて、必要なことを伝えることだと思うんだよね。決して、厳しくすれば良いわけではなく、「こうして欲しい」ということをはっきりと伝えていくような力は今後意識していこう。
剣心くん:分かりました。
以上です。
会話のイメージはつきましたか?
終わりに
剣心のようなメンバーがいた場合、マネジメントするイメージは湧きましたか?
今回のポイントは「弱みの克服ではなく、強みを伸ばす位置づけにすること」と「現状に課題がないメンバーに対する課題設定の仕方」でした。
ぜひ参考にしてみてください。
それでは、次回をお楽しみにっ!
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