浅葱秋星

SFと星と読書と、色々と好きな昭和の文系おじさんです。

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マガジン

  • 子供の頃に読んだ本

    子供の頃に読んだ、印象に残っている本、好きだった本について書いたことをまとめました。

  • 星にまつわる短編集

    投稿したショートショートをまとめました。 同じ人物が登場するシリーズ作品になっています。

  • SF小説 百万ドルの虚空

    これから続けて、昔あるコンテストに投稿した作品(一次審査も通らずに落選)を、こちらで公に晒してみようかと思います。エスパーがでて、予知能力等を使ってても一応SFだ、という感じの人ならOKでしょうか。※コンテスト時から若干設定等変更は有り 簡単な内容紹介  ある企業が開発したVRシステムは様々な機器の遠隔操作方法として利用されていた。その一つとして、月面上のローバーをVRシステムで操作するという試みがあり、一般にも公開して体験させることにした。その体験会で、一人の女子高生の行った操作があり得ない挙動をしていた。少女は月・地球間で2.6秒のタイムラグあるにもかかわらずタイムラグを感じさせないスムーズな操作を行っていた。  このVRシステムのテストに参加した遠野秀次は、単なるVRシステムのテスト要員だと告げられていたがそれだけではないものも感じていた。

最近の記事

  • 固定された記事

自己紹介

始めた理由  小説の投稿サイトに作品投稿していましたが、エッセイなどの割合も多くて、それならブログ形式がいいんじゃないかと思うようになって、幾つか調べているうちに、小説も投稿できるようだし、こちらを利用することにしました。  小説は趣味で書いていますが、小説の投稿サイトは、若者向けというか、異世界ファンタジー全盛なので、ちょっと、ついていけないところもありました。普通の小説でも読んでもらえそう、というイメージではありますが、それも選んだ理由になります。 来歴  昭和の生

    • 成功者という幸運な人たち

       よく、社会的に成功した人たちが本を出したり、講演会などを行ったりして、自分がどのようにして成功したのか、ということを披歴することがある。  また、昔の偉人などの人生は、成功した人物の例として学校などでも学ばされたりもする。  子供の頃からそうした人の話を聞いたり読んだりしたものだが、中にはよくできた小説のような人生の人もいて、こんな映画みたいな人生の人もいるんだな、と面白く読んだりしたものだ。  実際、成功した人の成功譚、というものは、それぐらいの価値しかないと私は思って

      • SF小説紹介 『スターシップと俳句』

         なぜ今『スターシップと俳句』なのかと言うと、作中の多くの時間が、2023年から2024年となっていたからだ。このことに気づかずにいるところだったが、たまたま本棚にあったこの本をぱらぱらとめくって日付に気が付いた、という、単にタイミングが良かったくらいのものだが。 『スターシップと俳句』 ソムトウ・スチャリトクル:著 冬川亘:訳  まず、その奇妙なタイトルに気を惹かれるだろう。私も出版されたばかりのこの本を本屋で見かけて面白そうだと思って手に取って買った。  まあ、想像し

        • 子どもの頃に読んだ本 『蜃気楼の少年』

           『蜃気楼の少年』は、宮崎惇(1933年6月15日生~1981年11月16日没)によるSFジュブナイル。SFファンの、SFファンによる、SFファンのためのジュブナイル。この作品を読むと、そう思わずにいられない。  主人公、小日向量平の両親は、SFファンで、SF同人誌『宇宙塵』の会員であり、伊藤典夫、野田昌宏、草下英明の各氏の名前が友人のように会話に出たり、映画『スター・ウォーズ』を見るのを楽しみにしていたりと、それほどSFに詳しくもない、なんとなくこの作品を手にしたような読者

        • 固定された記事

        マガジン

        • 子供の頃に読んだ本
          9本
        • 星にまつわる短編集
          8本
        • SF小説 百万ドルの虚空
          10本

        記事

          古本祭り

           先日、神保町の古本まつりへ行ってきた。去年はうっかり忘れていて、行かなかったので、二年ぶりの古本まつりだ。  連休は予定があったので、平日に時間があるときに寄ってみただけなので、そんなに見て回ってはいない。  神保町ブックフェスティバルの方は、今年も行きそびれた。ここ何年か、どうもうっかり忘れる、と言うことが多い。旅行にもいい時期なので、そっちを予定にいれていることもあるが、前ほど古本屋を巡る、ということをやらなくなったからかもしれない。  少々、本の収集癖のようなものもあ

          手作り望遠鏡

           ある時、天文関係のイベントか何かで、組み立て式の簡易望遠鏡、というものを見かけた。ラップの芯みたいな堅い紙でできた筒に、レンズとかを嵌め込んど組み立てる、というものだった。  私が子供の頃は、そんな、既製品の組み立てキットなんて無かった。いや、あったかもしれないが、簡単には手に入るものでは無かった。だいたい、対物レンズと接眼レンズを買って、あとは自分で用意して組み立てる、くらいのものだった気がする。  私の場合は、天文用の高い対物レンズなどは購入を検討する以前に、通販な

          手作り望遠鏡

          子どもの頃に読んだ本 『コンチキ号漂流記』

           子供の頃に何度も借りて読んだ本が幾つかあるが、そのうちの一冊。ノルウェーの民俗学者、トール・ハイエルダール(ヘイエルダールとも)の、筏による太平洋横断の冒険物語と、江戸時代の日本人の漂流譚の、『太平洋日本人漂流記』がセットになっていた。  私が子供の頃に良く読んだ、あかね書房から出ていた、少年少女世界のノンフィクションというシリーズの内の一冊。同じあかね書房から出ていた、少年少女二十世紀の記録、の方は伝記や社会的な事業などが中心で、こちらは冒険や探検を扱ったものが多かった。

          子どもの頃に読んだ本 『コンチキ号漂流記』

          子どもの頃に読んだ本 『明日への追跡』

           私は、『百億の昼と千億の夜』等で有名な、光瀬龍、というSF作家が好きなのだが、この作品は光瀬龍が書いたSFジュブナイル。ジュブナイルではもっとも好きな作品の一つでもある。まず、『明日への追跡』というタイトルが良い。これだけで興味を惹かれる。  初出は、旺文社『中1時代』の1972年10月号~1973年3月号までと、『中2時代』1973年4月号~7月号までの全10回。  あらすじは、  汐見が丘中学1年生、落合基のクラスに一人の転校生が転入してきた。とりたてて変わったことの

          子どもの頃に読んだ本 『明日への追跡』

          四方山話4

           SF小説の連載というか、以前書いた物を分割投稿していたが、それも終わって、また昔読んだ本の紹介などを書いている。  ここ十年くらい、ネットでブログやらなにやら休止したり辞めたりしていたのだが、今年に入ってまた始めている。  始めた理由は、だいぶいい年にもなって、過去のことを振り返ることが多くなったことがあるのだろう。やり残したことと言うか、何もせずこのまま年を取っていくのも、寂しいというか味気ないというか、そんな気持ちから また始めたようなものだ。  そう思い始めたのは、

          四方山話4

          子供の頃に読んだ本 『ウドンゲのなぞをとく』

           私が、科学好きになった、たぶん原点の本。『ファーブル昆虫記』などは、この後に読んでいる。この本は、全国読書感想文コンクールの課題図書でもあった。  全国学校図書協議会のサイトをみると、全国読書感想文コンクールの第18回、1972年の課題図書に、『ウドンゲのなぞをとく』が載っている。これまで私が子供の頃に読んだ本として取り上げたものでは、第9回の1963年に『地球は青かった(20世紀の記録)』が載っている。これは知らなかった。  『ウドンゲのなぞをとく』が課題図書だった、第1

          子供の頃に読んだ本 『ウドンゲのなぞをとく』

          少女漫画について感じるノスタルジー

           ※男性が語る少女漫画、に嫌悪感を感じる方は以下の文は読まずにお戻りいただけると幸いです。  それでもいいよ、と言う方はどうぞ。  漫画好きな姉が二人いたので、子供の頃の私の周りには少女漫画が溢れていた。たぶん、私が初めて読んだ漫画は少女漫画だったのだろう。私が男にも関わらず少女漫画を読んでいたのは、こういう環境もあった。  以前、自分がどんな少女漫画を読んできたのか回想したことがあったが、一番古い記憶は、みを・まことの『キノコキノコ』か、弓月光の『出発シンコー!』か、一条

          少女漫画について感じるノスタルジー

          短編小説 ジャネット彗星

          「そっち持って。ここに移動させるから」 「もうちょっと右」  裕美たちは、クラスで学校近くの老人ホームに慰問に来ていた。やっているのは、クリスマス前だったので、クリスマスツリーの飾り付けなどや、普段あまり手入れの行き届かない庭の掃除とか、そういう作業をしていた。「飾り付けはこんなもんでいいんだっけ」  クリスマスツリーには、リボンや電飾、ボールオーナメントなど取り付けられている。 「これ、七夕の飾りじゃないの?」  友人の和美が掌に乗せているのは、星の後ろに三本の線が走って

          短編小説 ジャネット彗星

          絵画や漫画等、絵について雑感

           これまでここではあまり漫画については書いていない。子供の頃に読んだ本、だとか、そんなことを書いてきているが、漫画も子供の頃から読んではいる。  絵を描くことが好きな子供だったので、身の回りのものとかスケッチしたりしていたが、漫画みたいなものは描いていなかった。漫画家よりは画家になりたいと思う方だったのだろう。当時始まったばかりのNHKの日曜美術館とかもよく見ていた。  記憶に残っているのは、天本英世がゲストで出ていた時で、死神博士でおなじみの、と紹介していて、NHKでも死神

          絵画や漫画等、絵について雑感

          SF小説 『百万ドルの虚空』その10 終

          エピローグ  白い壁で切り取られた空は、見事なまでに青く、雲一つない。綺麗な秋晴れだった。ラボの屋上にあるベンチに座る秀次は、ぼんやりと空を見上げていた。都会には滅多にないような澄んだ青空。子供の頃に屋根に上って空を見上げたことをふと思い出した。  この空の遠くの宇宙空間に、秀次がリンクした探査機が漂っている。それを思うと、非現実な出来事としか思えなかった。 「ここでしたか」  海老原がやってきた。 「午後の予定が変更されました。システムの調整に1時間ほどかかるので、まだし

          SF小説 『百万ドルの虚空』その10 終

          SF小説 『百万ドルの虚空』その9

          救出作戦  秀次はいつも通りにVRシステムのヘッドセットを装着して、椅子に座った。ゆっくりと後ろへリクライニングすると、普段なら気持ちも緩んで眠そうになるところだが、今日はそんな余裕は無かった。  接続開始。接続には、電波信号が接続先に到達するまでのタイムラグがあった。暫くは何も見えない。テレビやPCを起動して、画面に表示されるのを待っているような感覚だった。 「リンクを確認。遠野さん、どうですか?」  海老原が心配そうな声をかける。昨日と同じような、真っ暗な宇宙の映像。露

          SF小説 『百万ドルの虚空』その9

          SF小説 『百万ドルの虚空』その8

          救出作戦  半球形のVRシステムユニットが窓の外に見える会議室。  黒いスーツの男は黒板のように大きなモニターの前に立ち、秀次は講義を聞く学生のように席に着いた。チャーリーも一つ離れた席に、笑顔こそ見せないがどことなく面白そうに座っている。海老原は不安そうな面持ちで窓際に立っていた。 「私は、このプロジェクトの統括リーダーの笹野と言います。現場にはあまり顔を出すことはないので遠野さんとは、初めてですね」  端正な顔立ちだが、四十代くらいにも、もっと老けても見える年齢不詳な感

          SF小説 『百万ドルの虚空』その8