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星にまつわる短編集

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投稿したショートショートをまとめました。 同じ人物が登場するシリーズ作品になっています。
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記事一覧

短編小説 ジャネット彗星

「そっち持って。ここに移動させるから」 「もうちょっと右」  裕美たちは、クラスで学校近…

浅葱秋星
6日前
3

短編小説 魚の口

 和美は、高校へ向かう道をゆっくりと歩いていた。駅へ向かう通勤の大人たちを横切るように歩…

浅葱秋星
2週間前

短編小説 赤道儀

 透は、トイレで顔を洗って、鏡に映る顔を見つめた。 ――そろそろ髪を切らなきゃな。  髪が…

浅葱秋星
2週間前
5

短編小説 星を盗んだ男

 ファッと大あくびをした口に手をあて、裕美は窓へ向かった。友人の和美から借りた漫画が面白…

浅葱秋星
2週間前
2

短編小説 雨と火星のリグレット

 裕美は冷たい雨の中、家路を急いだ。吐く息が白くなる。傘を持つ手もかじかんで、感覚が無く…

浅葱秋星
2週間前
2

短編小説 ティアラと欠けた皿

 裕美は望遠鏡を持っているが、これは、裕美が中学に入学した時の入学祝として、裕美の母方の…

浅葱秋星
3週間前
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短編小説 コーヒーカップでつかまえて

 裕美は友人の正美の家の近くにある喫茶店に来ていた。もう一人の友人、和美と三人で中間テストのテスト勉強をしよう、という目的だった。  この喫茶店の店主は、正美の叔母で、叔母はその父、正美の祖父から店を引き継いでいた。正美の叔母は、正美の母とだいぶ年が離れていて、正美が生まれたとき、まだ小学生だった。 「正美ちゃんが生まれたとき、私、まだ小学生だったのに、おばさんになっちゃたのよ」  と、たまに愚痴のように言うことがあった。 「あなたたち、こんなところで本当に試験勉強なんてで

短編小説 バースデーカード

 裕美が星を見ることが好きになったのは、祖母の影響だった。都会の裕福な家で生まれ育ったと…

浅葱秋星
3週間前
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