息子が尾久駅に降り立った日
週末、夫が大宮に用事があるというので、私と息子も便乗し鉄道博物館に行こう!という話になった。
鉄博、何年ぶりだろう…!
先に出た夫とは、お昼頃に向こう(大宮駅)で合流することに。天気もよく私と息子は久しぶりの遠出に、ウキウキと胸を踊らせて出発した。
ちょうど大宮行きの京浜東北線に乗れて、よし終点まで一本ラッキー♪と思ったのも束の間。
息子の
『無駄に乗り換え本数増やしたい欲』が発動。
「東京駅で乗り換えてさ、宇都宮線で行こうよ!!」
…繰り返すが、このまま終点まで乗っていれば目的地なのだ。それをわざわざ乗り換え…?
ないね。普通ならそんな選択肢万にひとつもない。でも、それがあるのが子鉄道。
いつもなら「やだ面倒くさい。また今度ね」と軽く流すところだけど、たまにはつき合うか…と、東京駅でいったん乗り換えることに。
運行掲示板を見上げ「11時29分発に乗ろうね」と確認する。
「分かった!」と言うやいなや私のスマホを奪い、嬉々として電車の写真を撮り始める息子(この掲示板も撮影)。そしてより良い撮影スポットを探すべく走り出し、その後ろ姿は人混みであっという間に見えなくなってしまった。
あらら…と思いつつも、よくあることで焦りはしなかった。でも彼の向かった方向に行けども行けども姿が見えない。おや…?
はや歩きが次第に小走りになる。ホームの端が見えてきた。いない。いない?見逃した?
慌てて来た方向を戻る。人混みをかき分け走る。今日に限ってお弁当を準備してきたので、かさばる荷物が揺れる。ホーム中ほどまで戻ってきた。でもいない。
そうこうしているうち、11時29分発の電車がホームに入ってきた。やばい。
降車客で混みあうホーム。息子の名前を呼ぶ。いない。列が動きだし順番に乗り始める。いない。どうしよう。
鳴り響く発車ベル。乗車の列が減り視界がやや開けたけれど、息子の姿は見当たらない。
乗った?もしやこの電車に乗ったかな?
私も乗ってしまおうか。でも、もし息子が乗っていなかったら?
迷っているうち、ドアが閉まる。ゆっくり動きだす電車。乗れなかった。
ホームをもう一往復し、いないことを確信。なんせ私のスマホを持っていってしまったので、電話する術が……そうだ!公衆電話!!
公衆電話はそこから逆のホーム端にあり、また小走り。……遠いっっ!!!15両編成のホームの長さが果てしない。汗と冷や汗が滲む。パニックになりそうな気持ちを抑えこむ。
まず夫に連絡して…それで……ん?待って、息子が私のスマホを持ってる…息子にかければいいんじゃん!(慌てていて頭がうまく回ってない)
10円玉を入れて番号を押す。何度目かの発信音のあと……出た!!よかった!!!
「ママだよ!電車乗ったの?」
「うん…」
「分かった。ママは次の電車で行くからね。そのまま大宮まで乗って、降りたら動かずにホームで待っててね!」
息子の「分かった」の返事が終わらないうち、無情にも電話が切れた。10円はやっ!!
でも最低限は伝えられたし、あとは早く大宮に向かわなくちゃ。次の電車の発車ベルに、慌てて飛び乗った。
* * *
息子は小2(8才)だ。
早い子はひとりで交通機関に乗ったりもするのだろうが、うちは今のところ、学校への登下校を除いて一緒に行動している。
だから、息子がこんな風にひとりで電車に乗るなんて初めてのことだった。
大丈夫かな。きっと不安だろうな。
途中、息子の好きな貨物列車や特急列車とすれ違うたび、息子も見たかな、と思いを馳せる。大宮までの30分が、とても長く感じられた。
* * *
そして到着した大宮駅。
ホームに息子の姿は……なかった。
もう今日何回目?というホームの端から端までの捜索後、公衆電話を探しに改札口の階へ。
今度はしっかり100円玉を入れてかける。
「ママ大宮着いたけど、今どこいるの!?」
「えーとね、おく。おくえき」
「お…おく…?(初耳だし何故そこに?混乱)
おくってどこ?どのへん?」
「うーん…分かんない。パパも来るって」
その後、100円玉課金で息子と夫から聞いた話をまとめると、
という状況だった。
尾久駅は、東京駅を出発して上野の次に止まる駅だった。まだそこかーーーーい。
でも、夫が向かってくれたならひと安心だ。
お弁当が入ったバッグを抱え、ふたりの到着を大宮駅の改札口で待ち続けた。
* * *
「あーーー楽しかった!!また来たいな」
鉄博を出る頃には、とっぷり日が暮れていた。
楽しかったね、久しぶりの鉄博。
新幹線を眺めながらのお弁当、新しくできたエリア見学、大好きなミニチュアシアター、何とかひとつだけ抽選であたった乗り物。
でもママは、もう大宮駅で本日終了ってくらいぐったり身も心も疲れきっていたから笑、鉄博も楽しかったけれど、なんといっても今日のハイライトは尾久駅だったね。
返ってきたスマホを見返してみると、息子が尾久駅で撮った電車の数々。どれもパパと会えてから撮ったようで、やっぱり待ってる間は不安だったんだな。
「ひとりで泣かなかった?」と聞いてみたら、そりゃもちろん泣いたよ!となぜか胸をはる。でもちゃんと全車両歩いて探したよ、グリーン車も「ちょっとすみません、通りまーす」って言いながらさ、だって。涙を堪えて私を探すその姿を想像すると、胸がキュンとしたり、大きくなったなあーと感慨深かったり。
そして何より、その時の夫と息子のLINEでのやり取りがこちら。
……え、そのスタンプのチョイス…
結構、余裕あるね?笑
このLINEを見返すたび、男ふたりのやり取りがおかしくて笑っちゃう。そして息子の幼さと成長、その両方をぎゅうっと抱き締めたい気持ちになるんだ。
今度はいつか3人で一緒に、尾久駅に行ってみたいね。
~ 今回の(個人的な)教訓 ~
その1
アウター、トップスは派手めな色に限る!!
(遠目にも分かる色が最高)
その2
公衆電話のありがたさよ
(100円玉常備が好ましい)
その3
きっずスマホ検討すべき?
(まずは家族の携帯番号を暗記させねば)
☆この記事を書いた今日現在、鉄道博物館はチケット予約購入制(入替えなし)、イベント・乗り物系はアプリ抽選です。もし行く方は事前に公式をチェックしてみて下さいね。