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ハスと御朱印 それからムクノキ 覚王山日泰寺


 7月21日の金曜日。
 朝、自宅近くのハスの花を見にいく。

 一輪が丸くなり、花が開きつつある。白い花。花びらの先だけが、うっすら桃色に染まっている。色合いにうっとり。もう少し近くで見たいけれど、入れない。

白いハスの花


 その後、名古屋まで出かけた。行き先は、覚王山(かくおうざん)。まずは、日泰寺(にったいじ)から。毎月21日は、縁日が開かれている。弘法大師(空海)の月命日だからだそうだ。参道は歩行者天国になり、あちこちに屋台が出る。30年近く前、まだ大学生だったころ、一度だけ、いったことがある。あのときも、ひとりで、ぶらりと出かけたのだっけ。

覚王山日泰寺


 地下鉄東山線で覚王山まで向かう。地上に出ると、人でごった返していた。「天国へいきましょう」とチラシを配る方々や、なんとか党のPRの方々。わたしは、「いきません」とか「いりません」と言いながら、歩く。

 日泰寺を目指す。道はすっかり忘れてしまった。しかも、筋金入りの方向音痴。けれど、大勢の方々が歩いていく方向でいいはずだ。少し歩いたら、参道に入った。屋台があちこちに出ていて、見ているだけでワクワクしてくる。

縁日の参道


 いきなり、パラパラと雨が降ってきた。あれ、今日は晴れだったんじゃ。傘は持ってきていない。補聴器、雨は大敵。避難しなくては。

 ふと、目に止まったカフェ「ZARAME」に入り、お昼にする。ハンバーガーとポテト、サラダのセットと、ソイラテを注文する。いつもなら食べない。一応、ゆるゆるダイエット中。

 今日のお出かけは、自分への誕生日プレゼント。だから、食べたいものを食べちゃおう。牛乳を豆乳にチェンジしてから、体調がよくなった気がする。それから、食べる順番はサラダから。

ZARAMEのランチ

 気が緩んで、フォークを落としかけ、慌てて拾うも、フォークの先で左手の手首を引っかけた。3本の擦り傷。ため息。こういう不器用なところ、なんとかならないかな。傷は浅いが、見ているだけで、悲しくなるから、絆創膏を貼っておく。

 気を取り直して、集中して、ハンバーガーを味わう。美味しい。マクド以外のハンバーガーは久しぶり。ポテトはいつから食べてないっけ。思い出せない。つまむ指が止まらない。あっという間になくなった。

 息子へのお土産にドーナツを買い、また参道に戻る。雨はすっかり上がった。雲が多いから、日差しが柔らかで、暑さは幾分マイルドになっている。風も少し吹いて、過ごしやすい。

 途中、串カツやさんを見つけ、ちょっと後悔した。さすがに、もう食べられない。串カツ、食べたかったなぁ。味噌つけて。また、次の機会に、絶対に食べる!

 日泰寺の山門を一礼をしてからくぐった。バアンと正面に見えてくる本堂、右側には、五重塔がみえる。

本堂
五重塔 高さ30メートル


 水屋で手を清めてから、お参りをした。それから、御朱印をいただく。目の前で、すらすらと文字が生まれていく。こうやって、直に書いてもらったのは、初めてだ。思わず、食い入るように見つめてしまった。書きづらかったかな。

 その手に、文字に、惚れ惚れとして、うれしい気持ちが溢れてくる。感謝の気持ちを伝えたら、頭を丸めた若い僧の方は、長いまつ毛をふせて、照れたように笑った。ここまで書けるようになるには、たくさん練習されたんだろうなぁ。ありがとうございます!

手書きの御朱印いただく


 次に、おみくじを引く。吉。よし、いい感じだ。満足。

 それから、線香を買った。火をつけようとするも、つかない。周りの人の様子を伺うと、みなさん、ついてない。常連さんだろうか、おひとりの方が、コツを教えてくださり、なんとか火をつけることができたが、今度は線香が立てられない。

 ぺたんと寝っ転がる、わたしの線香たち。危なっかしい手つきだったのだろう。「火傷しないでね」と、優しいお言葉をいただく。おかげさまで、火傷はせずに、線香も無事に立てられた。

 その煙を身に受ける。なんとなく、耳のあたりに煙をいただいていたが、問題は頭の中だったと思い出し、頭も念入りに清める。これで、なんだか、安心安心。

 境内の端には、ハスの花が見事に咲いていた。濃いピンクの花。ここで、出会えるとは思ってもみなかった。写真を撮る列に並ぶ。ハスの花、どうしてこうも神々しいのだろうか。自然に頭が下がる。

瑞光蓮(ずいこうれん)という名のハス


 それから、五重塔の真下から上を見上げる。こういう建物にしようと、考えて、形にした人がいるのだなぁ。見応えがある。しばし、見入る。

1997年に建立


 ゆっくりと歩いて、山門近くまで来た。そこには、巨大なムクノキ。しっかりと根を張り、日差しを遮るよう、枝葉を広げて立っている。よくよく見ると、緑色の小さな小さな丸い実がついている。そうか、実ったんだね。よかったね。硬く乾いた幹をなでる。

見上げたムクノキ
緑の実



 参道に戻り、お買い物。お団子、かき氷、海産物、たこ焼き、お菓子、ステンドグラス、陶器、仏具、洋服、アクセサリー、鞄、靴、傘、時計、野菜、お漬物、果物…ありとあらゆるものが売っている。圧倒された。子ども向けゲームコーナー、一回百円の射的もある。子どもたちが並んでいる。

 悩みつつ、夏用の小さな肩掛け鞄とネックレス、バームクーヘンを買う。

バームクーヘンは娘へ


 さぁ、近くにある、もう一つの場所へ向かおう。


 続きます。



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