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凡人で、上半身トレーニング時に悪い意味で肩甲骨や背骨が過剰に動いてしまい、うまくいかない場合
凡人で、トレーナーにフォームのアドバイスを求めた時に「あなたはそもそも前鋸筋や僧帽筋が使えてなくて、肩甲骨が硬いのよ、トレーニングテクニックの前に肩甲胸郭関節のコンディショニングが大事」と言われて悔しい思いでジムを後にする人がいるかもしれない。
そこで、前鋸筋のリーチ系ドリルや僧帽筋のYなどをするんだけど、よくならないこともしばしば。
さらに、「肩甲骨がついているのは胸郭、そして根元は脊柱だから、そもそも胸郭や脊柱を動くようにしないとだめだ」と思いつき、これが根本改善だ!とキャット&ドッグとかロールアップロールダウン、胸椎の伸展や回旋ドリルをする。
これでたしかに良くはなったが、思ったより意外とイマイチ。
という方は、一旦、肩甲骨と上腕骨の分離にアプローチすると良くなる可能性が高いかもしれない。
TSやSTの前に一旦、GH、HGからやろうということです。
(肩甲胸郭関節系ドリルや脊柱の動きの前に、もしくは同時にまず肩甲上腕関節をちゃんと動くようにしよう、分離して安定できるようにしようということです。)
肩甲上腕関節に拘縮があったり、分離のコントロールが苦手だと、肩甲骨や胸郭、脊柱の代償がすぐに出しゃばってきます。
肩関節の屈曲の時には、肩甲骨の後傾が悪い意味ですぐに入り、肩関節の外転外旋時に、すぐに肩甲骨の後傾や下制を入れたり、肩関節の伸展の時には、肩甲骨の前傾がすぐに入るなど。
肩甲帯が柔軟に動くことは良いとされますが、肩関節の硬さが強い場合は、悪い意味で肩甲骨や根元に脊柱や胸郭が”動いちゃい”ます。
仮に、肩甲帯が硬い場合でも、往々にして動いちゃいます。
むしろ、広い腱坂断裂などで肩甲上腕関節がかなり制限がかかる患者さんは、体幹のチーティング動作をうまく使って肩を上げる練習をしたりするそうです。逆を言うと、肩拘縮などが強くても、体幹部の使い方次第では腕を上げられるということです。
話を戻して、背中トレでは、胸椎の伸展や肩甲骨の動きが大切にはなりますが、理想は肩甲上腕関節の可動性&安定性がある上でということが望ましいです。
おそらく、そうでないと広背筋を最大限に伸長をかけることが難しくなったり、広背筋を姿勢維持に使うことになります。すみません、この辺は感覚混じり。
肩の動きには肩甲帯が大切なんだよ、となんとなくそういう雰囲気があります…確かに、とんでもなく大切です。
胸郭のアライメントに追従するように肩甲骨のアライメントが決まり、それに追従するように肩甲上腕筋関節のアライメントも決まる、という考えもあると思います。
しかし、肩甲胸郭のモビリティをたくさんやっても肩甲上腕関節周囲がカチカチのトレーニーは、そういう根元の部分を良くしても、動作パターンがなかなか改善できません。
さらに、こういう凡人が肩甲胸郭系のドリルをすると、逆に肩甲上腕関節の筋で代償することが多いです。矛盾してきますが、そうなることが多い印象です。
例えば、前鋸筋プッシュ系エクササイズでは棘下筋をパツパツにしたり(肩甲骨プロトラクトの過剰)僧帽筋の肩甲骨引き込み系エクササイズのYやAなどでは上腕三頭筋やリアで代償したりします。(肩甲骨のリトラクトではなく肩関節で代償)
この上腕骨と肩甲骨の分離可動が苦手だと、特に肩が弱点になることが多いかと考えられます。
で、この肩の分離運動をしようとなると思いますが、ここでデッドバグだけやってもおそらく解決しません。それだったら、肩甲胸郭やら背骨やってた方がマシです。
「分離といえば、デッドバグでしょ」
となるかもしれませんが、個人的には、
・分離を図るための拘縮改善
・肩関節の色んな肢位でのckc
この二つが大切だと思います。
例えばオーバーヘッド系のトレーニングが苦手な方は、
・肩後下方組織のリリース
(上腕骨頭が後下方に入り、屈曲での分離がしやすい環境づくり)
・壁倒立
(肩最大屈曲位での分離のために、顎を引き込むまで)
ざっくりとこんな感じです。
肩関節屈曲位で、脊椎伸展に伴う過剰な肩甲骨後傾にならないように、肩関節伸展位で過剰な肩甲骨前傾を伴わないようにするイメージです。