反り腰姿勢に対する運動療法4種目
おはようございます!今回はまた運動療法について書いていこうと思います。今日の記事を読んで臨床での介入の幅が広がればと思います。
この記事がどんな人に参考になるか
・運動療法の引き出しを増やしたい方
・ピラティスに興味がある方
・不良姿勢に対する介入を知りたい方
・反り腰姿勢になる要因、病態を知りたい方
こういった方の参考になれば幸いです。
なぜ、反り腰になってしまうとよくないのか?
反り腰(ロードシス姿勢)とは簡単に言うと肩関節より股関節の位置が後ろに来ているような姿勢です。(図の右の女性のような状態)
股関節が後ろにくる=上体が前につんのめり、臀部が後ろに出っ張てる状態。腰背部の過剰な運動や神経症状やすべり症など構造的な問題を引き起こします。
このように腰背部・股関節に圧縮ストレスが加わり腰背部痛や鼠径部痛などを引き起こします。
原因として日常生活での筋のアンバランスが形成されたり、ボディイメージの破綻(体を前につんのめって支えるのが当たり前)が考えられます。
筋のアンバランスについてですが、下位交差性症候群をイメージするとわかりやすいと思います。
反り腰姿勢の筋の状態→下位交差性症候群とは
下位交差性症候群とは骨盤・股関節周囲の筋の短縮と伸長筋が対角線上に生じている状態の事です。
伸長位にある筋→腹直筋、腹斜筋、殿筋群、ハムストリングス
短縮位にある筋→脊柱起立筋、多裂筋、股関節屈曲筋(腸腰筋、大腿直筋、大腿筋膜張筋、縫工筋、中殿筋前部繊維)
この下位交差性症候群の状態になることで常に腰椎と骨盤は前彎姿勢、股関節屈曲位で固めたような姿勢戦略になり、機能障害や疼痛を引き起こします。
反り腰の運動療法→骨盤を丸めたり、股関節を伸ばす動きを増やす
反り腰の人→下位交差性症候群の図のように腰を反って固めている姿勢のなので逆に腰椎を丸めたり股関節伸展するような動きが足りないことが考えられます。
なのでいつもと逆の動き、腰椎後彎させる動きや股関節伸展位に持っていくようなエクササイズを行っていくことが重要になります。
実際の運動療法を4種類紹介
ここからは実際の運動療法を紹介を紹介します。ピラティスの種目がとても有効なエクササイズとなります。前提として最初に姿勢を整えて(ニュートラルポジション)、その姿勢を崩さない範囲で運動を行います。
背臥位ニュートラル
腹臥位のニュートラルポジション
ニュートラルポジションについてはこちらの記事でも詳しく書いているのでよかったら見てください。
①シングルレッグストレッチ
姿勢:背臥位ニュートラル
目的:腹筋の促通、股関節前面のストレッチ
運動:片方の脚を曲げ、もう片方は脚を伸ばし、交互に曲げ伸ばしを行う
呼吸:息を吐きながら足を入れ替える
回数:5~8回程度
NG例:骨盤の前弯が強くなる、股関節の内外旋が生じるなど
キューイング:「足の間に窓ガラスがあり、交互に足で磨くようにしましょう」「目線は膝の間を見るようにしましょう」
②アーテキュレーションショルダーブリッジ
姿勢:背臥位ニュートラルポジションをつくる
目的:股関節前面のストレッチ、股関節後面の強化、腰椎屈曲促通
運動:臀部を持ち上げる時は骨盤後傾~股関節伸展、降ろす時は背中~骨盤~股関節の順に降ろす
呼吸:吐きながら骨盤後傾~股関節伸展を行っていく
NG例:股関節の内転・外転が生じる、足部の内返し・外返しが生じる、骨盤の後傾が生じないまま持ち上げてしまう
キューイング:「スプーンでお尻からすくわれていくようにお尻、背中と順に持ち上げていきましょう」「降ろすときは背骨から一つ一つ降ろしていくようにしていきましょう」
③ハンドレッド
姿勢:背臥位ニュートラル+頸部軽度屈曲位
目的:腹筋の強化
運動:両脚を90°屈曲位&頸部軽度屈曲位を保ったまま上肢をバタバタと上下させる
呼吸:吸気・呼気でそれぞれで5回上肢を上げ下げする
回数:吸気で5回上下、呼気で5回上下で1セットを5~10セット
NG例:骨盤の前弯が強くなる、顎が上がる
キューイング:「目線は膝の間を見るようにしましょう」「足を90度に曲げたまま水面を叩くように両腕をばたばたさせましょう」
④シングルレッグキックス
姿勢:伏臥位ニュートラル+胸椎伸展+頸部軽度屈曲
目的:腹筋の強化、股関節後面の筋の強化、股関節前面の伸長
運動:うつ伏せから胸を起こす→胸部を起こした状態で足を交互に曲げ伸ばしする
呼吸:吸いながら2回膝を曲げる、吐くときに足を入れ替える
回数:5~8セット
NG例:骨盤のニュートラルが崩れる(腹部が床につく)骨盤が回旋する、顎が上がる
キューイング:「背骨が長く引き伸ばされてる意識を持ちましょう」「おへその下手のひら一枚分隙間を保ったまま行いましょう」
まとめ
最後にまた要点を箇条書きしていくと、
・反り腰とは体が前につんのめっている状態で下位交差性症候群を引き起こしている
・下位交差性症候群とは腰背部・股関節前面の短縮、腹部・股関節後面の伸長位のアンバランスが生じている状態
・反り腰姿勢の人には腰椎を丸める動作や股関節伸展動作が有効
紹介した運動療法ですが問診や評価など統合して腰背部や股関節前面に圧縮ストレスが加わり疼痛が生じていると思った時に有効な運動療法になると思います。
みなさんの臨床の参考になれば幸いです。最後まで読んで頂きありがとうございました。