わたしの本棚154夜~「リセットの習慣」
わかりやすい文章で、共感を得る内容で、面白く、さくさく読めました。
なぜ今、リセットが必要なのか。医学の進歩と情報伝達の確実性で、体調をくずす要因を分析しやすくなりました。そんなか、著者の順天堂大学医学部教授である小林弘幸先生は、専門の自律神経の知識から、リセットの重要性を説いてくれています。
☆リセットの習慣 小林弘幸著 日経BP 日本経済新聞出版 800円+税
自律神経には交感神経と副交感神経があり、自分の意思ではコントロールできない領域です。悪い流れで、心身の調子を崩すことよくあります。
人の体は「流れに乗る」のは得意だが「流れを変える」のは苦手。
そこで、心と体をよい状態に保つ上で、もっとも大事な意識はリセットという考えだと先生は説きます。99の習慣を提示し、新たに始める、リセットの仕方、考え方を提示してくれました。気持ちではなく体の状態を整え、良い血流をめざす99の習慣です。そんな中、心に留まった3つのリセット法についての感想です。
1.寝る前に3分「呼吸の時間」をつくる(89)
歳を重ねると、睡眠時間が短くなったり、睡眠が浅くなったりします。私自身も寝つきはいいのですが、一度起きると寝れなくなりました。前の夜早く寝ると、朝4時や5時に起きてしまうことも。運動不足、コロナ禍で家に閉じこもっていることもあり、ぐっすり睡眠がなかなかできないです。同世代のまわりの友人たちにもそんな人多いです。
低い温度での入浴、8時以降はスマホやパソコンを見ないなどもありますが、この本では、呼吸について。睡眠の質を高めるには、いかにして、副交感神経優位の状態をつくるかです。「4秒吸って8秒吐く」など具体的な呼吸法を伝授してくれています。
2.写真はできるだけ処分する(15)
昭和生まれなので、写真はアルバムの形でかなり保存しています。自分の幼いときから、家族の分まで。物理的にモノを捨てると、確実に気持ちはスッキリする、との記載は納得できるものの、捨てるとき、シュレッダーにかけるにしろ、束にして捨てるにしろ、なんか罪悪感がありました。
人は皆、何も持たずに畳一畳で死んでいくのだから、過去にとらわれるな、という「物理的な過去はできるだけ処分する」というリセット法は、なるほどなあ、と思いました。この本でのリセットの習慣は、たえず前向きな示唆に富んでおり、その象徴のような習慣だなあ、とも思いました。
3.「求められて生きる」を目指す(27)
世の中には「求めて生きる人」と「求められて生きる人」がいます。「求めて生きる人」の自己主張や欲望を否定するつもりはないけれど、先生が注意深く見渡すと、常に良い状態で仕事をしていたり、良い評価を得ている人は「求められて生きている人たち」だそうです。求められるというのは、難しいですが、そのフィールドを捜せたとき、幸せな生き方に繋がるというのは、腑に落ちました。
そのほかの章にも、腸内細菌のことや食事のことなど、いろんな分野でのリセットの習慣、具体的な記載も多く、とても役に立ちました。悔やんでいたり悩んでいる場合でないと思ってしまいました。自律神経という、見えない、自分の意思では動かせない流れを、上手にリセットする99の方法、知ることができ、ありがたいです。前向きになれる本でもあり、読後、今日から早速リセット、そう思って立ち上がってスタートが切れる本でした。
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