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人が成長する条件〜部下育成の基礎理論〜
こんにちは。
価値観が多様化する昨今、人材教育は難易度を増しています。
指示指導を行っても思うように人が育ってくれなかったり、どうやったら人が育つのかわからない。そもそも人を育てることの重要性がわからない。なんて人もいるんじゃないでしょうか?
今回は部下育成の基礎理論として
部下は現場でいかなる場合に育つのか?
という部分を簡単に説明していこうと思います。
必要な環境や状況や条件があって、それを作ってあげることで人はより効率的に成長することができます。
最近お話ししているフィードバックの技術もこの知識を知っているかどうかで効果が変わってきます。部下育成の基礎理論として、ぜひ知っておいてください。
それではさっそくいきましょう。
まずポイントは大きく分けて2つです。
それは
①経験軸
②ピープル軸
この二つです。
順番に説明していきます。
①経験軸
これは部下を育成するためには、実際のリアルな現場での業務経験が最も重要である。という考え方です。
ゲームの説明書や攻略本をどれだけ熟読したとしてもゲームは上達しません。野球の素振りやサッカーのシュート練習をどれだけやっても試合では役に立ちません。実践において経験を積むことが何よりも大事です。
仕事においては研修では人は育ちません。業務経験こそが最も大きな成長の資源です。
以前1on1のお話しをした時に経験学習について説明しましたが、その経験学習の重要性を主張する考え方です。
さて、どんなレベルの経験を積ませるべきなんでしょう?
その人にとって簡単すぎる業務経験では意味がありません。集中力についてお話しした時も不毛タスク(自分にとって簡単すぎる意味のないタスク)はやる気が起きず、集中力が発揮されないとお話ししました。
それではベストな難易度はどのくらいなのか?
それは
少し背伸びをしなければならない(ちょっと無理をする程度の)難易度の仕事を任せると良いです。
ここで重要になってくるのが二つの概念
人の心理状態としてコンフォートゾーン(快適空間)とストレッチゾーン(挑戦空間)というものがあります。
🔷コンフォートゾーンとはチャレンジもせず、自分の能力の範囲内で、特に無理をしないようにしよう。というような心理状態です。「変に挑戦して失敗したり怒られたりするの嫌だし…知っている仕事だけしていよう〜」という感じの人です。
🔷ストレッチゾーンとはわからないことはたくさんあり、うまくいくかわからないけど、今まで磨いてきた能力を最大限に発揮すればなんとか太刀打ちできる心理状態です。「今ここで、、、限界を超えるっ!!!」というようなチャレンジをしている人です。
これらを踏まえて部下をコンフォートゾーンからストレッチゾーンに向かわせることが重要だということなんです。
ただ、厳しい仕事を任せてフォローも何もしなければ最悪部下のメンタルがやられてしまうので適切なサポートは必要です。
なので、どのような仕事を与えれば部下がストレッチゾーンに入れるかを考えて、仕事をふりましょう。
また、この二つの心理状態は深掘ると話が長くなるので、また別の機会に詳しくお話ししようと思っています。
②ピープル軸
これは人が業務の中で成長するのは職場の人たちから、様々な関わりを得られた時であるという考え方です。
点ではなく、面による部下育成を行う というものです。
一人だけでアプローチするのではなく、チーム全体の環境を良くしてあらゆる方向から前向きな気づきを得られるような仕組みを作っていくというものです。
愚痴が飛び交うギスギスした職場では、疑心暗鬼になってしまい、成長しよう!なんて心理状態になるのも難しいと思います。
互いに学び合い高め合えるような信頼できる仲間がいる職場の方が成長を得られるとイメージしやすいんじゃないでしょうか?「人と人との関わりの量」や「人間関係の質」が良ければ良いほど、様々な気づきを得られることができます。
中間管理職の方が受け持つ部下の数も非常に多くなっており、一人で全員を指導しようとしてもうまくいかないということもあり
一度に多くを相手にしようとしてもリソースや時間が足りません。周囲を巻き込んでチームとして部下育成ができる状況を整えていきましょう。
特に、職場の人たちからは3つの他者からの支援が必要です。
🔷一つ目は業務支援
相手が持っていない専門知識やスキル、情報などを教えたり助言したりする支援のあり方。
相手に知識を与えて成長を促すアプローチです。
🔷二つ目は内相支援
客観的な意見を通知したり、俯瞰的な視点や新たな視点を提供して、本人の気づきを促す支援のあり方。コーチングのようなものですね。
自分の盲点となっている部分に対しての指摘を周囲からもらうというものです。
🔷三つ目は精神支援
励ましたり、褒めたりすることで部下の自己効力感(自分はやればできるという感覚)や自尊心を高めるという支援のあり方。
メンタル面でのサポートといった感じですね。
さて、今回は部下育成の基礎理論としてピープル軸と経験軸についてお話ししてきました。
ただ、この知識を知るだけで部下育成を行えるわけではありません。これらの知識を応用して活用するにはフィードバックの技術が必要です。
次回以降でフィードバックの技術についてお話ししていきますので、そちらもぜひご覧ください。
それでは、また。